「李下に冠を正さず」という言葉を知らない者の戯言だ。
官房長官は防衛施設局長の講話はあっても良いではないか、という認識を示したようだ。それが選挙直前でなければ何ら問題ではないだろう。しかし時と場所を踏まえた行動をしなければ「選挙介入」との誹りを免れないだろう。
「李下に冠を正さず」というのは身の潔白を示すための心構えを教える言葉だ。しかし、この国の官僚たちは「馬耳東風」のようだ。八ッ場ダムの再開を巡って検討した委員会に参加した者の中に国交省天下りの者が多く紛れ込んでいたという。
それで公正・公平な判断が検討委員会に出来たかどうか、改めて問うまでもない。しかしそれでも民主党政権は八ッ場ダム建設を続行するという。「民主党よ、お前もか」と思わず慨嘆せざるを得ない。
民主党の政治家もついに官僚たちの下請けになった。自・公政権下の政治と相違点を探すのが困難なくらいだ。自・公政権下の官僚政治に酷似した民主党政権下の官僚政治に、国民は絶望の感を深くする。
理念なき政治家は去れ。理念なき候補者は直ちに立候補を辞めて普通の社会人に戻れ。官僚と対峙して微塵も怯まない者のみが政治家たれ。この国は人気投票と政治家を選ぶ選挙とを混同して、既に久しい。政治家そのものの資質を問う前に、選挙民の心構えから問わなければならない。これが果たして民主主義なのだろうか。