平成回想番組から福一原発が消えたのはマスメディアの自殺行為だ。

「平成」の終わりまであと数時間。この1、2カ月テレビ各局はこぞって「平成振り返り」特番を放送してきた。しかし、そのなかで、気になったことがある。どの番組を見ても、あの福島原発事故のことがほとんど出てこないのだ。
 たとえば、4月6日に放送された『池上彰のニュース そうだったのか! 3時間スペシャル』(テレビ朝日)。その内容は「平成30年大ニュース」と題し、平成の時代に起こった事件や出来事を「昭和」と比較し分析するというもので、ゆとり教育や消費税導入、テロの激増、そして「日本を大きく変えた自然災害」として西日本豪雨、雲仙・普賢岳などともに東日本大震災にも触れられていた。ところが、その震災についても「SNSが普及」「LINEに既読機能が」といった災害対策がメインで、多くの国民に甚大かつ深刻な被害を与えた福島原発事故についてはクローズアップしなかった。
フジテレビが3月31日に放送した『報道スクープ映像 昭和・平成の衝撃事件!大追跡SP』も同様で、昭和のロス疑惑まで取り上げているのに、原発事故にフォーカスすることはなかった。
 NHKでも同じ現象が起きている。『NHKスペシャル』ではこの間、「平成史スクープドキュメント」と銘打った回顧シリーズを放送していたが、「大リーガーNOMO」「山一証券破綻」「小選挙区制導入」「安室奈美恵」などがテーマで、原発事故は結局、テーマにならなかった。
 情報番組やワイドショーも、この間、レギュラー枠の中で平成ふりかえり企画を放送したが、やはり原発事故をクローズアップした番組は皆無。
 とくに、唖然としたのがきょう、平成最後の日の『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ系)だ。「年表で振り返る30年間」として平成の事件を振り返り、小泉政権の誕生、高橋尚子のシドニー金メダル、ライブドア事件などはたっぷり映像で放送したのだが、2011年になると、「災害の多かった平成、なかでも東日本大震災、いまだに復興道半ば」という短いコメントとともに、津波で押し流された町の写真パネルが一瞬、映されただけで、すぐに「それから2012年、東京オリンピック開催決定、スカイツリー開業、えーそんな前になんの?」と、宮根がおちゃらけトークで別の話題に移してしまった。
 そのあと、天皇・皇后の東日本大震災被災地慰問の映像が流れて、再び震災の話題になるのだが、ここでも不可解なことが起きる。「被災による避難者数」というフリップが映され、林アナが「およそ4万8000人の方が避難している、そのうちおよそ4万人は福島県の方」と解説したのだが、そのあと、原発のゲの字も口にせず、その「4万人の福島県の避難者」の原因についてネグってしまったのだ。
「この間、原発事故のことをきちんと取り上げていたのは『報ステ』やTBS、それも報道局が作った番組くらいじゃないですか。他の民放も、NHKも明らかに原発事故を避けていた」(民放関係者)
 言っておくが、この原発事故は当事者である吉田昌郎・福島第一原発の所長(当時)がいったんは「東日本壊滅を覚悟した」と回想したくらいの危機的な状況だった。そして、いまも4万人以上の人々がこの原発事故の影響で故郷を追われ、避難生活を強いられている。そんな重大事故をテレビの平成振り返り企画が不自然なくらいに避けまくっているのだ。これはいったいなぜなのか(以上「LITERA」より引用)


 テレビはないから平成最後の平成回想番組も観ていない。だから知らなかったが、テレビの回想番組で「福島」が隠蔽されていたとは驚きだ。福島原発事故ほど日本に大きなダメージを残した事件が平成の御代にあっただろうか。
 天皇皇后両陛下が何度見舞われたことだろうか。今も数万人もの被災難民が故郷を離れて暮らしている。そして事故原子炉の廃炉作業はまだ始まってすらない。溶解した核燃料のスラッジの所在が確認できた段階でしかない。

 今も福一原発周辺だけでなく、広範囲が放射能汚染は深刻な段階にある。国は安全基準を緩和して避難家屋保障を打ち切って帰宅を促しているが、安全基準を緩和しても放射能被ばくが軽減したわけではない。
 今後予想される廃炉から放射性廃棄物の処分までの総経費は想像を絶する。それらがすべて国民の電気料金に加算されるのだ。「原発は安全な未来のエネルギー」などと電力会社の広告塔となって国民に「安全神話」を布教した芸能人たちは国民に謝罪すべきだ。

 そして「原子力は永遠のエネルギー」などといった大嘘をマスメディアは根拠も示さないで国民に刷り込んだ。しかし原子力が「永遠のエネルギー」になるには「プルトニュウム」の利用が前提だ。そのためには「高速増殖炉」の実現が必要不可欠だが、日本の高速増殖炉の実験炉「文殊」は約1兆円も費やして失敗に帰した。
 つまりウランの核分裂だけをエネルギー源とする限り、原子力は貧弱なエネルギー源でしかない。その埋蔵量は石油の数分の一で、石炭の数十分の一でしかない。現在の勢いでウランを使用すれば百年とたたずしてウラン鉱脈は枯渇するといわれている。

 しかも「安い」エネルギー源だ、という謳い文句も大嘘だった。事故がおなくても、放射性廃棄物の最終処分までの総経費を考慮するなら天文学的な経費を必要とすることが明らかになっている。「安全」でないことはもはや明白だ。
 そんな欠陥だらけの原発を大量導入したのは原爆の材料プルトニュウムを手に入れるためだとしか考えられない。日本政府は核爆弾を製造する目的で原子炉を造り無理やり稼働しているとしか考えなれない。それ以外に合理的な理由があれば聞きたいものだ。

 マスメディアが平成の30年間を振り返る特別番組を製作する上で。福一原発事故に触れなかったとするなら、自らマスメディアとしての責任を放棄し自殺したと批判するしかない。日本のマスメディアは腐り切っている。日々放射能被爆させられている日本国民を放置して、何が「真実報道」だ。

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