まだこんなことをしているのか。
東京電力福一原発で放射能汚染水プラントの送水パイプから汚染水が噴出しているのを見つけた作業員が汚染水を顔に浴びる事故があったという。
映像で送水パイプを見ると蛇腹ビニール製のきわめて一般的な送水パイプを使用している。それは圧送するタイプには向かない、排水ポンプで汲み上げた水をただ流すだけに用いる類のものでしかない機材だ。
なぜ蛇腹ビニール製の送水パイプを深刻な放射能汚水をプラントに圧送するパイプに用いているのだろうか。しかも保護材で防護して瓦礫などで擦れて穴あきなどができないように措置されてもいないようだ。剥き出しで瓦礫の上を這わせていては簡単に破れて汚染水が噴出すのは自明の理だ。なぜそうした臨時措置のようなことを続けているのだろうか。理解に苦しむ。
2,3日で終わる排水作業なら蛇腹のビニール製の送水パイプを這わせただけで措置しても構わないだろう。しかし放射能汚染水の浄化システムはこれから何年も稼動しなければならないものだ。少なく見積もっても数十年は続けなければ冷温化せず、従って溶解した核燃料を取り出すことに着手すらできないのだ。そうしたことが分かっていて、なぜ耐久力のある部品に置換していないのか理解に苦しむ。
一事が万事でないことを願うが、東電は放射能処理に本腰で取り組んでいるのだろうか。懐疑心を抱かざるを得ない。できることなら恒久的素材に送水パイプを置き換え、そのパイプを放射能遮蔽素材で包み込まなければならないだろう。プラントも剥き出しではなく、放射能遮蔽室に閉じ込めて、作業員の放射能被爆の機会を1マイクロシーベルトでも減らす努力を最大限やるべきではないだろうか。そのためにカネがないのなら役員の公用車も廃止すべきだ。彼らがタクシーで移動しても仕事になんら支障はないだろう、現場作業員の被爆が命に関わることと比較すれば何でも出来るはずだ。それとも優雅な暮らしを電気料金に転化すれば良い、という安易な経営姿勢にどっぷりと頭まで浸かって、世間の常識と良識が見えなくなっていのだろうか。そう思わせる現場作業員の放射能汚染水による被爆事故ではある。