相変わらず「緊縮・増税」を宣伝するオールドメディア。

高市人気、参政票、公明票をどう読むか?
 ナショナリスティックな気分を背景に、高市早苗政権の支持率は依然として高い。だが、二枚看板とも言える「対中強硬」と「積極財政」こそが、現政権の、ひいては日本の重大なリスクであると見なす倉重篤郎が、後藤謙次、久米晃、平沢勝栄の3氏とともに現在の政治状況を考える。
 この人に委ねて大丈夫か? 日本政治は、高市早苗首相により危険な次元にもっていかれようとしている。
 その一つは、台湾有事を巡る「存立危機事態」発言の後処理である。発言修正の好機は少なくとも3回あったが、生かされなかった。11月7日の衆院予算委での立憲民主党の岡田克也氏からの質問に対する答弁が最初であったが、10日には同じ立憲の大串博志氏から撤回の有無を聞かれた場面があった。これが1度目である。聞いた立憲側を責める声があるが、国の根幹に関わることを野党第1党が質(ただ)さずして誰がなすのか。
 ことが中国の習近平国家主席に上がる前に収拾されなかったことへの悔いも残る。
 2度目は、公明党の斉藤鉄夫代表の質問主意書に対する回答の場面だ。首相答弁は政府見解の変更によるものか、と質したのに対し、従来の政府見解を「完全に維持しており、見直しや再検討が必要とは考えていない」とする答弁書を閣議決定した(11月25日)。
 3度目は、11月26日の党首討論だ。立憲代表の野田佳彦氏の質問に対し、高市氏が「個別具体的な状況に即して、政府がすべての情報を総合して判断する」と発言、討論後、高市氏が具体例を出さないようになったことをもって野田氏が「(発言は)事実上の撤回をしたと受け止めた」とコメントした場面である。
 いずれも野党がしつらえた土俵であった。公明党は日中友好を党是とする政党である。中国側の厳しい姿勢を肌身で感じているだけに、元与党の誼(よしみ)もあり、答弁書という政府見解を出す中で修正を図る機会を与えたものだ。野田氏は自ら首相の際に尖閣国有化問題で、日中関係険悪化を身をもって体験したことから、松下政経塾出身の後輩である高市氏に対し、半ば手を差し伸べるような気持ちで質疑、コメントしたものだ。

トランプにたしなめられる稀有な人
 ただ、高市氏はこの3度の機会を無にした。通常であれば、日中間で落としどころを探る水面下の協議が行われ、文言などについて詰めることで、節目の好機を逃さず、事態を収拾していくのが外交の知恵というものだが、今回その装置が働かなかった。首相が本気で動かなかった。自らの失点となることを恐れ、周辺に諭す人もいなかった。
 世論の動向がその判断を後押しした。共同通信社が11月15、16日実施した世論調査によると、高市内閣支持率は69・9%で、10月の首相就任直後の調査から5・5ポイント上昇した。中国側からの応酬に却(かえ)ってナショナリスティックな支持が広がった可能性がある。
 ただ、これは危険な兆候だ。権力者が自らの保身のために、対外関係の悪化を放置する。利用する。しかも相手は超大国中国だ。日清戦争以来の日本の上から目線の時代はとっくの昔に終わっている。いまや経済、軍事、技術を含むあらゆる国力で圧倒的優位に立たれている。この間励んできた同盟国・米国の力を借りた軍事抑止力強化策も、トランプ米国がどう出てくるかわからない中、対中包囲網の1構成員として使い捨てにされる可能性がある。
 実際に米国は今回の事態で高市政権の後ろ盾にはなっていない。トランプ氏は11月24日に習近平氏と電話会談した翌25日高市氏に電話し、日中対立の沈静化を図る必要があるとの認識を伝えた(11月28日付朝日新聞朝刊)。米中を「G2」(超2大国君臨)体制として、来年に米中首脳の相互訪問など、関係改善を狙うトランプ氏からすると、日中間の余計な火種は百害あって一利なし、できるだけ早期鎮火したいところであろう。「トランプに たしなめられる 稀有(けう)なひと」というのは、これまた朝日新聞掲載の秀逸川柳であった(11月29日付朝刊)。
 この日中対立、どこまで報復の応酬が続くのか。そのエスカレートが経済面、人道面で国民を危険に晒(さら)すことがわかっていながら、保身と支持基盤にいい顔をしたいだけで、原因者としての政治責任を取らず、無為無策を続けていくのであれば、その罪万死に値する。
 外交・安保政策での「対中強硬姿勢」は、靖国参拝を含め高市政権の売りの一つであったが、今回の発言は「TPO(時、場所、ケース)」を間違えたうえ、撤回、修正することもできない硬直性も露(あら)わとなり、その看板倒れが判明した。
 もう一つの看板倒れは、積極財政論である。物価高対策が最大の課題なのに、最も効果的である金融引き締め策を取れず、巨額補正予算を組むことで結果的に需要喚起、インフレ亢進(こうしん)の道を歩んでいることは前号で指摘した。その後も長期金利の高騰という財政規律の緩みに対する市場からの警告が続いている。

政権の軸は台湾派、中国パイプが薄い
 かくして二つの得意分野で躓(つまず)きつつある高市政権だが、起死回生があるとすれば、高支持率のうちに解散・総選挙を実施、自民単独で過半数を回復させる事であろう。現にこの臨時国会会期末(12月17日)に解散するとの観測がいつまでも消えない。自民・維新がその連立合意にある衆院の議員定数削減法案を提出、これが成立しなければ、衆院を解散、国民にその是非を問うというシナリオである。
 議員定数削減に関する世論調査では、「賛成」が63%と「反対」(14%)を大きく上回る結果が出ており(毎日新聞の11月22、23日調査)、これに現在の高市人気を足し合わせると、自民に追い風が吹くという皮算用である。一方で公明党が連立を離脱したマイナスもある。全国521万(2025年参院選比例区)の公明・創価学会票を289の小選挙区で割ると、1選挙区2万票前後が自民党議席の底上げにつながっていたが、今後はその下駄(げた)を失うばかりか、対抗馬の野党候補に行ってしまうと「行って来い」で4万票差をつけられる可能性がある。
 人気にかまけた解散・総選挙の誘惑はあるものの、四半世紀続いた公明との選挙協力が、対立関係になった時にどんなことが起きるのか。そこは誰もわからない。解散戦略の死角になっている。参政党に流れたと言われる票が自民に戻ってくるかどうかも解散権者としては知りたいところだ。
 一つ参考ケースがあるとすれば、11月9日の東京都葛飾区議選であろう。定数40に65人が立候補、下位当選者が2000票台に留まる中、参政党新人が7667票でトップ当選する一方、17人を擁立した自民の当選者は10人に留まり、告示前の12議席に届かなかった。公明党は8人全員が当選、立憲民主党は3議席、国民民主党は2議席で、それぞれ告示前から1議席増やした。高市氏がこの結果をどう見たかも重要だ。
 3人に話を伺う。元共同通信政治部長の後藤謙次氏には、政局の全体状況を語っていただき、葛飾区を足場にする自民党衆院議員の平沢勝栄氏には、区議選結果をどう読むか、元自民党事務局長で選挙担当だった久米晃氏には、早期の解散・総選挙の可能性を聞く。
   ◇   ◇
 まずは後藤氏である。
 高市人気どう見る?
「細川護熙、小泉純一郎といった、これまでの人気政権とは異質だ。いずれもピンポイントで一点突破のリーダー。細川氏は政治改革、小泉氏は郵政民営化という政策で支持を広げたが、高市氏は反中国、反共というイデオロギーで人気を上げている。SNSやネット環境によって作られた部分もあり、我々オールドメディアにはうかがい知れない空気が漂っている」
 例えると?
「高く昇っていくバルーンみたいなイメージだ。国民の政権に対する期待値だけここまで昇ってきており、成果が求められる状況になってもこれを維持していれば、長期政権につながる可能性があるが、今逆に高いがゆえに修正がきかないところに追い込まれている感がある。あるいは、盆踊りの櫓(やぐら)に上がってしまい、下りられず、太鼓をたたき続けるしかなくなっている。これは結構危うい」
「例えば、中国との問題はもう撤回できないだろう。もちろん首相の言ったことをやすやすと撤回できないにしても、何らかの次善の策を探るのが外交の常道だが、次第にそれが難しくなっている。しかも、打開の人脈や手立てがない」
 周りもできない?
「日華議員懇談会という国交のない中華民国(台湾)との関係強化を図る超党派の議員連盟がある。その会長が古屋圭司氏(自民選対委員長)、幹事長が萩生田光一氏(自民幹事長代行)、事務局長が木原稔氏(官房長官)というメンツだ。政権の軸が台湾派で直列している。対中国パイプがきわめて細い。習近平氏に最も近いとされる二階俊博氏(元幹事長)の引退も痛い」
「しかも、今回の高市人事は、二階氏が拠(よ)り所(どころ)としていた自民党の国土強靭化本部を廃止、政調会の一部門にした。総裁直属だったから部屋もあったが、それがなくなった。かつて小泉政権が橋本派はずしをした際、ポストはさることながら、党本部内に部屋持ちの幹部を一掃した。最大派閥の議員たちが集まれる場所を奪った。小泉氏は政局のプロだった。高市氏も似たようなことをした」

国民と呼吸を合わせることが苦手
 関係修復に時間かかる?
「12年の野田政権の尖閣国有化から、関係正常化までは6年かかった。10年に、中国の民主活動家劉暁波氏に、ノルウェー・ノーベル委員会がノーベル平和賞を授与、同氏の釈放を求め、中国側が『内政干渉』と反発した件でも正常化には6年かかった。そのサイクルに入ってしまった、との見方がある」
「今回の日本に対する対抗措置は日本に特化して他国を巻き込まないようにしている。渡航自粛、日本産水産物の輸入停止、浜崎あゆみさんのコンサート中止など日本人アーティストの狙い撃ちだ。中国での公演中止だから、他国には実害がない。巧妙、狡猾(こうかつ)な手立てを講じている」
 トランプ仲介どうみる?
「トランプの計算だ。習近平から電話がかかってきて、台湾問題は大切だと言われたので、その立場をよく理解すると言いつつ、これは早苗に連絡してやろうと。私が聞くところによると、日米同盟があるのだからまあそんなにことを荒立てるなというアドバイスでもなく、宥(なだ)めるというか。俺はこっちの方(米中関係再構築)が大切なんだよというのがあった。来年4月に訪中、年末は習近平が訪米、来年は米中ディールの年だから、日中間の対立は好まないということだろう」
「高市氏にはこの間事態収拾の好機が複数回あった。野田氏との党首討論では、野田氏がいいトスをあげてくれたのに打たなかった。イケイケドンドンというか、負けず嫌いというか」>(以上「サンデー毎日」より引用)




倉重篤郎のニュース最前線 「対中強硬」「積極財政」リスク 高市政権「解散戦略」に死角 後藤謙次、久米晃、平沢勝栄3氏が直言」と題する正月増刊号の記事の一部を引用いた。それだけでも「高市サゲ」に必死なオールドメディアの奮闘ぶりが良く分かる。
 引用を端折ったが、政治評論家がいかにお気楽な商売かが良く分かる。ます書き出しの「ナショナリスティックな気分を背景に、高市早苗政権の支持率は依然として高い」とは何を指しているのだろうか。まさか外国人不法滞在者の強制送還を高市政権がやっと始めたことを論っているのなら、倉重篤郎氏は僅か千人ほどのクルド人コミュニティーがどれほど川口市の地域住民の脅威になっているかご存知ないのだろう。その他にも、中国人が経営する放棄を無視したスクラップヤードや産廃処理を省く解体業者が、廃品回収業者や解体業者として真面目に企業経営をしてきた日本人経営者をどれほど追い詰めているか、ご存知ないのだろう。

 だから高市政権は法令に則って、国際的に標準的な不法滞在者対策に乗り出したに過ぎない。米国のトランプ氏はもっと果敢に、独断的に不法移民対策を徹底して断行している。
 そして倉重篤郎氏は高市政権の「二枚看板とも言える「対中強硬」と「積極財政」こそが、現政権の、ひいては日本の重大なリスクであると見なす」というから噴飯ものだ。
 対中強硬策、というが高市政権は極めて「控えめ」に「常識的な」対応をして来ただけだ。台湾有事が起きれば日本も武力を用いた有事に巻き込まれる事態が起きうる、と発言しただけではないか。その何処が中国を「刺激」するというのか。むしろ台湾有事を恒常的に口にしている中国の方こそが危険極まりない非常識国家ではないか。

 そして「積極財政」こそが日本を「失われた35年から決別させる唯一の財政政策であることは経済学者の多くが意見を共にするところだ。倉重氏が経済に関してどのような知見を有しているのか判然としないが、少なくとも日本経済の根本的な病理は35年間も成長しなかった、ということだ。その成長しない経済を転換するには経済政策を転換するしかない、というのは極めて当然の選択だ。
 この週刊誌で倉重氏は「物価高対策が最大の課題なのに、最も効果的である金融引き締め策を取れず、巨額補正予算を組むことで結果的に需要喚起、インフレ亢進(こうしん)の道を歩んでいることは前号で指摘した。その後も長期金利の高騰という財政規律の緩みに対する市場からの警告が続いている」と記述しているが、同じインフレでもディマンドプルとコストブッシュでは根本的に異なることを指摘しなければならない。経済成長に伴う適正インフレはディマンドプル・インフレと呼ぶが、円安に伴うインフレはコストプッシュ・インフレであって、経済成長がないため賃金上昇もない。つまり実質的にはデフレ経済でしかない。そうした相違が分からないで金利引き上げによるインフレ抑制が必要だ、とは景気が過熱して物価高騰した場合の処方箋をデフレ経済下で行えばどうなのか。考えただけでも惨憺たる有様になる。

 台湾に関しては倉重氏は1972年の日中共同声明と、その後の平和友好関係を正式に確立したのが1978年の「日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約(日中平和友好条約)」を精読したことがないのではないかと疑う。日本政府は決して「一つの中国」を容認してはいない。ただ「台湾は中国の国内問題だ」と主張する中国の立場は「分かった」と頷いただけだ。
 もちろん欧米諸国も日本と同様の認識で、余りに中国が「一つの中国」は世界の共通認識だ、と主張して煩いから、この際「国連総会決議2758」の定義を明確にしておこう、とする動きが出ていることは12月16日付のブログ「曖昧にして来た「国連総会決議2758(中国は一つ)」の定義を明確化する欧米諸国」で詳細に記述している。むしろ日本の針路を誤らさせようとしているは野党国会議員諸氏とオールドメディア及び「サンデー毎日」ではないか。

 さらに朝日新聞記事を引用する形で「トランプにたしなめられる稀有な人」と未確認情報を基にした伝聞で高市氏を批判するのは如何なものだろうか。その数日後の12月2日にトランプ氏が「台湾保証実行法」に署名したことから、トランプ氏が高市氏に苦言を呈したとするニュースがフェイクだということが明らかだろう。ちなみに、「台湾保証実行法」の骨子は以下の6項目で、中共政府にとっては高市氏の「存立危機事態」発言どころの話ではない。
1,台湾への武器供与の終了期日を定めない。
2, 台湾への武器売却に関し、中国と事前協議を行わない。
3,中国と台湾の仲介を行わない。
4,台湾関係法の改正に同意しない。
5,台湾の主権に関する立場を変えない。
6,中国との対話を行うよう台湾に圧力をかけない。

 倉重氏は件の記事の中で「相手は超大国中国だ。日清戦争以来の日本の上から目線の時代はとっくの昔に終わっている。いまや経済、軍事、技術を含むあらゆる国力で圧倒的優位に立たれている。この間励んできた同盟国・米国の力を借りた軍事抑止力強化策も、トランプ米国がどう出てくるかわからない中、対中包囲網の1構成員として使い捨てにされる可能性がある」と論述している。
 しかし高市氏は決して上から目線で習近平氏にモノ申しているわけではない。ただ独立国家日本の首相として日本の国家と国民の防衛の観点から当然の発言をしたまでだ。またトランプ氏が台湾有事で「どう出て来るか分からない」とは如何なる根拠からそう云えるのか。ここ十数日の間に確実に動いている台湾問題に関するニュースをオールドメディアは殆ど何も報じていないが、このブログで振り返れば中国の立場が日に日に劣勢になっているのが明白ではないか。なぜそうなっているのか、理由は明らかだ。中国が国家としてまさに崩壊しかかっているからだ。

 中国が大国だというのは幻想でしかない。しかも巨額負債を抱えて崩壊しつつある。習近平氏が中国民の不満を逸らすために破れかぶれで台湾進攻の暴挙に出ないとも限らないが、おそらく習近平氏から台湾軍事侵攻の指令が発せられたとしても、軍部は拒否するだろう。もはや軍事侵攻の兵站を整えることすら不可能ではないか。
 陸続きのウクライナですら軍事力で中国に勝るロシアが侵攻後四年近くも泥沼に嵌っていることから、中国軍が台湾海峡を渡海して背骨のような高い山脈のある台湾を短期間で占領することは困難だ。しかも国際世論は「一つの中国」を認めない方向で動いている。自ら負け戦を仕掛けるほど中国共産党は愚かではないだろう。

 記事を一部しか引用しなかったのは、倉重氏が対談している評論家諸氏も殆ど倉重氏と変わらないオールドメディアの人たちだからだ。異口同音の高市政権に対する評論を読み耽っても仕方ない。異なる観点から論理展開されていない記事を読み続けるのは骨が折れる。
 最後に、「来年は米中ディールの年だ」というのも間違っている。既に中国は米国に白旗を上げるしかないからだ。どうやら倉重氏は米国が日・台・蘭に呼び掛けた半導体規制が中国経済にどれほど深刻な事態をもたらしているか、ご存知ないようだ。半導体は産業の「コメ」と呼ばれている。それを規制されれば中国製造業は止めを刺されたも同然だ。対中デカップリングは確実に進行しているし、その最後のラチェットを一つ確実に進めたのは日本の高市政権だ。そのことも日本のオールドメディアは全く報道していないが。

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