マニフェストは次の衆議院選挙までの公約だ。
菅氏の早急な結果を得たいという「あせり」が参議院選挙の敗因だ。党内での手続きも経ないで、厳密な財政規律の勉強もしないで、到底実施不可能な低所得者還付にも言及して、何もかも場当たりな、実にいい加減な首相だと国民から見透かされた結果だ。
それよりも普天間基地移設問題は何も解決していない状況で、すでに大マスコミの紙面から「普天間」「辺野古」の文字が消えて久しい。いかに大マスコミが為にする報道に血道をあげたか、この一事を以っても明らかだ。ジャーナリストたちがこの国の防衛問題を真剣に考えて鳩山首相を追い詰めたのではなく、米国の意向に従順に従うポチだということが明らかになっただけのことだ。
この度の参議院選挙の勝者は誰かという愚かしい議論がマスコミで盛んに取り上げられ、「みんなの党」が一躍持ち上げられている。しかしこの党名からしていかがわしく、みんなのものということは誰のものでもなく、早くも自公と協力体制を作ろうとしている。何のことはない、出て来た自公政権に里帰りしようとしているのだ。そうではない、というのなら明快な政策で(政策といっても三つ程度しか上げていないが)民主党と協議する度量を示してはどうだろうか。
日本の首相は沖縄の米軍基地のうち、少なくとも普天間は代替基地を求めずに撤退すべきと米国に要求すべきだ。政治主導の政治を実現するためには「日課戦略室」と「行政刷新会議」が車の両輪で、民主党の官僚制内閣打破の本丸だったはずだ。それをやめる程度の菅首相なら一日も早く党代表を降りるべきだ。これこそが国民に対する民主党の決定的な裏切りだ。
良識ある民主党の国会議員がいれば近々開かれる議員総会で党代表が勝手にバラバラな発言を繰り返した無責任さを総括しなければならないだろう。
奇しくも福田自民党総裁と大連立を仕掛けて民主党議員から大反対され代表の辞意を表明した折、小沢氏は「民主党に政権担当能力はない」と看破した。だから大連立で民主党議員たちに政権を獲得した折の覚悟を勉強する期間が必要だと思ったのだろう。いまが勉強期間なら民主党代表はマニフェストを愚直に実行する、と国民と官僚に言い続けることだ。官僚は自分たちの都合の良い自公時代へ回帰したがっているが、最低でも後三年余は戻れないと官僚に思い知らせることだ。このままぐずぐずにマニフェストがなし崩しに見返しをして、政策が自公時代へ回帰するのなら、民主党らしくマニフェストを固持して自爆するぐらいの覚悟を持つことだ。
みんなの党がたった11議席で大きな顔をして「キャスティングボード」を握っていると威張っているが、法案を通すつもりなら辞を低くしなければならないだろう。しかしみんなの党のように参議院を人質にするのではなく、民主党は国民生活と国家予算を人質にして民主党が真っ当な政策を提示すればよいのだ。堂々と胸を張って王道を歩めば国民は必ず理解するだろう。ボウフラのような政党に決して擦り寄らないことだ。