トランプ氏に停戦協議を焦る理由は何もない。

<トランプ米大統領は、イランの港湾封鎖を数カ月にわたり継続する必要が生じた場合に原油市場の安定化に向​けた措置について協議するため、米石油大手シェブロン(CVX.N)
, opens new tabを含む大手エ‌ネルギー企業の幹部らとの会合を28日に開いた。ホワイトハウス当局者が29日、明らかにした。

 会合にはバンス副大統領、ベセント財務長官、ワイルズ大統領首席補佐官、ウィットコフ中東担当​特使、トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏らも出席。ホワ​イトハウス当局者は「トランプ大統領が世界の原油市場を⁠緩和するために講じてきた措置や、必要に応じて現在のイラン港湾封鎖を数​カ月にわたり継続しながら、米国の消費者への影響を最小限に抑えるための措置​について協議した」としている。協議の内容は米国の原油生産のほか、原油先物、海運、天然ガスなど幅広いテーマにわたったという。
 シェブロンの広報担当者は、マイク・ワース最高​経営責任者(CEO)が米国とイスラエルによるイランに対する軍事攻撃で混乱が広​がっている原油市場について協議するため会合に出席したと明らかにした。

 中間選挙を11月に控え、‌原⁠油価格の高騰はトランプ大統領と共和党にとってリスク要因になっている。ホワイトハウス当局者は「出席した幹部はいずれも、米国のエネルギー優位性の確保に向けトランプ大統領が講じてきた措置を高く評価しており、現時点でトラ​ンプ氏は正しい対応を​取っているとの考⁠えを示した」と指摘。トランプ大統領は国内外のエネルギー市場を巡る見解を得るため、エネルギー業界幹部と定期​的に会合を重ねていると述べた。
 トランプ政権は燃料価格の引き​下げを目⁠指し、製油所の環境対策の緩和などの追加的な措置を講じる可能性がある。
 ホワイトハウスのケリー報道官はイラン封鎖が長期化する可能性に関する質問に対し、トラ⁠ンプ大統​領の外交重視の姿勢に変わりはないとした上​で、「港湾封鎖が成功していることで、米国はイランに対し最大限の影響力を確保している。トラ​ンプ大統領は米国の国家安全保障を守る内容の合意のみを受け入れる」と述べた>(以上「REUTERS」より引用)





トランプ氏、イラン封鎖長期化に備えエネ大手と会合 原油市場安定策など協議」と、トランプ氏は「熟柿作戦」を取り続けるようだ。イラン側がいよいよ焦ってアラグチ外相が提示した「まずはホルムズ海峡の安全航行」で停戦協議のテーブルに就こう、と停戦協議(案)を提示したのに対して、核開発放棄は譲れないと蹴ったようだ。
 トランプ氏に焦らなければならない要因は何もない。引用記事では11月の中間選挙でトランプ氏の共和党が勝利しなければならない、とタイムリミットがあるかのように報じているが、トランプ氏に大統領三選の道は「米国憲法」により閉ざされているため、それほど深刻なタイムリミットではない。もちろんトランプ氏は中間選挙で共和党勝利が望ましいだろうが、たとえ共和党が敗れたとしてもトランプ氏が大統領をクビになることはない。それなら中東の火種を完全に除去した方が良い。歴史に名を刻むことになるからだ。

 ただ米国大統領として米国民の生活防衛も考慮すべきだから、米石油大手シェブロン(CVX.N), opens new tabを含む大手エ‌ネルギー企業の幹部らとの会合を28日に開いたのたろう。原油価格の大幅な変動が国際経済を根底から揺るがすことがあってはならないからだ。世界最大の原油産油国・米国が増産に踏み切るのは、米国の原油企業にとっても決して悪いことではない。なぜなら原油価格高騰下で増産すれば利益も増産されるからだ。既に日本政府は米国産原油を大量に買い付けて、パナマ運河経由や大西洋経由で日本へと十隻以上のタンカーが向かっている。だから高市氏は「日本の「油断」はない」と宣言しているのだ。
 ただ中東依存で安穏としていた石油元売り各社が「寡占状態の崩壊」が現実に起きていることから、日本が「油断」状態にあると大騒ぎして、高市政権の足を引っ張ろうと躍起になっている。もちろん石油元売り各社はオールドメディアの重要な顧客だから、オールドメディアの報道番組では「油断」によりガソリン価格が高騰し、ナフサが足りなくなってスーパーのトレーが不足していると「大騒ぎ」している。しかし、現実はガソリンもナフサも通常通り供給されている。騒いでいるのは石油元売り各社の要望を受け入れたオールドメディアのコメンテーターたちばかりだ。

 しかしイランの停戦条件にトランプ氏が「上増し」を要望して蹴ったのは、あながち「熟柿作戦」のためだけではない。なぜならイラン当局の「顔」が見えないからだ。どうやらイラン革命防衛隊内部は「穏健派」と「強硬派」で割れているようだ。現在は強硬派が主導権を持っているようだが、海軍だけでなく空軍も壊滅し実戦部隊はFRP製の高速ボートしかない。どうやって米軍と戦うつもりなのか。中国から密かに輸入しようとしていた地対艦ミサイルも米海軍によるホルムズ海峡逆封鎖で拿捕されてしまった。
 ただ記事の見出しに「イラン封鎖長期化」とあるのはトランプ氏特有の「揺さぶり」だろう。米国はいくら長引いても困らないぞ、と交渉を有利に運ぶための「フェイク」だ。なぜなら米空母打撃軍が三艦隊も中東に展開しているからだ。一空母だけで乗組員は約5,000名いる。さらに沖縄から駆け付けた「トリポリ」には海兵隊2,500名が乗船している。この停戦中に補給艦が各艦を回って生活物資などを補給しているようだが、その量たるや半端ではないだろう。空母には戦闘機が駐機しているが、駐機している間も絶え間なく整備しなければならない。逆封鎖もタダではない。

 イラン国内はマトモな行政支配は既に失われているようだ。イラン革命防衛隊は身柄を拘束している大統領や国会議長を開放して、国家としての体をなす形に戻して、米国との停戦協議に臨むべきだ。イラン革命防衛隊というゴロツキたちの親玉が停戦協議に臨もうとしても、米国側は応じないだろう。少なくともペゼシュキヤーン大統領はイラン国民によって選ばれた。だからペゼシュキヤーン大統領がイラン当局を代表するなら、米国もそれ相応の礼儀を以て臨むだろう。そうした事態が醸成されるまで、トランプ氏は「熟柿作戦」を決め込むだろう。

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