経済的な理由から少子化が進んでいるのは政治家の責任ではないのか。

<自民党の桜田義孝前五輪相は29日、千葉市で開かれた同党議員の政治資金パーティーで、「結婚しなくていいという女の人が増えている。お子さん、お孫さんには子供を最低3人くらい産むようにお願いしてもらいたい」と述べた。

 桜田氏は産経新聞の取材に「少子化対策の一環として発言した。子供を持つ幸せを享受してもらいたいと心から思った。子育てしやすい環境をつくることが大事だと言いたかった」と強調。同時に「それを押し付けるつもりも、だれかを傷付けるつもりもなかった」と語った>(以上「産経新聞」より引用)


 自民党の桜田義孝議員はよほど口の軽い御仁のようだ。「結婚しなくていいという女の人が増えている。お子さん、お孫さんには子供を最低3人くらい産むようにお願いしてもらいたい」と政治資金パーティーで発言したようだ。
 子を何人産むかは自由だ。それを三人くらい生むように、とは何事だ。世の中には生みたくても不幸にして産めない体の女性もいるし、男性にも生殖能力に障害があって性交しても妊娠に到らない人もいる。

 さらに三人とは初産で帝王切開だった女性には叶わない人数だ。そうした様々な「生みたくても産めない」人たちへの配慮を欠くし、健康な成人男女でも経済的に諦めざるを得ない家庭もゴマンとある。それこそ政治の責任だ。
 引き籠りが100万人を超える日本の歪な家庭環境を放置しているのも政治家の責任だ。引き籠りも「飲酒」や「薬物中毒」と同様に病気の一種だとなぜ考えないのだろうか。なぜ病気の一つと考えて、「引き籠の対策」を医学会の協力を要請して政府が具体的に「引き籠り」の社会復帰を積極的に政治課題に乗せないのだろうか。

 先日あった川崎市の痛ましい集団殺傷事件を引き起こした犯人・岩崎某51歳も「引き籠り」だったではないか。51歳の独身「引き籠り」が自身の前途に絶望し、発作的に凶行に及んだ、とも考えられはしないだろうか。
 その原因の多くは政治の責任だ。彼の犯行動機には社会に対する「復讐」があったのではないか。まったくの責任転換で決して許されないことだが、51歳の岩崎某は自分が望まない人生を歩んできた原因を社会に転化した身勝手な犯行ではなかったか。

 政治資金パーティーで会費2万円程度を支払って参集している支持者を前に、女性は子供を三人ほどは産んで欲しい、とは何処まで頭のネジが緩い男だろうか。労働者の四割が派遣や臨時雇いのその日暮らしの状態で婚姻も考えられないし、婚姻したところで子育ては諦めざるを得ない国民が大勢いる現実が桜田議員の視界には見えないのだろうか。
 政治資金パーティーに大枚を支払って集まっている人たちは労働者の四割が不安定な生活環境に突き落とされている原因が自公政権の「構造改革」による派遣業法の野放図な緩和にあることに思い到らないのだろうか。「恒産無くして恒心なし」とはけだし箴言だ。安定的な仕事に就けなければ長期的な人生設計を立てられないのは誰にだって解ることだ。もとより、政治家には解らなければならないことではないか。

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