噴飯もののNSCだ。
国家安全危機管理NSCを内閣直轄機関として設けるという。噴飯ものの議論だと処断せざるを得ない。
国防に関する危機管理は防衛省で行っているはずだ。そのための防衛省であり軍備予算だ。そのための在日米軍であり基地提供だ。一年程度で交代する首相直轄の危機管理室で一体何が出来るというのか。屋上屋を重ねるとはまさしくこのことで、かえって防衛省の迅速な動きを封じる逆効果をもたらすものでしかない。
それではこれまで日本にNSCがなかったから今日の事態を招いているとでもいうのだろうか。危機管理室があれば迅速な情報収集とそれに基づく迅速な判断が出来て日本の安全が保てるというのだろうか。それなら危機管理室に常に危機管理室員が詰めて、いつでも分析協議できる体勢を保つつもりだろうか。
防衛省の中の危機管理部門へ所轄大臣と政務官、首相が赴いて情報を聞き、それに基づいて助言を得たうえで判断するのが正しいだろう。制服組の防衛官僚たちテクノクラートの方が格段に防衛に関して詳しいのは論を俟たない。
その暴走を懸念しシビリアンコントロールを行うのが背広組みだ。しかし国家安全の危機管理を防衛省から官邸が奪ってはならない。
安倍氏は防衛に薀蓄があるとしても、次の首相が防衛に関して無知だったらどうするのだろうか。政治家にも防衛予算削減こそが「安全」だとする持論を展開する連中がいることを忘れてはならない。
屋上屋を重ねる議論は危険だ。責任の所在がぼやけるだけでなく、船頭多くして船山を登るの喩えすらある。生半可な知識で官邸の中にふんぞり返って国家防衛を論じてもらいたくない。万が一安倍氏がレーダー照射に対して防衛省が迅速な情報伝達と対処を行わなかったとして、今回のNSC設置へと傾いたのなら、その問題点を潰すことの方が重要ではないだろうか。