逮捕の前から矛盾を承知していたとは。

 岡田検事は村木氏を逮捕する前から自分たちの描いた事件の筋と証拠FDが食い違っていることを承知していた可能性が出てきたという。なんとも恐ろしいことだ。逮捕権という人の身柄を拘束して拘留する強大な権限を行使するのに確たる証拠もなく行っていたとは。


 


 逮捕権の実行にあたっては裁判所の同意が必要だが、裁判所判事が事件の全容を理解して被疑者に十分な身柄の確保の必要性と、捜査を進める上から逮捕が必要と判断しているのかすら疑わしくなってくる。検察が身柄を拘束して取り調べるのが必要といえば裁判所もそれを自動的に認めていたのではないかとすら思えてくる。


 


 社会に悪を放置することは勿論許されない。逮捕して取り調べるのが必要な場合にはそうすべきだろう。しかしすべては法と証拠に基づかなければならない。検事の描いた絵の通りに証拠を改竄することは許されない。証拠が検事の描いた筋書きと異なる場合は筋書きが間違っていると考えて立ち止まらなければならない。間違いを間違いとしないで証拠を改竄して捜査を続行すると冤罪事件を作るだけだ。それによって無実の人が身柄を拘束され日常生活を破壊され、場合によっては社会活動に致命的な打撃を受ける。こうした検察による理不尽な振る舞いは断じて許されない。


 


 翻って、小沢氏の場合はどうだろうか。証拠の改竄こそないものの、証拠の読み込みが不足しているのではないかという疑念が付きまとう。そもそも元秘書の身柄を確保して逮捕・拘留しなければならないほどの事件だったのだろうか。


 単に政治資金収支報告書の「不実記載」や「虚偽の記載」が事件だというのなら、検察は事件化する前に不動産取引の実務家からいろんな場合の実務処理の実情を聴取したのだろうか。そうすれば実務家たちは「農地の取得には農地法第5条による農地転用申請を農業委員会に提出し許可を得」なければ土地取引が出来ないことを直ちに指摘したはずだ。


 


 陸山会の取得した土地が農地だったのが二ヶ月のずれの生じた主な原因だが、それがさも「不実」な記載意図があったとか、「虚偽」の誤魔化しがあったと疑った理由なら検察の不勉強というしかない。一度振り上げた拳を下ろすのに適当な理由が見つからないため起訴にまで踏み切ったというのが真相のようだが、小沢氏に掛けられた不名誉とその間の政局に与えた影響の大きさを勘案すると検察当局の責任は重大だ。


 


 それに付き合うかのように、大マスコミは戦前・戦中の大本営の広報機関さながらに検察情報を無批判にタレ流した。それのみならず゛政治とカネ」なる括り文句を多用して政治家小沢氏の著しい不利益を喧伝した。法と証拠に基づくのが検察の基本的な使命なら、マスコミの使命は「事実」の報道だ。警察や検察の捜査情報を「…の関係者による」情報として情報入手源を濁して報じることではない。


 さらに警察や検察の情報の事実関係をマスコミは報道する立場から検証しているのだろうか。そして間違いが判明すると相手が検察といえども「間違っている」と指摘すべきだろう。


 


 検察が小沢氏に関して泰山鳴動して鼠一匹すら見つけなかったために「不起訴」と判断したが、それでも「小沢氏はシロではなく灰色だ」と強弁してみたり、「まだまだ小沢氏にはお金で大きな隠された問題がある」などとテレビで公言するジャーナリストがたくさんいるが、彼らの犯罪的な発言を誰がチェックしているのだろうか。公器たるテレビで思い込みのでたらめなコメントを垂れ流すのも表現の自由の範疇だとでもいうのだろうか。


 確たる証拠もなく「個人の思い込み」で他人の名誉を毀損することは許されない。それこそマスコミは憲法に確立されている基本的人権を擁護する立場にあるはずで、安易に人を非難して人権を蹂躙したり名誉を傷つけたりしてはならないのは常識のはずだ。


 


 検察が村木氏を半年余りも逮捕・拘留した事件は最初から冤罪だった可能性が高くなった。検事による証拠改竄が実際にあったとは、検察の威信は地に落ちたと国民の誰もが感じている。


 小沢氏の件に関しても検察は「不起訴」判断の段階で明快に国民に説明する必要があった。そうすれば検審会への馬鹿げた審査請求は出されなかっただろう。そして現在の「検審会」による判断待ちという小沢氏の政治家活動を著しく制限する状態は生じてなかっただろう。岡田幹事長が代表選の折に「起訴される可能性のある人は不適切」という愚かな発言をしなくて済んだはずだ。


 


 検察は余りに恣意的に動きすぎた。自分たちを何様だと思っているのだろうか。検事といえども間違いを犯す可能性のある人間の一人だ、という強い自戒と自制の必要な立場に立つ人のはずだ。それが暴走してどうする。しかも一検事の暴走ではなく組織ぐるみの証拠改竄による冤罪を許したということであれば万死に値する。特捜部は解体すべきだし、捜査権と公訴権の分離も当然行われなければならないだろう。前近代的な司法権の暴走は許されない。



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