近隣諸国の脅威が「戦争法」の正当化に利用されてはならない。

<先週始まった通常国会の論戦に、北朝鮮の核実験が影響を及ぼしそうだ。北朝鮮が脅威だとの認識が改めて広がり、安全保障関連法の廃止を訴える野党は対応に苦慮している。自民党側も、当初は昨年末の慰安婦問題に関する日韓合意に対し安倍晋三首相に近い保守層から不満が出ていたが、対北朝鮮での日韓連携への必要性が強調され、合意の説得力が増す結果となっている。
 「強行採決で議事録も取れなかった。このような国会運営で行われた安保法制の採決をどう思っているのか」
 8日の衆院予算委員会で、民主党の大串博志氏は、昨年9月の安保関連法成立に向けた特別委員会での「強行採決」を批判。法律の中身よりも安倍政権の「強引な手法」に焦点を当てて追及した。
 しかし、首相は「アジア、中東の情勢も緊迫している中で、国民の命を守り抜かなければならない。必要な自衛のための措置を考え抜いた結果だ」と述べ、北朝鮮問題などで緊迫する国際情勢への対応の重要性を訴えた>(以上「毎日新聞」より引用)

 北朝鮮の「核実験」や中東の対立激化などを挙げて、緊迫する世界情勢を安倍首相が強調して「戦争法」の必要性と正当性を主張したという。それに対して野党が「困ったことになった」と腰が引けるようでは困ったものだ。
 いずれも利権確保に懸命な連中が米国の掌で踊らされているに過ぎない。一握りの指導者たちは国民の暮らしや安全よりも自身と一族の安寧と贅沢のために国民の生命を危険にさらし、毀損している。

 北朝鮮の「水爆」実験は核兵器開発以上のものではない。北朝鮮が保有するミサイル攻撃から日本国土と国民を防衛するのは困難だ。発射からほんの数分で日本に到達する北のミサイルを途中で撃ち落とすのは至難の業だ。
 北朝鮮が日本を攻撃する実行段階に入ったなら、北のミサイル基地を事前に破壊するしか日本の防衛手段はない。そう考えると、米国と自公政権が北朝鮮の核開発阻止に無力だったことが今日の脅威を育てたというしかない。つまり米国と自公政権により作られた脅威だ。

 中国に対しても米国は日本の脅威になるまで南シナ海の岩礁造成を放置していた。いつもの米国のやり方だ。奇しくも習近平が「太平洋は中国と米国が東西二分して支配しても十分に広い」と逆上せ上った提案をオバマ氏にしたのも、オバマ氏がそう言わしめるだけの助長をしていたのではないかと思わざるを得ない。つまり日本へ多少の脅威を与えても、米国は黙っているよ、というシグナルを送っていたのではないだろうか。
 米国は北朝鮮に対しても、核開発をしてはならない、と表向きは批判しつつ、日本への脅威が育つのを内心では歓迎していたのではないだろうか。なぜカダフィやフセインは核開発をやめたのに殲滅され、金独裁政権は核開発を実施したにもかかわらず存続しているのか。それだけ日本が米国の本土防衛に必要だ、ということではないだろうか。

 野党は北朝鮮の核実験に怯んではならない。「戦争法」は憲法違反で、日本は周辺事態以外の遠隔地の紛争に自衛隊を決して派遣してはならない。平和維持の国際貢献というのなら、まず国連が日本をそれなりに処遇すべきだ。
 安保理常任理事国の利害調整機関に過ぎない「国連」が提唱する「国際平和維持活動」に日本が自衛隊を派遣する必然性がどこにあるというのだろうか。国家指導者同士の話し合いよりも、国民同士の話し合いの方を重視すべきだ。そのために必要なのは健全な政権から独立した自由な報道機関だが、日本にそうしたマスメディアが存在しないのが悲しい現実だ。言論人の奮起を促すしかない。


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