疑問なのは首相の「リーダーシップ」ではなく「消費増税論議」ではないか。
公明党の井上幹事長が消費増税案の行く末について、首相の民主党内の消費増税議論の取り纏めでリーダーシップが見えないから今国会での成立は覚束ないと煙幕を張りだした。
元々官僚下請け自民党政権に参加していたことから公明党も立派な官僚下請け政党だが、民主党の野田政権も官僚下請け政権になったため、近親憎悪に似た感情が渦巻いているようだ。
政党なら民主党内の主流派・反主流派の争いを論って消費増税の帰趨を論じるのではなく、この時期に消費増税議論をやる必然性そのものを問題にすべきだろう。被災地の復興は待ったなしで、一日遅れればそれだけ復興は困難になる。原発再開問題に関しても、公明党はどういうスタンスなのかを明らかにして政治活動を展開すべきだろう。
税制政策に関してこの国の経済評論家たちも大手マスコミ各紙に登場している学者たちを見る限りでは似非経済学者だといわざるを得ない。
ユーロ危機は去ったわけではないし、米国ドル危機も去ったわけではない。ギリシア財政危機は融資を続けて相変わらず一日延ばしに問題を先送りにしているだけだし、米国財政デフォルト危機もドルの信認が高まったわけでもないし、米国の双子の赤字が解消されたわけではない。相変わらずドルを増刷して垂れ流しているだけだ。ただ日本が増税して米国債を買い入れる余力が生じるのは米国にとって慶賀の至りかもしれないが。
日本の通貨政策は依然として誤ったままだ。デフレ克服にマネーサプライを増やすべきだが、依然としてデフレ政策を続けている。日銀は金融緩和をしているというが、チマチマとした利率引き下げなどでどれほどの効果があるというのだろうか。
米国の格付け会社が厚かましくも日本国債の引き下げに言及しようとしている、などという観測記事を流して財務省にジャブを食らわしているが、実際の国債利率はユーロ債よりも米国債よりも低率なのが日本国債だ。つまりそれほど健全だということだ。
今すぐ破綻しない日本国債を気に病んで増税するなどという愚策に命を懸ける暗愚な政治家が首相を勤めているのが日本国民の最大の不幸ではないだろうか。政権交代で国民と約束した2009マニフェストを失念した民主党国会議員とは何者だろうか。
これほど不誠実な連中も珍しい。揃いも揃ってマニフェストを破り消費増税に一直線とは破廉恥もここに極まる。即座に辞表を出して政治家をやめてもらいたいほどだ。
野田首相たちと小沢氏の仲間とどちらが民主党を名乗るのに相応しいかは歴然としている。「国民の生活が一番」の政治を忘れて「官僚の生活が一番」の政治に突き進む野田氏たち一派は政治家失格だ。余り国民をバカにしてドジョウだビートルズだと言いたい放題言って悦に入っていないことだ、次の選挙で国民は必ず結果を出すに違いない。