安倍氏は口先だけの男だ。

領土問題で進展がなかったことには大いに失望した。国益を損なう安易な妥協が避けられたことには安堵した。今月22日、モスクワで行われた安倍晋三首相とプーチン大統領との会談は、北方領土問題に関して、現状の打開をもたらすには至らなかった。日本側が「2島返還」へと大きく舵を切る姿勢を鮮明にしているにもかかわらずだ。ロシア側が日本の方針変更に何の関心ももっていないことが、これではっきりした。6月のG20(20カ国・地域首脳会議)までに決着させるという政府の目標実現は遠のいたというべきだろう。
 最高気温が氷点下15度、凍えそうなほどのモスクワ、クレムリン(大統領府)で行われた両首脳による話し合いは、続くこと3時間。プーチン氏は、安倍首相を自らの執務室に招き入れ、父親の写真をみせながら、その思い出を語るなど、精一杯のサービスにこれつとめたという。
 しかし、結果はどうだったか。元島民の3回目の空路墓参、4島での共同経済活動促進などで合意した程度で、そればかりか、両国の貿易額を数年間で1.5倍の300億㌦に拡大することを日本側は約束させられた。
 会談終了後の記者会見で首相は、領土問題での進展があったかについて詳しく説明することを避けた。それどころか、「戦後70年以上残された問題の解決は容易ではない」と不機嫌な表情を隠さなかった。昨年11月14日、シンガポールでプーチン氏と会談した際、「残されてきた課題を次の世代に先送りすることなく、私とプーチン大統領との手で必ずや終止符を打つ」と見得を切ったことにくらべると、大きな違いだ。
 プーチン大統領も、このところロシア側がみせている強硬論に同調するような発言こそは避けたものの、「両国にとって」受け入れ可能な解決策をみいだすために、今後も長く綿密な作業が必要だーと強調。具体的事業に言及しながら、領土問題への関心よりも、日本からの経済協力を引き出すことが先決と思惑を繰り返しにじませた。
 東京での留守役、菅官房長官も、ことここにいたっては楽観的な見通しを放棄せざるを得なくなった。「すぐに結論が出るようななまやさしい問題ではない」(1月23日の記者会見)と厳しい認識を披瀝、交渉が長期化する見通しを示唆した。
 今回の首脳会談をめぐって、昨年秋から暮れにかけて、日本国内では「2島+アルファ」という方式で領土問題が大きく進展するかもしれないという楽観的な観測がなされていた。歯舞群島、色丹島の返還を優先させ、国後、択捉については見送り、両島の経済活動で日本を優遇するというのが、この考え方だ。従来の政府の方針からの大きな転換になるだけに、あくまでも「4島返還」を求めるべきという立場の人たちを中心に疑念と論議を呼んでいた。
 「2島+アルファ」が浮上したのは、昨年11月、シンガポールにおける両首脳の会談だった。戦争状態の終結、国交の正常化と歯舞、色丹両島の日本への「引き渡し」が明記された1956(昭和31)年の日ソ共同宣言を「交渉の基礎」とすることで合意し、それに続く12月のブエノスアイレスでの会談で、河野、ラブロフ両外相をそれぞれ交渉の責任者とすることが決まった。
 安倍首相はシンガポール会談直後の11月26日の衆院予算委員会で、「私たちの主張をしていればいいということではない。それで(戦後)70年間まったく(状況は)変わらなかった」と述べ、「4島返還」要求を放擲して「2島返還」へと方針を転換することを事実上明らかにした。
 こうした動きを受けて、年明け早々の2019年1月14日、河野外相がモスクワでラブロフ外相と会談したが、その過程で、日本側の方針変更にもかかわらず、ロシア側はむしろ以前にも増して強硬、かたくなな姿勢にでて、従来の姿勢に何ら変化のないことを鮮明にした。ラブロフ外相は、河野外相との会談で、「南ク―リル諸島(北方領土のロシア側呼称)は第2次大戦の結果、ロシア領になったことを日本側が認めない限り、交渉は進展しない」という不当な歴史認識を繰り返す厚顔ぶり。安倍首相が、北方領土返還の場合、ロシア人住民に帰属の変更を理解してもらう必要があるという旨の発言をしたことに対しても「受け入れがたい」と強く非難した。
 こういう状況のなかで今回のモスクワ会談。成果をみずに終わったことで、はっきりしたのは、「2島+アルファ」という日本側にとっては大きな方針転換であるにもかかわらず、ロシア側はこれに応える意志がまったくないということだ。2島はもちろん、1島いや1片の土地、石ころひとつすら返す意志を持たないだろう。
 返還に反対するロシア国民による集会がモスクワにまで拡大したなど国内事情、世論の動きをプーチン政権が気にしているのかもしれないが、日本側にとっては、いわば熱意に冷や水を浴びせられた格好になったというべきだろう。
 「解決は容易ではない」と首相発言が交代したのも、だれよりも自身が先方の硬い姿勢を感じ取ったからではないか。
 日露外相会談翌々日の1月16日付、産経新聞は社説に当たる「主張」で、「〝2島〟戦術破綻は鮮明」という見出しを掲げ、これまでの基本方針を安易に放擲したことに苦言を呈し、「4島の返還を要求するという原則に立ち返るべき」と説いた。その通りだろう>(以上「産経新聞」より引用)


 安倍氏の「口先政治」もここに極まった。実体のない大言壮語で国民の「きたい」を集め、実体のない口先だけの言葉だから結果はついてこない、という猿芝居を何度国民は見てきたことだろうか。
 日ロ首脳会談も「そうなる」と私は予言していた。「二島先行返還」にプーチン氏が乗ったらどうなるか、という評論家もいたが、もとよりプーチン氏は「二島返還」すら持ち出せないほどロシア国民の支持率は低下していた。結果は報道の通りだ。「理解は深まった」と安倍氏は記者報告(記者会見ではない)で胸を張ったが、いかなる「理解」がどの程度「深まった」のかの説明はないままだ。つまり空虚な口先政治の延長上の姿勢を誇示したに過ぎない。

 なぜ安倍氏はロシアを無視しないのだろうか。無視すれば良い。プーチン氏が何か呼び掛けて来ようとも、無視すれば良い。
 ロシア側からの経済援助の申し出も、共同開発の呼びかけも、すべて無視すれば良い。北方四島の返還なしには何百年かかろうともロシアと平和条約を締結する意思はない、と明確に意思表示しておくべきだ。

 なぜなら、ロシアは必ず行き詰まる。民生部門の投資もなければ技術振興もなく、ただただ軍産共同体に国家予算を投じる政策では国家財政は疲弊するだけだ。行き着くところ、旧ソ連の二の舞の国家崩壊だ。
 韓国並のGDPしかないロシアが冬の間は農耕の出来ないウラル山脈以西の版図から世界随一の凍土のシベリアから極東までの広大な不毛の領土を抱え、1億4千万人もの国民を飢えさせないのは容易ではない。

 軍産共同体には「兵器輸出」という「死の産業」もあるが、到底兵器商売で軍備に費やす国家予算を充填するに足りるわけがない。しかも全土に配備している数千発の核ミサイルの維持・管理も容易ではない。
 決してロシアに援助してはならない。これまでムネオハウスなどで援助した馬鹿な政治家がいたが、その結果1ミリでも北方領土が日本に近付いただろうか。佐藤某ロシア評論家は「二島返還が現実的だ」と安倍氏の「四島一括返還」からの変節を歓迎していたが、結果は対ロ外交を1956年の線まで後退させただけだ。国益を損なったという自覚が彼らにないとすれば政治家もロシア外交評論家も看板を下ろすことだ。

 さて、安倍氏の「口先外交」に、まだ日本国民は倦んでいないのだろうか。「拉致問題は私の手で解決する」と言ったのは六年も前のことだ。「国難」と称した北朝鮮のミサイル問題に関しても、安倍氏が一体何をどうしたというのだろうか。
 そしてロシアだ。プーチン氏に鼻先であしらわれる無様さを世界に曝した。それでも口先では「理解が深まった」と愚にもつかないことを言っている。それも質問のない「記者発表」でだ。もはや自公国会議員諸氏は国辱の宰相・安倍を国外に出してはならない。

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