米国、ロシア、中国の貧困化する国民。
<2000年前後の4年間、中国深センで解体作業員として働いていたWang Zhaohongさんは、かつて国境沿いの寒村だったこの街を、活気あふれる大都市に変貌させる手助けをした。現在、寝たきりでやせ細った50歳のWangさんは、苦しい息の下から、結局あの仕事が自分の命を奪うことになる、と語る。
米国の貧困率はカナダ・イギリス・アイルランド・スウェーデン・ノルウェーと比較しても最も高い。だが国民の政治に対する関心度は低く、2016年の大統領選で投票に行ったのは有権者人口の約55.7%。OECD平均の投票率は75%で、アメリカの選挙投票率は世界28位に位置する。これは登録有権者の数が他国よりも少ないのが原因の1つで、アメリカの有権者人口のうち登録されている人は64%に留まり、日本の99%やカナダ・イギリスの91%という数字よりもはるかに低い。
湖南省にある辺境の県からやってきたWangさんや仲間の作業員たちは、深センの開発ブームの中で、適切な安全装備もないまま、大量の粉じんを吸い込んだせいで、「珪肺(けいはい)」と呼ばれる肺疾患を発症した。Wangさんの症状は重い。彼は、次の旧正月は迎えられないのではないかと予感している。
中国は今月、世界第2位の経済大国への発展をもたらした経済政策「改革開放」の開始から40周年を迎える。数億もの国民が貧困から脱出する一方で、Wangさんのような人々は中国の発展がもたらした大きな人的被害を思い起こさせるが、当局は情報を統制し抗議行動を押さえ込もうとしている。じん肺、つまり珪肺など粉じんに由来する肺疾患に苦しむ労働者を支援する北京の非政府団体「大愛清塵」の推定によれば、この症状に苦しむ患者とすでに死亡した人の合計は約600万人に達している。
Wangさんなど、湖南省3県からの出稼ぎ労働者数百人は、深セン市に対して補償を求めて抗議している。「同じマスクを10日間使ってからでなければ、新しいものが支給されなかった」と、桑植県にある生まれ故郷の貧しい村でWangさんは語った。「当時の上司は私たちに、『毎日新しいマスクを使っていたら、どうやって稼ぐんだ』とよく言っていた」
解体作業員の当時の報酬は月5000─6000元(約8万2000─9万8000円)で、他の出稼ぎ労働者が稼ぐ2倍から3倍に達していた。署名された契約書などはほとんど存在しないため、十分な補償を受けることはほぼ不可能だ。深セン市政府は一部の労働者に対し、症状の重さに応じて、最大22万元の支払いを提示しているが、到底十分とは言えない、と労働者側を代表するGu Fuxiangさんは語る。
すでに10年近くに及ぶ闘争の先行きは暗い。11月初旬には深セン市役所で座り込みが行われたが、治安部隊による暴行を受けたと、参加した5人の労働者は語った。「ここの地方自治体にとっても深セン市政府にとっても、治安維持が絶対の最優先課題になっている」と自分も軽度の珪肺に苦しむGuさんは語る。「発展の代償はわれわれの命だった。われわれが病気になっても、死んだとしても、政府は気にかけない」
深セン市政府に取材を申し入れると、広報担当者からは警察・社会保障・保健・経済改革の各部門を紹介された。保健部門にコメントを求めたところ、電話を切られてしまい、経済改革部門もコメントを拒んだ。警察・社会保障部門には何度も電話をかけたが応答がなかった>(以上「Newsweek」より引用)
中国の富裕層は約7000万人といわれている。その他の13億人とも15億人ともいわれる中国民は日々の暮らしが困難な「貧困層」だ。その中でも約7万人の農村戸籍の人たちは極端な貧困に喘いでいる。
中国の経済成長はそうした「奴隷」を使役して獲得したものだ。つまり中国社会に公然と存在する都市戸籍と農村戸籍との差別と格差を是正するのではなく、固定化させることによって「安価な労働力」を中国国内でも確保して、国営企業(主として「軍区」が経営している)が利益を上げて軍利権として搾り取っていた。
しかし経済成長が行き詰まり、生活水準の高度化に伴う消費者物価の高騰と相俟って、貧富の格差は拡大している。中共政府は経済減速(実態はマイナス成長ではないかと思われる)による倒産や閉鎖などで街に溢れる失業者の「農民工」を都市から出身地の農村部へ戻そうとしている。
失業した農民工を都市に放置していると治安の悪化から暴動を招きかねないからだ。しかし農民工が故郷へ戻ったところで仕事はない。農地は荒れ果て、まともな水もなくなっている。
しかしこうした貧富の格差に苦しんでいるのはロシアや中国だけではない。世界に冠たる超大国・米国でも貧困問題は深刻だ。アメリカでは福祉に関する予算がカットされ、セーフティーネットがうまく機能しない状態で4000万人が貧困の中で暮らしている。
米国防費は中国・サウジアラビア・ロシア・イギリス・インド・フランス・日本を合わせたよりも多いが、1人あたりが支出する医療費はOECD平均の2倍である。しかし、1人あたりの医師数と病院のベッド数はOECD平均よりも少ない。
なお2013年の乳幼児死亡率は先進国の中で最も高かった。つまり他の民主主義国に比べてアメリカ人は「短命で病気になりやすい人生」を送っている。
中国の経済成長はそうした「奴隷」を使役して獲得したものだ。つまり中国社会に公然と存在する都市戸籍と農村戸籍との差別と格差を是正するのではなく、固定化させることによって「安価な労働力」を中国国内でも確保して、国営企業(主として「軍区」が経営している)が利益を上げて軍利権として搾り取っていた。
しかし経済成長が行き詰まり、生活水準の高度化に伴う消費者物価の高騰と相俟って、貧富の格差は拡大している。中共政府は経済減速(実態はマイナス成長ではないかと思われる)による倒産や閉鎖などで街に溢れる失業者の「農民工」を都市から出身地の農村部へ戻そうとしている。
失業した農民工を都市に放置していると治安の悪化から暴動を招きかねないからだ。しかし農民工が故郷へ戻ったところで仕事はない。農地は荒れ果て、まともな水もなくなっている。
しかしこうした貧富の格差に苦しんでいるのはロシアや中国だけではない。世界に冠たる超大国・米国でも貧困問題は深刻だ。アメリカでは福祉に関する予算がカットされ、セーフティーネットがうまく機能しない状態で4000万人が貧困の中で暮らしている。
米国防費は中国・サウジアラビア・ロシア・イギリス・インド・フランス・日本を合わせたよりも多いが、1人あたりが支出する医療費はOECD平均の2倍である。しかし、1人あたりの医師数と病院のベッド数はOECD平均よりも少ない。
なお2013年の乳幼児死亡率は先進国の中で最も高かった。つまり他の民主主義国に比べてアメリカ人は「短命で病気になりやすい人生」を送っている。
ジカ熱を含む熱帯病はアメリカにおいて驚くほどに一般的となった。1200万人のアメリカ人の寄生虫感染症が無視されており、2017年の報告によるとアラバマ州のラウンズ郡では十二指腸虫症がまん延している。
アメリカでは肥満の罹患率が世界一だ。そして水と衛生設備へのアクセスは、世界で36位だ。米国の収監率はOECD平均の約5倍で、ロシアやタイ、トルクメニスタンよりも高い。その要因として青少年の貧困率はOECD平均では14%であるのに対し、アメリカでは約25%にも上っていることが挙げられる。
つまり戸籍や住民票を持たない、あるいはあっても関心度が低く選挙人名簿に登録しない人が多いことを表している。それで「民主主義」を世界へ輸出しようとしているのは何かの皮肉としか思えない。
一つ前のブログでロシアの国民の現状をかなり克明に記した。このブログで中国と米国の貧困について記した。ことに世界に冠たる超大国の国民の多くが貧困に苦しんでいる実態を日本の多くの人に知って頂きたい。
米国、ロシア、中国と世界で覇を競う三ヶ国がこぞって貧困を国内に抱えていることを、いかに解釈し理解すれば良いのだろうか。
国家とは何だろうか。政治は誰のためにあるのだろうか。そして軍隊とはいったい何のために保有するのだろうか。
安倍自公政権は国内の増加しつつある貧困層を放置したまま、防衛力増強に血眼になっている。それは果たして国民のための政治といえるのだろうか。覇を競う国家に拍手喝采する人たちが、実は国際的には「貧困層」とされる国民だという事実を知らされないまま、空母や戦闘機に誇りを持たされているだけだとしたら。国民は本気で幸福や国家について考えなければならない。