病院がこれほど患者を待たすものとは、
家人が病を得て近所の開業医へ予約を取ってその時間に出かけた。来院の予約時を決めたのは受付の看護婦だが、医院に到着して診察まで一時間以上待たされた。
健常者でも医院の待合室でベンチに腰を掛けて待つのは辛いものがある。ましてや病人が病をおして待つのは堪えるに違いない。しかし患者を待たすのはその医院だけが特殊で異常だからではないようだ。
世情に「一時間待って3分診療」という言葉がある。待ち時間の割に見立ての時間が短いという比喩でそう言っているのかと思ったら違っていた。まさしく現実だった。
病に罹って具合が悪いから予約を取ってその時間を目安に出掛けているのに、一時間以上も待たすとは何事だろうか。待合室に溢れる患者たちは待つことに慣れているのか文句を言う者は私以外皆無だった。
待たせると医院に文句を言う私が家人は非常識だという。世間ではどの病院も待たせるものだと窘める。しかし、それなら尚更文句を言わなければならない。
通常の安定した症状で投薬だけをする患者と、定期検診で来院した患者と、具合が悪くなったが救急車で搬送されるほどではない、何とか家人で車を運転して来院した者とを分けて対応すべきではないだろうか。そして「病院は待たすものだ」という誤った常識は正さなければならない。
医院のすぐ近くの処方箋薬局へ行っても、やはり20分近く待たされた。昔の薬剤師のように薬を調合しないのに、なぜこんなに時間がかかるのだろうか。ノロノロとした対処はこの国の医療制度全般のことなのだろうか。イライラとした午前中ではあった。