日銀の金利引き上げは経済成長を阻み、デフレ経済を加速するだけだ。

<日本銀行の追加利上げや長期金利の上昇は、家計にどのような影響を与えるのか。金利が上がると銀行預金の利子収入が増える一方で、住宅ローンなどの負担は重くなるため、その影響額は資産や負債の状況によって大きく異なる。



 民間調査会社のみずほリサーチ&テクノロジーズの試算によると、今回の日銀による利上げの影響は、家計全体で年間プラス8000億円となり、1世帯(2人以上)あたりの平均は年1万5000円と、プラス効果の方が大きくなる見込みだ。
 ただ年齢による差は大きい。70歳以上が年4万1000円の恩恵を受けるなど50歳代以上の世帯にはプラス効果が表れる。一方で30歳代は2万7000円の負担増となり、40歳代以下はマイナス効果となる。
 年齢が高いほど住宅ローンの返済をほぼ終え、金融資産を持つ世帯が多く、定期・普通預金や個人向け国債の利子収入が増えるためだ。日銀の利上げ決定を受け、三菱UFJ銀行と三井住友銀行、みずほ銀行は19日、普通預金の金利を来年2月に0・1%上げて0・3%にすると発表した。
 一方、若い年齢層は住宅を購入して間もなくローン残高が多い反面、貯蓄が少ない世帯が多く、利子収入をローンの返済負担増が上回るとみられている。
 住宅金融支援機構のシミュレーションでは、4500万円の住宅ローン(変動型)の返済モデルを試算すると、日銀が政策金利を0・25%程度に上げると決めた24年7月以前と比べると、月々の返済額は約11万5000円から約12万9000円に増える>(以上「読売新聞」より引用)




日銀の追加利上げ、家計への影響は?…全体でプラス効果も年齢差は大きいとの試算」との見出しに違和感を感じる。なぜなら年代別に金利引き上げによる「利益」と「不利益」が異なる、という論理から間違っているからだ。
 読売新聞氏は若年世代は「借金世代」で、高齢世代は「資産世代」との激しい思い込みがあるようだ。どの世代が借金し、どの世代が資産を保有しているか、極めて個人差の大きな問題だ。世代によって論評することは出来ない。だから「借金所帯」にとっては金利引き上げは厳しいが、「金融資産保有所帯」にとって金利引き上げは朗報だ、というのなら理解できる。なにでも世代間戦争の道具にしようとするオールドメディアの典型そのものだ。

 金利引き上げが如何なる影響を国民に等しくもたらすのか。それは金利引き上げは「インフレ対策」であることから、景気は悪くなり経済成長にマイナスに働く、ということだ。その反面、銀行などの金融機関にとっては金利引き上げは「美味しい」政策ということになる。
 つまり金利引き上げは国民の富を奪って、銀行などの金融機関に富を付け替える仕組みだからだ。日銀の植野総裁が決断した金利引き上げは銀行にとって朗報だが、多くの国民にとっては「悪い報せ」ということだ。それを読売新聞氏は世代間戦争に仕立て上げている。

 学校教育で教えているように、金利政策は物価動向と景気に連動して行うべきだ。現行の消費者物価高騰がディマンドプル・インフレだと認識するなら、金利引き上げを了とすべきだろう。しかし現行の消費者物価高騰は需要増によるインフレではなく、円安によるコストプッシュによるインフレだ。その証拠に実質賃金は低下しているではないか。


 日本の実質賃金は、名目賃金(基本給・残業代・ボーナスなど)は上昇傾向にあるものの、それを上回る物価上昇(特に食料品など)により数ヶ月連続で減少傾向が続いており、2025年後半もこの状況が続いているのが現状だ。こうした経済状況で金利引き上げに踏み切った日銀は国民を見て金融政策をしているのではなく、銀行や金融機関の意向を汲んで行っているとしか思えない。実に愚かな判断をしたものだ。

 せっかく高市政権が経済成長を促す政策に転換しているにも拘らず、その経済効果を帳消しにする金融政策を日銀が行うとは如何なる所存なのだろうか。ただ金利引き上げで円安が止まらなかったが、似非・エコノミストは「金利引き上げが織り込み済み」だからだという。件の似非・エコノミストは早急の再金利引き上げを期待するとかSNSに書き込んでいる。彼らはいかなる根拠で日銀の金利政策を予測しているのか、「景気と金利」という関係で金利政策が決定されるのではなく、「円相場と金利」という関係で日銀の金利毛亭がされるべき、という摩訶不思議な経済理論を展開している。それでは増々デフレ経済を加速させるだけだ。

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