なぜ産油国イランの国民は依然として貧しいのか。
<「あと48時間だ」「石器時代に戻す」と相変わらずの妄言を続ける大統領だが、戦闘機、攻撃機も撃墜され、内心、焦りまくっているだろう。泥沼化は必至で、そうなれば、中東の石油施設は破壊の応酬で世界経済は大混乱。あり得ないような高市の大甘見通しに専門家の警告。
◇ ◇ ◇
「イラン空軍は壊滅状態だ」「イランには対空兵器がない」「レーダーも完全に破壊されている」「我々は無敵だ」
こう豪語したのは今月1日のトランプ大統領だ。国民向けの演説で吠えまくっていたが、それをあざ笑うようにイランが米軍機を次々に撃墜している。
撃墜された1機はF15戦闘機。空中戦だけでなく地上攻撃も担うため、パイロットのほかに爆撃手も乗る2人乗りだ。撃墜されて、一人は救助されたが、もう一人は行方不明となった。イラン側に拘束されれば、間違いなく、人質となり、揺さぶりをかけられるところだったが、米軍が決死の作戦で救出した。
「空の戦車」の異名を持つA10攻撃機もやられた。A10は空から地上部隊を支援するのが主な役割で、高度300メートルの低空を低速度で航行できる。撃墜されたF15戦闘機を捜索していたところ、攻撃されたとされる。パイロットはクウェートの空域まで戻り、脱出した後、墜落した。同じようにF15の捜索に加わっていたヘリコプター2機も攻撃され、乗員が負傷した。
いずれにしても、イランには「対空兵器はなかった」はずなのに、赤っ恥もいいところだ。
錯乱しているのは大統領だけではない
こうした事態に「錯乱しているのは大統領だけなのか」という声すら上がっている。
「F15がどれくらいの高度で飛んでいたかはわかりませんが、高度が高かったのに撃墜されたとは考えにくく、おそらく、中、低空で飛んでいたのでしょう。F15はレーダーをかいくぐるステルス機能を持っていない。それなのに、低空を飛行していたのだとすれば、イランを甘く見ていたのだと思う。これはA10にも言えます。A10は『空の戦車』の異名通り、翼が長く、ミサイルや爆弾を多く搭載できる。その分、レーダーに探知されやすいのです。本当にF15の捜索に当たっていたのか。だとしたら、なぜ、こんな攻撃機を出したのか。いずれにしても、米軍機が敵地で撃墜されるのは2003年以来です。裏を返せば、これまでは慎重の上にも慎重を期してきたのに、それが崩れている。もし、行方不明の兵士がイラン側に拘束されていれば、大ダメージになるところでした。すでにイランはホルムズ海峡を人質にとって世界経済を揺さぶっている。兵士も人質に取られれば、米国世論も揺さぶられ、トランプ大統領はさらに追いつめられるところでした」(防衛ジャーナリスト・半田滋氏)
言うことが矛盾と嘘だらけの大統領、大義なき戦争の綻び、出口戦略もない場当たりが軍の現場をも混乱させているのではないか。
すでに「米国には勝ち目ない」と専門筋
トランプはイランの原油輸出の拠点、カーグ島を占領することを検討、佐世保基地から強襲揚陸艦「トリポリ」、キャンプ・ハンセンから第31海兵隊など3500人が中東に派遣されたが、専門家は「兵站が整っていない」と呆れていた。最新鋭の米空母ジェラルド・R・フォードはベネズエラから中東に回されたが、長引く任務に兵士の士気低下が指摘される中、艦内の洗濯区画で火災が発生、戦線から離脱した。
前出の半田滋氏はこう言うほどだ。
「この戦争の主導権はホルムズ海峡を支配しているイランが握っています。石油と世界経済を人質にしているのですから、この状況下で米国が勝つことはあり得ない。トランプ大統領はSNSで4月6日までエネルギー施設への攻撃延期を表明したことを『覚えているか』と投稿、『48時間後に地獄が降り注ぐことになる』と脅していましたが、本当にイランのエネルギー施設に総攻撃をかければ、イランは中東諸国のエネルギー施設に猛烈な反撃を加えるでしょう。そんな事態になれば施設の修復にどれくらいの時間がかかるのか。年単位で、世界経済が大混乱に陥ることになりかねません」
イランは「石器時代に戻してやる」とドーカツしたトランプに対し、「250年しか歴史を持たない国が6000年以上の文明を持つ国をよくも脅せるものだ」と反論。「イランの海軍が破壊されたのならば、ホルムズ海峡は火星人が支配しているのか」と揶揄し、徹底抗戦の構えを見せている。イランを追い詰めても窮鼠猫を噛むように機雷をばらまかれたらアウトだ。安全航行を取り戻すのに、どれだけの時間がかかるかわからない。事態は完全に泥沼化、戦争の長期化は必至の情勢なのである。
代替ルート確保で胸を張る高市首相のインチキ
それなのに、呆れ返るのが高市首相の能天気だ。
高市総理は4日、Xを更新し、ホルムズ海峡を通らない石油の調達ルートに言及。アメリカや中央アジア、中南米などの代替ルートがあることを紹介し、「日本には約8カ月分の石油備蓄があり、加えて代替調達も着実に進んでいる。『日本全体として必要となる量』は確保されている」と投稿した。
NHKによると、アラブ首長国連邦からの原油はフジャイラの港を使い、サウジからはヤンブーの港から紅海を通って運ぶルートを確保したという。米国テキサス州、アゼルバイジャンからも調達の予定だと報じていたが、高市政権のプロパガンダにのっかった“大本営発表”のようなものだ。
高市の「安心宣言」にはいくつもの嘘があるからだ。
「まず、日本は石油備蓄が254日分あるとしていますが、3月9日のフィナンシャル・タイムズ(FT)は95日分と報じていました。この差はどこからくるかというと、1日の消費量や何をもって備蓄とするかの違いです。FTによると、日本の消費量は1日300万バレル、戦略国家備蓄は2.85億バレルなので、95日分になる。一方、経産省が発表している数字では1日の消費は180万バレルで、戦略国家備蓄だけではなく、民間備蓄、産油国共同備蓄も含めて試算している。だから、254日分などという数字が出てくるのですが、民間備蓄は民間企業の在庫だし、中身も原油とは限らない。産油国共同備蓄は日本の場合、サウジとUAEで現地のタンクの中にある。いずれもホルムズ海峡を通らなければ、持って来れない。1日消費量も少なく見積もっているのは明らかで、FTが言うように95日分しかないとみるのが妥当です」(テラ・ネクサスCEOの田代秀敏氏)
エネルギーだけでなく食料危機も深刻に
高市は代替ルートの確保を錦の御旗のように誇っていたが、原産地が変わると従来の精製設備は使えない。サウジからの紅海ルートは出口にイエメンのフーシ派が待ち構えている。
「タンカーが一隻でも攻撃されれば、保険会社は保険に応じない。このルートは使えなくなります。それでなくても、今度の石油危機は70年代と違って、OPECの意思によるものではなく、ホルムズ海峡が封鎖され、周辺国の石油施設が破壊されたことにより、原油そのものが出せないわけです。日本のような豊富な備蓄がない国は死活問題ですから高値でも死に物狂いで奪い合う。凄まじい値段になっていくし、ナフサも円安で簡単には手に入らなくなる。国産が4割あると言いますが、中東からの原油を使って国内生産しているわけで、原油がなければどうにもならない。透析に使う医療用チューブなどは計画的に生産しているので在庫がなく、あっという間に品不足になる。高市首相が安穏としているのが全く信じられません」(田代秀敏氏=前出)
高市はナフサについても代替の輸入先を確保したから「大丈夫」と胸を張っているが、輸入先の8割弱が中東なのだ。他の国からの輸入をちょっと増やした程度では賄えない。
また、中東は原油、ナフサだけでなく、窒素など化学肥料の輸出大国だ。
ホルムズ海峡の封鎖は世界の食料品の価格にも重大影響を及ぼしていく。食料自給率の低い日本は直撃を食らうことになる。
「品薄からアジアのマーケットでは肥料が5割高になっていて、2020年比では倍増です。日本以上に中東の肥料に頼っているのが米国で、その米国から穀物を輸入しているのが日本です。エネルギーもない、肥料もない、輸入もできない非常事態で、日本の食料自給率は実質数%まで低下したとみています」(東京大学大学院特任教授・鈴木宣弘氏=農業経済)
米国の迷走と戦争の長期化、高市政権の能天気が今後、何をもたらすのか。事態は最悪の方向に突き進んでいるとしか思えない>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)
「トランプがどんなに吠えても米国にもはや、勝ち目なし 泥沼の長期戦ならイラン有利」とは如何なる根拠からか。戦況を見る限り、よく多く破壊されているのはイランではないか、と怪訝な思いで記事を一読した。
◇ ◇ ◇
「イラン空軍は壊滅状態だ」「イランには対空兵器がない」「レーダーも完全に破壊されている」「我々は無敵だ」
こう豪語したのは今月1日のトランプ大統領だ。国民向けの演説で吠えまくっていたが、それをあざ笑うようにイランが米軍機を次々に撃墜している。
撃墜された1機はF15戦闘機。空中戦だけでなく地上攻撃も担うため、パイロットのほかに爆撃手も乗る2人乗りだ。撃墜されて、一人は救助されたが、もう一人は行方不明となった。イラン側に拘束されれば、間違いなく、人質となり、揺さぶりをかけられるところだったが、米軍が決死の作戦で救出した。
「空の戦車」の異名を持つA10攻撃機もやられた。A10は空から地上部隊を支援するのが主な役割で、高度300メートルの低空を低速度で航行できる。撃墜されたF15戦闘機を捜索していたところ、攻撃されたとされる。パイロットはクウェートの空域まで戻り、脱出した後、墜落した。同じようにF15の捜索に加わっていたヘリコプター2機も攻撃され、乗員が負傷した。
いずれにしても、イランには「対空兵器はなかった」はずなのに、赤っ恥もいいところだ。
錯乱しているのは大統領だけではない
こうした事態に「錯乱しているのは大統領だけなのか」という声すら上がっている。
「F15がどれくらいの高度で飛んでいたかはわかりませんが、高度が高かったのに撃墜されたとは考えにくく、おそらく、中、低空で飛んでいたのでしょう。F15はレーダーをかいくぐるステルス機能を持っていない。それなのに、低空を飛行していたのだとすれば、イランを甘く見ていたのだと思う。これはA10にも言えます。A10は『空の戦車』の異名通り、翼が長く、ミサイルや爆弾を多く搭載できる。その分、レーダーに探知されやすいのです。本当にF15の捜索に当たっていたのか。だとしたら、なぜ、こんな攻撃機を出したのか。いずれにしても、米軍機が敵地で撃墜されるのは2003年以来です。裏を返せば、これまでは慎重の上にも慎重を期してきたのに、それが崩れている。もし、行方不明の兵士がイラン側に拘束されていれば、大ダメージになるところでした。すでにイランはホルムズ海峡を人質にとって世界経済を揺さぶっている。兵士も人質に取られれば、米国世論も揺さぶられ、トランプ大統領はさらに追いつめられるところでした」(防衛ジャーナリスト・半田滋氏)
言うことが矛盾と嘘だらけの大統領、大義なき戦争の綻び、出口戦略もない場当たりが軍の現場をも混乱させているのではないか。
すでに「米国には勝ち目ない」と専門筋
トランプはイランの原油輸出の拠点、カーグ島を占領することを検討、佐世保基地から強襲揚陸艦「トリポリ」、キャンプ・ハンセンから第31海兵隊など3500人が中東に派遣されたが、専門家は「兵站が整っていない」と呆れていた。最新鋭の米空母ジェラルド・R・フォードはベネズエラから中東に回されたが、長引く任務に兵士の士気低下が指摘される中、艦内の洗濯区画で火災が発生、戦線から離脱した。
前出の半田滋氏はこう言うほどだ。
「この戦争の主導権はホルムズ海峡を支配しているイランが握っています。石油と世界経済を人質にしているのですから、この状況下で米国が勝つことはあり得ない。トランプ大統領はSNSで4月6日までエネルギー施設への攻撃延期を表明したことを『覚えているか』と投稿、『48時間後に地獄が降り注ぐことになる』と脅していましたが、本当にイランのエネルギー施設に総攻撃をかければ、イランは中東諸国のエネルギー施設に猛烈な反撃を加えるでしょう。そんな事態になれば施設の修復にどれくらいの時間がかかるのか。年単位で、世界経済が大混乱に陥ることになりかねません」
イランは「石器時代に戻してやる」とドーカツしたトランプに対し、「250年しか歴史を持たない国が6000年以上の文明を持つ国をよくも脅せるものだ」と反論。「イランの海軍が破壊されたのならば、ホルムズ海峡は火星人が支配しているのか」と揶揄し、徹底抗戦の構えを見せている。イランを追い詰めても窮鼠猫を噛むように機雷をばらまかれたらアウトだ。安全航行を取り戻すのに、どれだけの時間がかかるかわからない。事態は完全に泥沼化、戦争の長期化は必至の情勢なのである。
代替ルート確保で胸を張る高市首相のインチキ
それなのに、呆れ返るのが高市首相の能天気だ。
高市総理は4日、Xを更新し、ホルムズ海峡を通らない石油の調達ルートに言及。アメリカや中央アジア、中南米などの代替ルートがあることを紹介し、「日本には約8カ月分の石油備蓄があり、加えて代替調達も着実に進んでいる。『日本全体として必要となる量』は確保されている」と投稿した。
NHKによると、アラブ首長国連邦からの原油はフジャイラの港を使い、サウジからはヤンブーの港から紅海を通って運ぶルートを確保したという。米国テキサス州、アゼルバイジャンからも調達の予定だと報じていたが、高市政権のプロパガンダにのっかった“大本営発表”のようなものだ。
高市の「安心宣言」にはいくつもの嘘があるからだ。
「まず、日本は石油備蓄が254日分あるとしていますが、3月9日のフィナンシャル・タイムズ(FT)は95日分と報じていました。この差はどこからくるかというと、1日の消費量や何をもって備蓄とするかの違いです。FTによると、日本の消費量は1日300万バレル、戦略国家備蓄は2.85億バレルなので、95日分になる。一方、経産省が発表している数字では1日の消費は180万バレルで、戦略国家備蓄だけではなく、民間備蓄、産油国共同備蓄も含めて試算している。だから、254日分などという数字が出てくるのですが、民間備蓄は民間企業の在庫だし、中身も原油とは限らない。産油国共同備蓄は日本の場合、サウジとUAEで現地のタンクの中にある。いずれもホルムズ海峡を通らなければ、持って来れない。1日消費量も少なく見積もっているのは明らかで、FTが言うように95日分しかないとみるのが妥当です」(テラ・ネクサスCEOの田代秀敏氏)
エネルギーだけでなく食料危機も深刻に
高市は代替ルートの確保を錦の御旗のように誇っていたが、原産地が変わると従来の精製設備は使えない。サウジからの紅海ルートは出口にイエメンのフーシ派が待ち構えている。
「タンカーが一隻でも攻撃されれば、保険会社は保険に応じない。このルートは使えなくなります。それでなくても、今度の石油危機は70年代と違って、OPECの意思によるものではなく、ホルムズ海峡が封鎖され、周辺国の石油施設が破壊されたことにより、原油そのものが出せないわけです。日本のような豊富な備蓄がない国は死活問題ですから高値でも死に物狂いで奪い合う。凄まじい値段になっていくし、ナフサも円安で簡単には手に入らなくなる。国産が4割あると言いますが、中東からの原油を使って国内生産しているわけで、原油がなければどうにもならない。透析に使う医療用チューブなどは計画的に生産しているので在庫がなく、あっという間に品不足になる。高市首相が安穏としているのが全く信じられません」(田代秀敏氏=前出)
高市はナフサについても代替の輸入先を確保したから「大丈夫」と胸を張っているが、輸入先の8割弱が中東なのだ。他の国からの輸入をちょっと増やした程度では賄えない。
また、中東は原油、ナフサだけでなく、窒素など化学肥料の輸出大国だ。
ホルムズ海峡の封鎖は世界の食料品の価格にも重大影響を及ぼしていく。食料自給率の低い日本は直撃を食らうことになる。
「品薄からアジアのマーケットでは肥料が5割高になっていて、2020年比では倍増です。日本以上に中東の肥料に頼っているのが米国で、その米国から穀物を輸入しているのが日本です。エネルギーもない、肥料もない、輸入もできない非常事態で、日本の食料自給率は実質数%まで低下したとみています」(東京大学大学院特任教授・鈴木宣弘氏=農業経済)
米国の迷走と戦争の長期化、高市政権の能天気が今後、何をもたらすのか。事態は最悪の方向に突き進んでいるとしか思えない>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)
「トランプがどんなに吠えても米国にもはや、勝ち目なし 泥沼の長期戦ならイラン有利」とは如何なる根拠からか。戦況を見る限り、よく多く破壊されているのはイランではないか、と怪訝な思いで記事を一読した。
まず「米軍攻撃機が撃墜されているではないか」と、トランプ氏が防空網を完全に破壊したというのは噓だ、という批判に対して。
イランの防空体制として機能していた地上固定型のレーダーや基地のミサイル格納庫等は完全に破壊したのに間違いないだろう。それではなぜF15やA10が撃墜されたのか。理由は簡単だ。地下壕に隠していた車両に積載して移動するミサイルを引っ張り出して撃ったからだ。
イランは40年もの歳月をかけて巨大な地下壕と複雑に広がる地下トンネルを各地に張り巡らせた。それは圧倒的な米国の軍事力と対称的な戦争を戦えば一日ももたずに灰燼に帰すからだ。
米軍は座標が判明している地下壕に対しては13tバンカーバスターなどの爆撃で破壊した。しかし全ての地下壕を破壊しきれてなかったのだろう。だから車両搭載型の地対空ミサイルにより低空飛行していたA10や油断していたF15が撃墜された。しかし一度撃ってしまえばミサイルの補充は効かないし、何処に地下壕の出入り口があるかも判明するから、二度と同じ個所からの攻撃を受けることはない。
「錯乱しているのは大統領だけではない」と次の「すでに「米国には勝ち目ない」と専門筋」に到っては、妄想たくましく想像しているだけではないのか。トランプ氏は決して錯乱していないし、また「米国に勝ち目はない」と断定する材料は何もない。
ホルムズ海峡を支配しているのはイラン革命防衛隊だ、と半田氏は論じているが、米軍によっていつでも排除できる。またホルムズ海峡を封鎖すれば、他国の船舶が航行できないだけでなく、イランの船舶もペルシャ湾から原油を積んで中国へ行くことも出来なくなる。もちろん湾岸諸国の原油を積み出すタンカーも止まることになる。ホルムズ海峡を封鎖することは中東のアラブ諸国を経済破綻に追い込むことでもある。
だから「エネルギーだけでなく食料危機も深刻に」の章で展開している論理はホルムズ海峡経由の原油に依存している国々は勿論のこと、湾岸諸国の食糧自給率の低い国も国民は耐え難い上に苦しむことになるし、イランも食糧危機に見舞われることになる。なぜならイランの食料自給率は2022年時点で穀物自給率が約53%だが年々低下傾向にあるからだ。それも灌漑用の水が確保されてのことであり、現在イランは酷い旱魃に見舞われている。
日刊ゲンダイ氏は「油断」による食糧危機は日本だけかのように書いているが、主要な食料輸出国アメリカ、ブラジル、アルゼンチン、オーストラリア、EU諸国などが世界全体への供給を担う一方、ほぼ全ての国が食料貿易に依存している。ホルムズ海峡封鎖の影響は大小の違いはあるが世界全人類の問題だ。安易にイラン革命政府の肩を持って、日本などを批判するのはお門違いも甚だしい。
「エネルギーもない、肥料もない、輸入もできない非常事態で、日本の食料自給率は実質数%まで低下したとみています」と東京大学大学院特任教授・鈴木宣弘(農業経済)氏の見解を紹介しているが、国際貿易下で発展した世界各国で自国だけですべてが成り立つ国は世界に一ヶ国もない。日本だけがホルムズ海峡封鎖による「油断」で深刻な影響を受けるのではない。だから日本を含む世界40ヶ国を超える外相が団結してホルムズ海峡の航行の自由をイラン革命政府に求めたのだ。
日刊ゲンダイ氏は「米国の迷走と戦争の長期化、高市政権の能天気が今後、何をもたらすのか。事態は最悪の方向に突き進んでいるとしか思えない」と、それこそ能天気な感想で結んでいるが、対岸の火事を眺めるような第三者を気取っていては報道機関の役目を果たしているとは云えない。それは日本国民の危機感を煽り国民を不安に陥れるだけだ。なぜイラン革命防衛隊が世界を人質にとって、必死に体制維持を図ろうとしているのか。その問題点に焦点を当てて事実を報道するのが報道機関の使命ではないか。
なぜモジタバ師が英国ダウニング街の高級住宅地に十数棟もの高級住宅を所有しているのか。彼がイラン国内でよりもイラン国外で経済活動を行っていたのかを、日本ゲンダイ氏は何ら取材しないのはなぜだろうか。
モジタバ師は父親ハメネイ師の国外の財産管理と投資を行っていた、といわれている。それが独裁者とその家族の正体だ。習近平氏も一族で所有する財産は実に100兆円を超えると云われている。ベネズエラ原油の中国輸入を一手に扱っていたのは習近平氏の姉で、その利益は年に約9兆円あったという。
イラン国民の平均所得は月収3万円(200~300ドル)と云われている。なぜ世界に冠たる産油国イランの国民は依然として貧しいのか。それは莫大なオイルマネーを支配しているのがイラン革命政府とその親衛隊イラン革命防衛隊だからだ。だから宗教指導者を自任する人たちによる独裁体制を維持したいのだ。だからイラン革命政府はそうした利権構造が国家の富を食い荒らすシロアリでしかない、という実態がイラン国民に知れ渡るのを極端に恐れている。だから常に戦火を絶やさず、イラン国民を戦争の恐怖で支配し、戦争を理由に国民の自由を奪い人権を奪い、彼らの強権独裁政権を正当化している。
確かに米国トランプ氏のやり方は乱暴だ。しかしヒズボラやハマスやフーシ派といったテロ集団を配下に従えたイラン革命政権を瓦解させるためには乱暴な手段しかない、とトランプ氏は判断したのだろう。日刊ゲンダイ氏はイラン革命政府を支持し、米イによるイラン攻撃を「国際法違反」だと批判する立場を取るつもりなのだろうか。