日本の財務大臣はいつから欧州の財務大臣になったのか。
欧州危機に関して最も責任を負うべきは欧州各国であり、とりわけ欧州最大の経済国ドイツであり国連常任理事国のイギリスでありフランスであるのは論をまたない。国連を舞台とした国際的な政治ショーでは自分たちが主役であると任じている安保理常任理事国五ヶ国は欧州危機に際してどれほどの働きをしているというのだろうか。
日本は国連で安保理常任理事国でもなければ事務総長職を与えられているわけでもない。その他大勢の単なるお客の一人に過ぎないが、負担金だけは一人前以上に莫大な割り勘を支払わされてきた。
ここに来て日本をGDPで追い抜き世界の経済大国になった中国にもユーロ債を買うように求めているようだが、中国はしたたかに『反対給付』に何らかの権益を要求している。日本はユーロに何を要求しているのだろうか。米国に何を要求しているのだろうか。
G20へ出掛けた安住財務相は何か勘違いしていないだろうか。日本がユーロ支援のために欧州基金に投資するとすれば、その原資は国民の税金だ。現在『消費増税』を無理やり推し進めようとしている財務省の保管する金庫に欧州へ基金拠出する余分なカネがゴロゴロ転がっているとでもいうのだろうか。米国は基金に拠出しないと表明しているではないか。
欧州ユーロが破綻したとして、一番被害を蒙るのは何処だろうか。まずは当事者の欧州で次に欧州と金融や軍事で補完関係にある米国で、次に欧州へ輸出攻勢をかけている中国だ。日本はその次に過ぎない。
安住氏が日本の国益を代表する日本政府の財務大臣なら『国際投機のありよう』を問題にすべく発言すべきだ。現行の1バレル110ドルを超えるニューヨーク原油市場の高騰は容認しがたい。イラン危機に便乗してヘッジファンドが雪崩をうったように原油市場に流れ込み、これこそ世界の経済秩序を破壊しかねない状況だ。もはや暴利を貪る禿鷹の群れを規制しなければならず、投機資金を適正化する国際機関の設置を日本政府の安住財務相は提言すべきだ。禿鷹に操られている米国政府が恫喝するかもしれないが、それに怯えるぐらいなら安住氏は国会議員を辞すべきだ。
安易に欧州基金にこれ以上出資参加してはならない。現行のギリシャやイタリアの自助努力を見ている限りでは、いずれ欧州基金への出資証券は紙屑になるだろう。日本政府要人ならまずは日本国民の富の保全を最優先に考えるべきだ。欧州の当事者として責任を負うべきイギリスですら見限って、欧州ユーロ体制に三行半を突き付けているではないか。日本のお人よしも好い加減にしないと世界の嘲笑を集めるだけだ。