何とも無責任な見出しだ
「爾後、鳩山政権ヲ対手トセズ」とは雑誌文藝春秋の大見出しだ。普天間問題でオバマ大統領がそう言ったというのだ。万が一にもそれが本当なら雑誌が煽る鳩山政権の瑕疵というよりも、日本国家と国民に対する暴言であり、決して看過できない由々しきことだ。オバマ大統領の言辞を耳にした評論家氏が直ちに抗議しなかったとしたら、その人物は日本国民としての矜持を持たないどころか恥すら知らない最低の人間だ。
この国はいつから米国の属国になったのだろうか。いかに日本の首相に指導力がなかろうと、いかに優柔不断であろうと、国と国の付き合いで首相を相手にしないで誰を相手にするつもりだろうか。それほどオバマ大統領が愚かで傲慢だとしたら、日本もオバマ大統領を相手にしないことだ。
間違いなく民主的な手続きを経て鳩山氏は日本の首相になった。理屈からいえばたとえ支持率が1%になろうと後三年余も衆議院議員の任期一杯は鳩山氏が首相であり続ける。その日本の首相を相手にせず日本と同盟関係を続けて日本に米軍基地を置き続けることは不可能だ。そうした自明の理を無視したかのような見出しは雑誌を売らんが為の愚かな行為だ。国民に対米感情を悪化させるだけだ。友人に自分の父親の愚痴を言うのはいいが、友人までが同調して父親の悪口を言ったら人間関係はうまくいかない。
過去に米国が評価した日本の首相は米国に対して臣下の礼をとった者だけだ。たとえば日本を不沈空母に見立てた中曽根氏であったり、米国の行政改革要求を素直に実行して派遣業法の歯止めを外し、郵政を民営化し、公的資金で建て直した銀行を10億円程度で米国のヘッジファンドへ廉価販売し、おまけに積極的に米国の戦争に協力したた小泉首相だ。日本は日本の防衛をお願いしているだけだが、用心棒代だけでなく俺の戦争の軍事費の割り勘に付き合え、さらには兵隊も出せというのでは話が違う。
さらには元作家で東京都副知事にまでなった方が「民主党は旧道路公団の復活を狙っている」というが、道路公団の看板を付け替えただけで利権組織を温存したのはあなたではなかっただろうか。どうやら実現不可能になったようだが、徹底した利権構造の解体は高速道路無料化だった。そうすればETC会社も必要ないしサービスエリアの利権も民間に売却できたはずだ。高速道路に群がる公団子会社も無料化により公団そのものが消滅すれば競争入札へ移行せざるを得ない。
低額でも有料の間は高速道路には管理する会社が存在し、人件費だけで年間1兆円かかる料金徴収員が必要になるわけだ。
官僚は何かにつけて仕事を作り利権を囲い込みそこへ仲間を天下りさせて税金食い放題の一大帝国を作り上げるのに巧みだ。そしてそれに手を付けようとする政治家を籠絡し懐柔する術にたけている。前原大臣はすでに絡め捕られたように見える。口の軽い人気取り政治家は官僚の餌食になりやすい。そうした人物は大臣に適さないし、絡め取られた大臣は早く代えた方が良い。
自民党支持が上がってきたとしてマスコミは喜んでいるが、本当に喜んで胸を撫で下ろしているのは官僚だ。できればこの夏の参議院選挙で民主党が大敗し小沢氏が幹事長の座を追われるのを願っているのは官僚たちだ。