五輪誘致の話どころではないだろう。
放射能には色もないし臭いもない。だからそこら中に放射能物質が降り注いでいても、誰も認識することはできない。しかし福島第一原発は石棺されたわけではない。それどころか溶解した核燃料がどこにあるのかすら分かっていない。いまも大量の放射能が噴出している状態のまま間もなく2年を迎えようとしている。
首都圏の放射能汚染はどの程度なのか、という報道に久しくお目に掛かっていない。マスメディアのニュースを見る限りでは放射能汚染は別世界の出来事のようだ。
五輪を誘致して被災地を元気付けよう、という議論を耳にすると怒鳴りつけたくなる。被災地を元気付けるのは一日も早い復旧だ。なにもお祭り騒ぎで済ませることではないだろう。
日本の科学技術の総力を結集して政府は早く福一原発の放射能拡散を封じ込めなければならない。放射能の拡散を封じ込めて、福一原発の収束を実現しなければならない。
首都圏も東京オリンピック時に急遽造った社会インフラが限界に達している。それらを解体して現在の安全基準にあわせて更新しなければならない。たとえば利用にアクロバット的な運転技術が必要な首都高は維持・保守ではなく全面的な造り替えをしなければならない。お祭り騒ぎではなく、日常的な暮らしが脅かされている現実に対処するのが行政の本来の使命だ。