ロシアは分裂の岐路に差し掛かっている。
<ロシアのノバク副首相は10月15日、トランプ米大統領がロシア経済の崩壊を警告したことに反論した。トランプ氏は一部地域でのガソリンを求める長蛇の列に言及し、「ロシア経済は崩壊寸前だ」と述べていた。
「ロシアが崩壊する」という議論は、主にウクライナ侵攻後の経済制裁、国内の民族問題や政治的分断、そして過去のソ連崩壊の経験を踏まえ、多くの専門家によって将来的なリスクとして早くから指摘されている。
トランプ氏は10月14日、ウクライナ侵攻を終わらせるべきだとプーチン大統領に求め、「ロシアのイメージが悪くなっている」と指摘。ガソリン不足や経済の悪化を強調した。
ノバク副首相はモスクワで開催されたエネルギー会議で「国内市場の供給は安定している」とし「生産と消費のバランスは保たれており、政府や関連省庁はその維持に全力を尽くしている」と強調した。
ロシア経済は減速しており、政府は2025年の国内総生産(GDP)成長率を1.0%と予測している。24年の4.3%成長、23年の4.1%成長から鈍化することになる。国際通貨基金(IMF)は25年の成長予測を0.6%に下方修正した。
ロシアの一部の地域ではガソリン不足が発生した。高金利が小売り業者の買い控えを招いたことや、ウクライナのドローン(無人機)攻撃で精製能力が一部失われたことが背景だ>(以上「REUTERS」より引用)
約二ヶ月バックナンバー2025年10月15日の記事「ロシア、トランプ氏の「経済崩壊寸前」発言に反論」を引用する。なぜなら停戦合意が難航する中で、いよいよプーチン体制が揺らぎ始め、ロシア各地で各民族による独立運動が活発化して来たからだ。
ノバク副首相はモスクワで開催されたエネルギー会議で「国内市場の供給は安定している」とし「生産と消費のバランスは保たれており、政府や関連省庁はその維持に全力を尽くしている」と強調した。
ロシア経済は減速しており、政府は2025年の国内総生産(GDP)成長率を1.0%と予測している。24年の4.3%成長、23年の4.1%成長から鈍化することになる。国際通貨基金(IMF)は25年の成長予測を0.6%に下方修正した。
ロシアの一部の地域ではガソリン不足が発生した。高金利が小売り業者の買い控えを招いたことや、ウクライナのドローン(無人機)攻撃で精製能力が一部失われたことが背景だ>(以上「REUTERS」より引用)
約二ヶ月バックナンバー2025年10月15日の記事「ロシア、トランプ氏の「経済崩壊寸前」発言に反論」を引用する。なぜなら停戦合意が難航する中で、いよいよプーチン体制が揺らぎ始め、ロシア各地で各民族による独立運動が活発化して来たからだ。
実際に崩壊するかどうかは不透明であり見方は分かれているが、一部の専門家は経済の長期停滞や国内の不安定化を指摘し、早期の崩壊を予想する一方、他の専門家は、ロシアは既に「崩壊は始まっている」と見なし、民族の結束や権力構造の維持を強調している。
崩壊論の根拠と論点経済的圧力としてウクライナ侵攻に対する欧米の強力な経済制裁(石油価格上限設定など)により、ロシア経済は景気後退に陥り、生産能力が低下し、長期的な停滞が懸念されている。またロシア連邦内の民族共和国(チェチェン、ブリヤートなど)の潜在的な分離独立運動や、ワグネルの乱(2023年)に見られた政権の脆弱性が、国内分裂のリスクを高めている。
崩壊論の根拠と論点経済的圧力としてウクライナ侵攻に対する欧米の強力な経済制裁(石油価格上限設定など)により、ロシア経済は景気後退に陥り、生産能力が低下し、長期的な停滞が懸念されている。またロシア連邦内の民族共和国(チェチェン、ブリヤートなど)の潜在的な分離独立運動や、ワグネルの乱(2023年)に見られた政権の脆弱性が、国内分裂のリスクを高めている。
アトランティック・カウンシルの調査では外交専門家の約半数が2033年までにロシアが破綻・崩壊する可能性を示唆し、4割が内部分裂の可能性を指摘していた。その予測が外れた原因としてロシア最大の戦費調達となっているシベリア原油を買い続けているインドと中国の存在が挙げられる。
ウクライナの指導者層はロシアの「崩壊は始まっている」と主張し、民族の文化や言語の抑圧が限界に達しているという。しかし崩壊を否定する意見として、ロシア政府は強権的な統治体制を維持しており、国民の結束を促すプロパガンダも行われていると指摘する。また ロシアは中国などの「友好国」との連携を深め、制裁の影響を緩和しようと努力している。しかし、友好国の一つ・北朝鮮は派遣した軍隊に対する報酬をプーチンが殆ど支払わなかったため、北朝鮮はプーチンと離反した。最大の盟友・習近平氏は経済崩壊危機に直面して無能ぶりをいかんなく発揮してプーチン支援どころではなくなっている。
「国家崩壊」の定義はもちろん 物理的な国家の解体だけでなく、経済的・政治的な「機能不全」や「停滞」も「崩壊」として議論される。現時点ではロシアは経済的に崩壊の瀬戸際に追い込まれている。シベリア原油の売却により戦費調達を行ってきたが、90%以上を購入して来た中国とインドの購入量が減少し始めているからだ。中国は原油決済に用いていた「元」が暴落し、ロシアが以上決済代金として「元」を受け取っても仕方なくなっている。また中国経済の崩壊により原油消費量そのものが減少している。インドは米国の対ロ経済制裁圧力により、買い入れ原油量を減少せざるを得なくなっている。
政治的な側面では、国民が「勝てない戦争」に倦み、戦争を継続するプーチン体制に対する不満が高まっている。そしてシベリアをはじめ中央アジアの各地で独立の機運が高まっている。もともとチェチェンでは独立派とロシア軍が内戦を演じた経緯がある。カザフスタンも独立の機運が高まり、モスクワのみならず隣接する中国に対しても圧力を強めている。
ウクライナ侵攻の長期化、制裁の継続により、ロシア国内情勢の変化が次の変化へと連鎖し、プーチンの大ロシア構想が破綻するだけでなく、ロシアが分裂して、かつての「モスクワ公国」の規模に縮小するのか、という重大な岐路に差し掛かろうとしている。