小池氏は「大同小異」に立つべきで、排除の論理に立ってはならない。

��「私どもの政策に合致するのかどうか、さまざまな観点から絞り込みをしていきたい。全員を受け入れるということはさらさらない」

 29日午前、東京・新宿のホテルで民進党の前原誠司代表との会談を終えた小池氏は民進党の候補者の受け入れについて、記者団にこう述べた。小池氏側は前原氏から前日の28日、希望の党からの立候補を望む前職、元職、新人のリストを受け取っていたが、小池氏は安全保障法制や憲法改正などへの賛同など、一定の条件を満たした候補者のみ合流を認める「排除の論理」を強調した。

 しかし、希望の党には排除の論理だけを貫けない事情もある。基本的に候補者数が不足しているためだ。小池氏は「突然の選挙で候補予定の方が、特に新人がなかなか(集まらず)現実の壁になっている」と話す。

 今回の衆院選を小池氏は「政権選択選挙」と位置付けている。十分な数の候補擁立はその前提条件だ。小池氏は28日の日本記者クラブの記者会見で、旧日本新党時代に河野洋平元衆院議長らが所属した「新自由クラブ」を研究したと明かし「なぜ、新自由クラブが政権を取れなかったかというと候補者が足りなかったから。できるだけ多くの候補者を出していく」と述べた。

 仮に、民進党の候補予定者全員を受け入れれば衆院定数の過半数となる233人以上の擁立も容易になる。豊富な資金と候補予定者を抱える民進党との合流は、小池氏にとっては助け舟だった側面もある。

 それでも「排除の論理」を強調するのは、与党からの「野合」批判を懸念しているためだ。候補者不足を補うためには、できるだけ多くの民進党候補者を取り入れたいのが本音だが、かといって「民進党色」が強まればイメージダウンになるジレンマを抱える。

 選別を巡っては細野豪志元環境相が28日、「三権の長を経験した方はご遠慮いただく」と語った。該当する野田佳彦前首相は29日、千葉県船橋市で記者団に「先に離党した人(細野氏)の股をくぐる気はまったくない」と不快感をあらわにした。菅直人元首相は周囲に「こちらから何かする話ではない」と語った。

 小池氏は29日、菅、野田両氏の排除について「一つの考え方だ」と否定しなかった。旧民主党政権を担った民進党の「象徴」の参加を拒絶することで、「小池氏主導で厳しく選別した」とアピールする狙いがある。

 ただ、小池氏の「排除」発言で、民進党は混乱した。同党は29日午前9時すぎ、全候補者向けに大島敦幹事長名で民進党への「離党届」と希望の党への「公認申請」の書類をメールで一斉送信したが、小池氏と前原氏の会談が終わった約2時間後、廃棄するよう求めるメールを送った。「リベラル派が合流を拒絶される」「前原代表はだまされた」(関係者)との反発が党内で広がり、手続きをいったん中止したとみられる。

 大島氏は「代表は(全員受け入れられるよう)全力で努力すると言っていたのでそこに尽きる」と述べ、沈静化を図ったが、党内の混乱は当面続きそうだ。

 前原氏は29日夕、愛知県岡崎市での会合であいさつし「民進党という名前は近い将来なくなる。しかし大きな流れを作るなかで、1強多弱を止めることは歴史の必然として必要だ」と合流に理解を求めた。


 政府・与党は「選挙目当ての数合わせ」(菅義偉官房長官)などと「野合」批判を強めている。特に、安全保障関連法や消費税を巡る小池氏と民進党の重要政策に隔たりがある点を強調。「希望の党は民進党が看板を掛け替えただけ」と訴え、新党イメージを打ち消そうとしている。

 「言っていることが全然違うので、どうしてそれが一緒になるのかが分からない」。麻生太郎副総理兼財務相は29日、首相官邸で記者団に対し、小池氏が賛成していた安全保障関連法に、前原氏は反対したと指摘。消費税率引き上げによる増収分を教育無償化などに使うと主張していた民進党と、消費税率引き上げ凍結を掲げる小池氏の合流を「誰が考えたって、理解できない」と批判した。公明党の石井啓一国土交通相も記者会見で「政策の議論より、選挙の受け皿の動きが先行していることに違和感を持っている。『国民』というより、『候補者』にとっての希望になっているのではないか」と皮肉った。

 政府・与党は、発信力のある小池氏と、多くの候補者、組織を持つ民進党の合流で「頭は小池、体は民進」(自民党幹部)の新党が生まれることを懸念している。政権選択選挙となり「党首力勝負」となれば、小池氏はあなどれない。

 小池氏が希望の党設立を表明した25日以降、小池氏のニュースがワイドショーを席巻していることも懸念材料の一つだ。自民党閣僚経験者は「2005年の郵政選挙の時の小泉純一郎首相(当時)の手法に似ている」と表情をこわ張らせる。

 小池氏は否定するが、メディアの関心を引きつけ、公示直前になって小池氏が小選挙区への立候補を発表するとの臆測も広がっている。政府高官は「もったいつけてないで、早く出ると言え」といらだたしげに話す。小野寺五典防衛相は「政権選択選挙であれば、誰を首相に指名するか国民に示して選挙を行うのが筋だ」と指摘した。

 自公両党は政権運営の実績を訴えるとともに、具体的政策を掲げることで違いを強調したい考えだ。自民党の岸田文雄政調会長は29日、党本部で記者団に希望の党について「政策も、候補者も決まっていない。未来に向けては何も示すことができていない」と批判した>(以上「毎日新聞」より引用)


 希望の党はまだ選挙で勝ったわけではない。それにも拘らず、意に染まない人は排除する、という「排除の理論」では多数政党を形成することは出来ない。 

 大同小異という言葉がある。安全保障が異なれば同一の党として行動できないというのは正しいが、小池氏の考える「安全保障策」が正しいかどうかを小池氏は考えたことがあるだろうか。安倍自公政権が現行憲法違反で勝手に制定した「戦争法」が正しいというのなら、小池氏の安全保障の対する考えは誤っている。


 しかしそれは小異だ。大同は安倍自公政権の暴走を止めて、安倍自公政権の暴走を許した自民党と公明党による「憲政主義」破壊の勢力を政権与党から引きずり下ろすことだ。

 そのためにすべての野党勢力と手を組むことは小池氏の「コダワリ」よりも遥かに重要だし小異よりも優先されることだ。細野氏の首相経験者はご遠慮願うとは、なんと料簡の「細い」ことだろうか。それで名がホソノということなのだろうか。


 白い猫だろうと黒い猫だろうと鼠を捕らえる猫は良い猫だ、という考えに立つべきだ。そして政権獲得後に寄り合い所帯の異論が噴出した際には議論を活発に行い「党内民主主義」を徹底させることだ。

 当然、希望の党が全国から入党活動を行って獲得した「党員」からの意見聴取も欠かさず行い、国民の民意が奈辺にあるかを真摯に問い続ける姿勢が政治家には必要なのは論を俟たない。小池氏や細野氏や若狭氏たちが「希望の党」は自分たちのものだから、後入りは黙ってついて来い、というのでは全体主義でしかない。


 希望の党はすべての安倍自公政権を打倒する勢力と手を握ることだ。維新の党が安倍自公政権の補完勢力だったことは明白だ。心の党もまさしく自民党と同一かそれ以上に右翼だ。それでも手を握ることに異論はない。それもこれも安倍自公政権を倒すためにはすべての野党と手を握る必要があるからだ。

 憲法違反を平気で繰り返す政権は排除すべきだ。共産党が党の要綱に「共産主義」を掲げているからといって、現実に暴力革命を容認しているわけではないし、実際に公序良俗に反しているわけではない。それなら共産党を排除する必要がどこにあるというのだろうか。


 チマチマとした料簡で倒せるほど安倍自公政権は弱くない。何しろ日本会議と創価学会という思考停止に凝り固まった大勢の支持者たちが「民主主義」の多数意見が「勝つ」という仕組みに乗っ取って、日本を乗っ取っているからだ。

 自由な発想に立脚する人たちは「思考停止に凝り固まっている人たち」と比較すると弱いのは当たり前だ。自由な発想で多種多様な意見が混在すれば小池氏のような「自分主義」が頭をもたげて多数政党を形成できないからだ。しかし、民主主義とは本来そのような金子みすゞの詩にあるように「みんな違って みんないい」でなければならない。


 排除の理論を突き詰めれば連合赤軍のように、最後の一人になるまで殺戮を繰り返すものだ。与党の連中は「数合わせだ」と陳腐な批判をしているようだが、国会の機能を停止してまで選挙に打って出る政権を牽制できなかった馬鹿な政治家諸氏に指摘されるいわれはない。

 民主主義とは本来「数合わせ」ではないのか。その数合わせの原理は大同小異だ。そこに議論の余地があり、論理の進展がある。思考停止の団体には出来ないことだ。小池氏も早くも小池教祖になろうとしているのは、まさか「希望の党」を民主政党から宗教政党に衣更えするつもりなのではないだろう。


 それなら排除の論理に立って入党希望者を制限してはならない。そして安倍政権を倒す、という一点のみの接点で連合を組んでも何ら不都合はない。それは三権分立を機能させ、立憲主義を守ることだからだ。



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