米中貿易戦争と日欧対米国の貿易戦争とは全くの別物だ。
< 中国の世論は強硬論、タカ派一辺倒ではない。筆者が親交のある改革派、自由派の知識人やジャーナリストの間では、むしろ正反対とも言える声が聞かれる。彼らは自らが賛同する専門家の声を、微信などを使ってしきりに紹介している。 中でも代表的なものだと考えているのが、多くの知人が紹介した「米中関係に本質的な変化 産業チェーンの移転は不可避」という文章だ。筆者は李若谷氏で、中国人民銀行の元副行長(副頭取)、国家輸出入銀行元行長などを務め、国際通貨基金(IMF)などでの経歴もある国際派だ。1月に新浪網に掲載された。 長文だが主に次のような内容だ。(原文は中米関係となっているが、ここでは米中関係と翻訳した。小見出しは筆者) 〈封じ込めが80%に〉 2018年9月まで、中国国内の世論は米中間に根本的な変化が生じたと信じておらず、指導者も同様だった。その例を挙げれば、最近ある新聞に政府機関の責任者が発表した文章で、米中関係は本質的変化がない、なぜなら『関与』と『封じ込め』が米国の一貫した対中政策であり、現在もその政策に変化はないからだという。 だが従来関与が80%、封じ込めが20%だったのが、現在のように封じ込めが80%、関与が20%になったら、本質的変化がないとどうして言えるのか? これは量的変化ではなく質的変化だ。物事の本質的変化が分からない、あるいは認めようとしなければ、このような認識はミスリードを生むだろう。 米国の対中政策の変化は米中間の力関係の変化が原因であり、米国は中国の発展に焦りを感じ、そのため対中政策を変え始めたとの見方がある。だが私はこの意見にあまり同意できない、というかこの意見は全面的ではない。米中の実力を比較すれば、いかなる面においても、我々と米国との差はとても大きい。特に経済、科学技術、軍事のハードパワーにおいて、我々と米国との差はさらに大きいのだ。米国は中国にすぐにも追い越されそうだから軍事や経済面で中国を抑え込みに掛かったのではない。 〈中国のルール違反が原因〉 米国が中国に不安を感じるのは中国の発展モデルに対してであり、発展速度を問題としているのではない。もし我々が、米国が『合理的』と考えるやり方で発展するなら、我々の発展が早くても米国は気にしない、なぜなら我々と競争が可能だと考えるからだ。だが米国は現在、我々の発展モデルがいわゆる『