やっと気付いたか、日銀黒田総裁がスタグフレーション懸念を表明。

 朝日新聞によると<黒田東彦総裁は15日米コロンビア大大学院が都内で開いた会議で「日本経済が中長期的に成長するためには供給力の拡大が重要」と強調した。「この1年ほどの間に、大規模な金融緩和、財政支出、民間活動の活性化によって需要が高まると、水面下に隠れていた供給力の問題が姿を現した」と指摘。「具体的な人手不足という現象を推進力にして、成長力の問題を広く議論し、解決を模索していくべきだ」と述べた。 
 背景には日銀の想定よりも早く人手不足などの供給側の制約要因が現れ、日本経済の成長の壁が見えてきたことがある。輸出の低迷が続き、成長率が日銀の想定を下回っているにもかかわらず、物価はこれまでのところ想定を若干上回るペースで上昇。雇用のミスマッチや生産設備の老朽化などで日本経済の供給力に思いのほか余力がなかったと解釈されている>(以上『朝日新聞』引用)

 解りきっていたことを今更ながら黒田氏が追認したに過ぎない。異次元金融緩和に踏み切る前提条件が的確にして効果的な経済成長戦略の政策実施だったはずだ。しかし黒田氏は本末転倒に金融需要のいかんも考慮せず、一方的に『異次元金融緩和』に突っ走ってしまった。常軌の沙汰とは云い難い金融政策を日銀は採った。
 その結果として円安を招来したが、多くの輸出製造業が製造拠点を海外移転していたため、円安の日本経済に対する影響は限定的だった。つまり企業利益は増大させたものの、それは輸入生活消費財の高騰という国民生活コストの高騰という、いわば国民所得の富の企業への移転に過ぎない結果となってしまった。

 そこへもって来て消費増税だ。最悪の結果になることは火を見るよりも明らかだが、御用マスメディアは景気に対して『大した影響はない』『一時的なものだ』と政府ヨイショ報道を繰り返してきた。しかし経済は嘘をつかない。個人可処分所得が減少すれば個人消費が縮むのは当然の帰結だ。
 日銀総裁はやっと事態の重大さに気付き始めたようだ。しかし彼は直接安倍首相に苦言を呈す勇気はないようだ。遥かかなたの米国で講演したのなら『スタグフレーション発言』のアリバイ作りは出来て暗愚な日銀総裁でなかったと言い訳は出来るし、直接安倍首相を批判して刺激することもないだろう、と姑息な判断でもしたのだろうか。

 しかし彼が責任を取るべきは日本国民に対してだ。自律的な金融運営をすべき日銀総裁が安倍首相にコミットするのを前提として選任される、という日銀史上に類例を見ない失態を刻んだ。黒田氏の罪は万死に当たるし、それを止められなかった日銀幹部たちも無能の誹りを免れないだろう。
 残念ながら景気は間違いなく失速する。バカなマスメディアは来年の10%消費増税導入を既定路線として軽減策を報じて政府の御用報道機関の面目躍如たる働きをしているが、そうは問屋が卸さない。経済問題はオチャラケたバラエティーとは別に、まじめに報道して頂きたいものだ。アベノミクスと散々持ち上げて来たマスメディアはどのようにして安倍戦線から撤退するのか、見ものだ。


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