TPP参加で関税自主権を放棄すべきではない。

  明治政府にとって江戸幕府が無知ゆえに外国と締結した不平等条約の撤廃と関税自主権を取り戻すことが悲願だった。そのために日本が文明国であることを示す証として鹿鳴館を建設して夜毎舞踏会を開催したのは知られるところだ。


 もちろん「富国強兵」の国家目標も平等な外交を獲得するために必要とされたからだ。明治時代の先人が経験した世界とはまさしく「弱肉強食」の帝国主義まっ盛りだった。


 


 現代国際社会はどうだろうか。「弱肉強食」の帝国主義とは無縁な自由平等な社会になっているだろうか。


 少なくとも日本の近隣諸国を観察する限りではそうではない。中国の外交姿勢はアフリカ諸国から「新帝国主義」と評されて批判されている。


 


 TPPは現代の黒船だ。関税の撤廃こそが自由貿易のあり方だというのは間違いではないだろうか。行き過ぎた保護貿易は国民生活を抑圧しかねないが、関税撤廃は国内産業を破壊しかねない。


 それのみならず、非関税障壁の撤廃という行き過ぎた非関税化は国内文化や伝統までも破壊しかねない。たとえば「軽基準」の撤廃は国民生活に大きな不利益をもたらすだろう。地方に暮らす者にとって軽自動車は必須の道具だ。


 


 さらに日本は米国から「国道や幹線道路」の改良を突き付けられかねない。米国製コンボイや米国製トレーラーハウスが日本で売れないのは「非関税障壁」の存在があるからだ、と幹線道路の高さ制限や道路幅を米国並みにせよ、とISD条項で裁定されれば飛んでもない歳出を強いられることになる。


 たとえば日本基準のアルミサッシや製材製品の国内規格も米国製品排除の非関税障壁だと認定されれば国内製造メーカーは生産ラインの組み替えをしなければならないし、国内プレハブメーカーは米国プレハブメーカーを競争相手にしなければならないだろう。内外価格格差のある建築関係製品に関してはあらゆるものに及ぶことを覚悟しなければならないだろう。たとえばシステムキッチンやユニットバスやm規格の管などもインチ規格に変更せざるを得ないかもしれない。


 


 建築に関して現在のボトルや家屋規格を尺貫法からメートル法に読替えているように、インチ法に読替える必要が生じることになるかも知れない。それらは「力関係」で決まるのはなく、ISD条項による提訴と世界銀行下の一組織の紛争調停部署で裁定されるため、米国の思惑通りになると考えなければならないだろう。


 それが不平等だというのなら、TPP参加国から平等に委員を選出した「TPP利害調停委員会」(仮称)といったモノの設置までも含めた議論をすべきだ。さもなくばTPP参加は米国ハゲ鷹たちの前に日本のあらゆる市場を生身で差し出すことだと認識すべきだ。TPP参加の行き着く先は「自由貿易」の実現や、日本と日本国民の利益に決してならないことを肝に銘ずべきだ。



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