丁寧な説明こそ必要だ。
菅氏は一旦は口から「消費税」と発言したからには知らん顔をすることはできない。しっかりと本意を説明することが必要で、決して「消費税」隠しなどしてはいけない。
そもそも党内論議もなく、新しく作った政調委員会などで論議して出てきたものでもない。突如として菅氏が勝手に発言したものだ。恐らく誰かに誑かされてマスコミに財政規律を考慮している賢明な首相だ、とアピールしたかったのだろう。
確かに900兆円に迫る国債残高は異様な大きさでギリシアの国家破綻を連想させるものだが、日本は外国に引き受けてもらっているのは5%程度で、ほとんどは国内で消化している。そうした意味では日本の財政状況は国際的には深刻な問題ではない。
菅氏はよほど官僚に気に入られようと焦ったのだろう。民主党政権の首相として鳩山氏とは違うとアピールしたかったのだろう。しかし、アピールする内容と相手を間違えた。官僚にはビシビシと無駄を排除し官僚の給与にも切り込むぞと宣言し、国民に対して「生活が第一」のスローガンを堅持すべきだった。
消費税は税収額が景気に左右されにくい、官僚にとってありがたい税だ。それを増税するのは官僚の悲願だろう。しかし、その前にやるべきことがある。国民に増税をお願いするのなら不透明な公共事業単価の積算根拠の明示や、民間と比べて高止まりしている給与の切り下げや、不当に官尊民卑となっている年金の一元化を直ちに是正すべきだろう。
民間企業はコストカットに血眼になって企業努力をしているのに、官僚は検察庁ですら裏金作りに勤しんでいる。そして発覚したところで誰一人として逮捕起訴されていない。「裏金」とは巧妙な言い換えに過ぎず、普通に罪状に翻訳すれば「公金横領」と立派な名のつく、金額にしても小沢氏の不動産問題と比べても桁が違う巨額なのにも拘らず、マスコミも本気で報じたためしがない。
菅氏は国民に新しく税負担を求めるのなら懇切丁寧な説明と、その前提となるコスト削減を徹底して行うべきだ。そして政治家も定数削減などの自身の身を切ることも日程を明らかにして実施することだ。