社会保障は「負担は応能で、支給は一律」が大原則だ。

  社会保障改革の骨子を取り纏め「改革の工程表」を閣議決定したという。それによると世代間対立を煽るのではなく、応能負担原則を年齢に関係なく適応し、医療費の70歳から74歳までの自己負担が1割に軽減されているものを2割負担にするという。


 その他にも国保の市町村所管を都道府県所管に移して赤字に陥っている高齢者率の高い町村の国保会計を広域化することにより改善することや、高額医療費の所得制限をきめ細かくして負担を軽減するとしている。


 


 確かに総額100兆円を超える巨額な社会保障費の支出を抑制する措置を講じるのは必要だろう。しかしその主目的が30兆円に迫る政府支出を抑制するためだけだとしたら本末転倒だ。


 社会保障費の中身を見ると年金支出が全体の約52%を占めている。次に大きいのは医療費支出の約30%だ。そうすると社会保障費削減で医療費支出を目の敵にするのは全体の均衡を欠いているのではないだろうか。


 


 いうまでもなく医療費は病気になった際に医療機関に掛ることにより発生する。病気に罹るのは誰も望まないが、病気になったら生命の危機に対処するために必要な措置だ。その医療費支出を削減することは国民の生命に直接かかわる重大事だ。


 それに引き換え、年金会計は巨額だが生活できない国民年金は放置されたままだ。平成22年度でみると年金支出総額約53.2兆円だが、年金支給人口約2900万人で割ると180万円となる。つまり年金が一律支給なら一人当たり年額約180万円の支給が可能ということだ。実際には年金関係の人件費や役所経費に奪われて支給額はかなり減額となるだろうが、それでも一律年金支給制度にすれば暮らせる年金の支給は可能だと解るだろう。


 


 年金一律支給への第一段階として民主党政権は「最低保障年金制度」の創設を2009マニフェストに掲げていた。それはまさしく社会保障のあり方を本来のモノに戻そうとする画期的な政策だった。しかし官僚とその広報機関のマスメディアによって潰されてしまった。


 なぜ彼らは「最低保障年金」制度を目の敵にして潰したのか。万が一にも年金が一律支給になれば現在最も優遇されている公務員・官僚たちの年金が減額されるからだ。もちろんマスメディア従事者たちは厚生年金でも高額所得者のため、高額厚生年金受給者だから彼らも「既得権益」を失いたくないからだ。


 


 現行の一見分かり難い会計制度は官僚たちにとって便利な代物だろう。社会保険会計と税金からの繰り入れと別々に議論が分けられるため、ある時は全体を語って100兆円を超える社会保障、と国民に社会保障費総額が莫大なものだと認識させ、だから削減すべきだ、との議論に引き込みやすい。


 そして国民に社会保障政策を語る場合は税から各会計へ繰り入れる金額を説明するため、これほど各種制度に政府は意を砕いていると説明できる。つまり税と公的負担の全体像で議論するのではなく、個別的に都合の良いところを切り口として取り出すことにより官僚のペースに国民を誘導しているのだ。


 


 誤魔化されてはならない。この国の最大の既得勢力は実は公務員・官僚たちなのだ。彼らがこの国の税と公的負担を一番食い物にしている。


 社会保障は「負担の応能で、支給は一律」が大原則だということを肝に銘じて政治家や評論家たちの議論に耳を傾ける必要がある。



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