「今日あること」は60年以上も前から分かっていた。

 60年後の65歳人口予測は天気予報や景気予測と違って大虐殺や本土決戦並みの戦争がない限りまず外れない。当該年度の出生数に経験からはじかれた一定の現存係数を掛ければ極めて高い確率で予測できるものだ。


 来年から団塊の世代が年金受給者となり現役世代2.8人で年金世代1人を支えることになると産経新聞は報じている。決して世代間対立を煽るつもりはないといいつつ、そうした数字を挙げること自体が世代間対立を煽っていることに他ならない。


 


 かつて年金保険は積立方式だった。自分たちの掛け金は年金受給年齢まで積み立てて運用し、その積み立てた金額の範囲で年金を支払うとするものだった。しかし1985年に突如として厚労省は賦課方式に切り替えて、それまでの150兆円を超える積立金を年金基金と称した。


 年金基金はその後どのようになったか、記憶に新しいだろう。株式投資による巨額な運用損の穴埋めに「損失補填」を証券会社が行ったとして問題となったり、全国各地の有力自民党国会議員の地元などに「グリーンピア」が建てられたり、過剰なリゾート開発が行われたりした。現在年金基金が幾ら残っているのか、厚労省は決して詳らかにしようとはしない。


 


 つまり年金基金は厚労官僚の操作により天下りや摘み食いの原資とされたのだ。当然、何年か後には団塊の世代も年金受給者になることは予測されていたが、高級官僚にとって自分たちが高級官僚の立場にある間だけ楽しく高給が手にできるなら良かった。すべては後の世代の問題であり、後輩の官僚たちの問題に過ぎなかった。


 そしてその総決算の時がきた。もはや待ったなしだが、ここに来ても「試算」すら示さず財務官僚と結託して「消費増税」で自分たちが高級官僚の立場にある間だけを乗り切ろうとしている。後は野となれ山となれ、と定年退職後も天下りと高給共済年金の日々を享受しようと目論んでいるのだろう。だから年金として現役世代の何%を支給するかが問題なのだ。決して最低年金は問題ではない。彼らは軒並み年収1500万円を超える日本でも有数の高給取りだからだ。


 


 現行の年金制度に強く反対する。勤労所帯の平均年収よりも高額な年金を受給する所帯があってはならない。既に退職した人たちにとってどれほどの所得が必要なのかをまず議論すべきだ。高級官僚たちの「自分たちだけは巨額な年金を手にしたい」という思惑を排して、高額年金をまず血祭りにあげて「人として尊厳ある生活ができる」最低年金を確保しなければならない。その上で、負担のあり方について国会で議論すべきだ。厚労官僚たちの「唯我独尊」的な発想は国民の発想ではない。政治家は国民の代表であって、官僚のしもべでないことをまず思い返すことだ。それでも高額な「年金保険」を負担したと不満を言う人は「医療保険」に関しても不満を述べることだ。高額な医療保険を負担して来たのだから入院したら一人部屋をよこせ、と。


 


 努力すれば多額な所得を得るのは自由社会では当然だが、それだけ多くの社会的コストを支払うのも当然だ。なぜならこの国の中で高額な所得を手にし、治安により高級住宅も焼き打ちに遭わずに済んでいるのだ。そうしたコストを支払うべきであって、巨額な年金保険を支払ってきたのだから年金も巨額でないと厭だ、と駄々を捏ねるのは大人気ない。定年退職後は押し並べて大した差額のない年金を国民が等しく受給して何が不都合なのだろうか。それでも巨額な年金が入用だと思う人たちは民間の年金保険に入るが良い。


 


 高級官僚たちの理論に誤魔化されてはならない。現役所得の何%を年金として支払うかというのを前提とした議論にノーを突き付けよう。そのために消費税は10%だ、いや17%だ、何の何の20%越えだという、国民に等しく過重な消費税を課す議論がどれほど支給額の不平等と矛盾しているか、をまず議論しよう。すべては年金のあり方の議論が済んでから、選挙によって「年金制度の一体改革」の諾否を決めようではないか。消費増税議論はそれからだ。


 それも消費税そのもののあり方を議論しなければならない。英国や欧州諸国は食料品や医療費や教育費に関して消費税は零かあっても極めて低率だ。バカな評論家が欧州は消費税20%を超えているのに対して、日本の5%は低すぎる、というのは正しくない。国税に占める割合でいえば日本の消費税21%は北欧諸国などと同じだ。決して低くないことを肝に銘じて国会議論の行く末を注視しなければならない。財務省広報機関に堕した大手マスコミのプロパガンダに惑わされてはならない。



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