目先の利益で「原発再稼働」を勧める者には未来が見えていない。
一部に原発一基稼働すれば貿易収支が年間800億円改善される、という論評が掲げられたようだが、そうした目先慾な論理こそが国家百年の大計を誤らせるものだ。だいたい1立方メートル4ドルの天然ガスを18ドルで購入している電力各社の原価意識の希薄さこそが問題ではないだろうか。
赤字になればすべて経産官僚と結託して電気代にオンすれば良いという考えでは世界に冠たる高電気料金は少しも改善されないだろう。原発の発電コストが安いというまやかしはバレたが、今度は天然ガス代が高くつくと目先慾な論評を加えている。
どうしても原発を動かしたい者の仲間は飛んでもない論理を思いつくものだ。燃料を安く購入するという自分たちの企業努力の欠落を棚に上げ、放射性廃棄物の最終処分場も決まっていないことも棚に上げ、使用済み核燃料が各地の原発に造られている使用済み燃料プールに満杯状態でどうしようもないことも棚に上げて、それでも原発を動かすべきだと世論を誘導する。
御用評論家とは困った存在だ。御用学者も困ったものだし、御用マスメディアも困ったものだ。なぜ未来に目を向けて新しい発電装置を開発しようとはしないのだろうか。再エネも含めて、未来のエネルギーにふさわしいシステムを日本が世界に先駆けて開発すれば、それこそ経済成長の新しい一つのエンジンになるだろう。