日本の報道の自由とは「報道しない自由」なのか。

<日米両政府は、安倍晋三首相が今月下旬に来日するトランプ米大統領と会談する際、共同声明の発表を見送る方向で検討に入った。複数の日本政府関係者が18日、明らかにした。貿易交渉と北朝鮮対応で日米の立場に隔たりがあるため、文書による対外発信にこだわる必要はないとの判断に傾いた。

 2014年にオバマ米大統領(当時)が国賓として来日した際、日米は沖縄県・尖閣諸島に関する米国の防衛義務を明記した共同声明を出している。令和時代の初の国賓として招くトランプ氏との間で共同声明を打ち出さない今回の対応は、首相が単独主義的なトランプ氏との関係に苦慮している印象を与えそうだ>(以上「共同通信」より引用)


 日米は「軍事同盟」国として緊密な関係にある、と常に説明してきた安倍自公政権と日本のマスメディアの言葉は嘘だったようだ。来月来日するトランプ氏と会談後に「日米共同声明」を見送る、という。
 つまり日本政府はトランプ氏と安倍氏が会談するのは「雑談」であって、日米首脳として何らかのテーマに関して「会談」して「結論」を出す類のものではない、と表明したことになる。それに関して日本のマスメディアが沈黙しているのはなぜだろうか。これまで日本のマスメディアは散々政府広報であるかのように「日米同盟は緊密な関係」と報道して、トランプ氏と安倍氏が個人的にゴルフを楽しむ映像などを日本国民に刷り込んできた。

 しかし、その実態は漫画「ドラえもん」のジャイアンとのび太の関係のようだった。トランプ氏による一方的な「米国の利益」を前面に持ち出す脅しに、卑屈なまでに米国のポンコツ兵器をリボ払いで爆買いして歓心を買っていたに過ぎない。安倍外交の正体とはその程度の外交だったわけだ。
 なぜトランプ氏に「日米地位協定の見直し」を提起できないのだろうか。独立国のトップとして、彼が守るべきは日本国民のはずだ。米国軍人と軍属を最優先とした占領下と同様な「日米地位協定」などとっくの昔に解消されていなければならないものだった。そして自衛隊と同様の「緊急事態法」下での行動に制限されるべきだ。それが国民主権の日本での米軍のあり方だ。

 しかし安倍氏が「日米地位協定」の改定に言及した節が全く見られない。日本のマスメディアに「日米地位協定」解消の論評が全く載らないのも不思議な話だ。南シナ海に軍事基地を造って航行の自由を制限しようとするのに対して、航行の自由を掲げて米国が抗議するのに日本政府も同調するなら、なぜ首都圏から全国に及ぶ「空域」を米軍が制圧している現状に対して、日本のマスメディアが「空の航行の自由」を掲げて論陣を張らないのだろうか。
 来日する隣国・韓国大統領とは会談すらしないで、米国大統領とは会談するが共同声明は出さない、という安倍外交の「破綻」に対して、なぜ日本のマスメディアは沈黙しているのだろうか。これほどの失態を追及できないほど、日本の報道の自由は奪われているのだろうか。

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