アベノミクスの効果はまだ何も国民経済に波及していない。
アベノミクスで景気が良くなったかのように囃し立てているのはマスメディアだけだ。実体として波及しているのは輸入商品価格が値上がりしているだけで、それが国民所得の増加になったという数字はまだ何も上がっていない。
この春闘で労働賃金が自給で16円だか上がったというのは春闘の統計に出てくる企業だけの話で、勤労者のほんの一握りの人たちのことでしかない。国民経済で見ればまだ何も起こっていないのが正解だ。
安倍首相がアベノミクスで景気が良くなった、と主張しているのは勘違いだ。しかも成長戦略の一つに掲げているのは企業の海外展開を促進する、というもので、国内産業の空洞化を促進することを以て成長戦略にするというチグハグぶりだ。
現在まで何が出来ていて、何が出来ていないかをはっきりさせておく必要がある。そうでないと良いものはすべてアベノミクスの成果で、悪いものはすべて民主党政権の残滓にされてはかなわない。
安倍政権の成果だと自画自賛するには余りに早過ぎる。瞬間湯沸かし器で湯を沸かしているのではない、国民経済という大きな鍋を温めるのが安倍氏の責務だ。
TPPが鍋を温める効果をもたらすのか、それとも鍋を壊してしまいかねないのか。安倍氏は飛んでもない愚挙に出ようとしている。強い者が勝つ囲碁将棋などのような勝負を必然的勝負という。TPPも何処が勝つかは必然的勝負で、関税自主権という我が身を守る盾を捨てれば、勝敗は明らかだ。そんな簡単な理屈さえ安倍氏には解らないようだ。
一国の首相がただマスメディアに囃し立てられて好い気になっているようでは、この国の先は思いやられる。舌足らずの甘えた物言いは安倍氏が精神的に未熟さを端的に表している。
彼には寛容と忍耐が欠如している。おそらく仲間の中で生身の個人として苦労したことがないのだろう。絶えず取り巻きのいる暮らししか送ってきてないのかもしれない。おそらく彼は深刻な挫折の経験と理不尽な物理的攻撃を受けた経験がないだろう。精神を鍛える少年期に甘やかされた者特有の他人に厳しい攻撃性が見られる。一次政権の時と同じ過ちを繰り返さなければ良いが。