自民党の「政権奪取」戦略は民主党に「小沢切り」をさせることだ。
矛盾した話だ。民主党が今週の21日に「消費増税」法案を採決しなければ、自民党が不信任案を出すという。参議院には野田内閣の問責決議案を提出して、トコトン追い詰めるという。
それでは21日に「消費増税」法案を採決した場合はどうなるというのだ。その場合は民主党から小沢氏とその仲間たちは大挙して造反するはずだ。すると自民党が野田氏を問責決議するまでもなく、民主党政権は瓦解の坂道を転がり落ちることになる。
つまり今週の21日を以て野田政権はいずれにしても御用済みになるというのだ。しかし参議院の問責決議に内閣を総辞職させる権限はない。現在の衆議院での過半数を握っていれば民主党政権は存続できる。鳩山氏のいうように「党を割らなければ」政権を手放す必要はない。ただし、各種重要法案は参議院で次々と否決されて立ち往生することになるのも間違いないだろう。
ネジレ国会で参議院の野党議員を何人か引き抜いておかなかったツケがここにきて露呈している。野田政権は財務官僚の教唆に乗って遮二無二突き進んだ荒っぽい政権運営が民主党内の対立の激化を招き、抜き差しならないモノにしてしまった。これもまた野田氏とその仲間たちのなせる技だろう。
すでに民主党支持率は一桁台に落ちている。政権党としての体をなしていない。野田氏に残された道は小沢氏たちに党外へ出る口実を与えて、第三極の大きな柱を現役国会議員たちで打ち立てる正当性を持たせるのか、それとも自民党の意地悪に屈して政権を放り出すのか、いずれかしか道は残されていないようだ。いずれ野田氏にふさわしいトン死であることに違いはない。