経済成長なきインフレは不況の悪性インフレに過ぎない。
マスメディアが囃し立てるアベノミクスの実態は金融政策に過ぎない。それも日銀の輪転機を速く回して大量の紙幣を刷って市中へばら撒くという実に荒っぽいものだ。
これまでの金融緩和の常套手段は公定歩合引き下げと資金量の増大を両輪として上手く舵取りしていたものだが、今回は引き下げるべき公定歩合のノリ代はなく、後は「流通資金量を2年で2倍にする」と叫ぶしかなかった。
それを異次元の金融緩和策だと日銀総裁は悦に入っていたが、何のことはないハゲ鷹の食い物にされただけだ。先週末からの株の乱高下が止まらない。国内株式の6割を握るハゲ鷹投機家が激しく売り買いを繰り返しているからだ。
基本的に日本の株式価格はまだ低いとみられているが、企業業績の回復が経済実態として指数に現れる前に株式が一本調子で高騰していたのは異常というしかなかった。それはハゲ鷹たちの仕掛けで、それに日本のマスメディアも一緒になって「株が上がったゾー、まだまだ上がるゾー」と囃し立てたものだから、個人投資家たちも半信半疑ながら株式投資に戻ってきた。それを待ち受けていたようにハゲ鷹たちが利食い売りを仕掛けた。
後は日本の株式市場はハゲ鷹たちの玩具にされて、個人投資家たちが追証に追われて破産していくのだろうか。マスメディアに踊らされた個人投資家たちは株式市場を動かしているハゲ鷹たちの資金力にかなうはずもなく、食い物にされるだけだと心しなければならない。
しかし金融博奕ゲームはゲームとして、政府が本気でなすべきことは経済成長戦略の策定と早期実施だ。経済成長率の範囲内のインフレ率なら、正常な経済として容認されるべきものだ。国民経済を破壊するものではないが、経済成長なきインフレはスタグフレーション以外の何物でもない。
マスメディアは金融バブルを煽るのではなく、経済成長戦略の実効性を検証すべきだ。そして果たしてこの国の経済は拡大に向かって堅実な歩みを始めたのか、客観的かつ冷静に報道すべきだ。