公取委はAIの進歩を止めるつもりか。
<生成AI(人工知能)を使った検索サービスについて、公正取引委員会が近く実態調査を始める方針であることがわかった。大手IT企業が報道機関の許可なしにニュース記事をAIの回答に使っている点などについて、独占禁止法の優越的地位の乱用などにあたる可能性もあるとみて実態を調べる。
調査対象は米グーグルや米マイクロソフト、米新興企業パープレキシティ、LINEヤフーなどAI検索を提供する事業者。対話型AIサービス「チャットGPT」を提供する米オープンAIなども含まれる可能性がある。
AI検索サービスは、利用者が知りたい内容を会話方式で尋ねると、AIがインターネット上の情報を要約し、回答を生成する。従来のネット検索に比べ、利用者の知りたいことに直接答える点が便利とされる。
ただ、IT企業が報道機関などの記事を無許可でAIの回答に使っている問題もある。報道機関などは自社サイトを訪問した人に広告を表示することで収入を得ており、AIによるニュース要約が広がれば収入減につながる恐れがある。
公取委は2023年にニュースメディアに関する実態調査報告書を公表。IT大手が報道機関に支払う記事利用料を著しく低く設定したり、無償で取引したりした場合、優越的地位の乱用として独禁法に違反する恐れがあると指摘した。
欧州でもAI検索は問題視されており、欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会はEU競争法(独禁法)違反の疑いでグーグルの調査を始めている>(以上「読売新聞」より引用)
調査対象は米グーグルや米マイクロソフト、米新興企業パープレキシティ、LINEヤフーなどAI検索を提供する事業者。対話型AIサービス「チャットGPT」を提供する米オープンAIなども含まれる可能性がある。
AI検索サービスは、利用者が知りたい内容を会話方式で尋ねると、AIがインターネット上の情報を要約し、回答を生成する。従来のネット検索に比べ、利用者の知りたいことに直接答える点が便利とされる。
ただ、IT企業が報道機関などの記事を無許可でAIの回答に使っている問題もある。報道機関などは自社サイトを訪問した人に広告を表示することで収入を得ており、AIによるニュース要約が広がれば収入減につながる恐れがある。
公取委は2023年にニュースメディアに関する実態調査報告書を公表。IT大手が報道機関に支払う記事利用料を著しく低く設定したり、無償で取引したりした場合、優越的地位の乱用として独禁法に違反する恐れがあると指摘した。
欧州でもAI検索は問題視されており、欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会はEU競争法(独禁法)違反の疑いでグーグルの調査を始めている>(以上「読売新聞」より引用)
「「AI検索」で記事を無断使用した回答、独禁法の優越的地位を乱用した可能性…公取委が実態調査へ」との見出しに違和感を覚える。なぜなら世界人類はAIを進歩させようとしているのか、それともAIそのものを潰そうとしているのか、の議論に繋がる動きだからだ。
そもそもAIには独自に取材する機能などない。AIの機能とは「問われた事柄に関連する電子記録を自ら検索して、文章を生成する」だけだ。だからマスメディアの記事を引用した場合は「著作権」や「取材記事利用料」等を設定すべき、という議論が起きるのなら、AIに生成した文章の引用先を表示させて、AI使用料の一部から引用元に支払う必要が生じる。
そうした事態になればAI運営企業はAI使用料を支払うために、利用者からそれ相当の利用料を徴収せざるを得なくなる。しかし、そうした考えが標準になったなら、あらゆる機会に「引用元」が問題となり、ネットのみならずすべての「公表された文章」や「公表された文言」に「引用」らしきものがあったなら、すべて検証せざるを得なくなる。
そうすると取材先も「オリジナリティー」を主張し始めたなら、マスメディアは取材先にニュース源としての「取材費」を支払うことになりはしないか。今回散々利用された高市氏の「存立危機事態」発言の「オリジナリティー」は高市早苗氏の発言だから、それを引用することによって記事を書けたマスメディアは高市氏個人に取材費を支払うべきではないか。或いは、国会という議論の場で出た文言だから「著作権」は国会にある、というのなら、マスメディアは国会で取材する限り、国会に対して「著作権」を支払わなければならなくなる、という理屈が成り立つ。
人の「オリジナリティー」は極めて限定的だ。ことにマスメディアの「オリジナリティー」は限定的というよりも、マスメディアに「オリジナリティー」などあってはならない。それは「捏造記事」でしかないからだ。そうすると、公取委が今後何を議論して、生成AI企業に対してマスメディアからの引用を「著作権」として認定するつもりなのか。
また電子記録に保存し公開した記事等の「著作権」はどのようにして保護するつもりなのか。たとえば学術的な論文を記述する場合であるなら、生成AIは過去の学術論文を検索して該当する学術論文を抽出し、それらを再編するなりして文章を生成するわけだから、それらも原典の学術論文に対して「使用料」を支払うことになるのか。だが本来、発表した学術論文の引用は普通に成されてきたことではないのか。
ただ「報道機関などは自社サイトを訪問した人に広告を表示することで収入を得ており、AIによるニュース要約が広がれば収入減につながる恐れがある」という理屈にも一分ある。そうするとマスメディアとは何か、という根源的な問いかけから議論しなければならなくなる。つまりマスメディアは記事内容はすべて「オリジナル」に取材して「生成」した文章だからだ。新聞は多くの記者が生成した記事で紙面を埋めたものでしかない。しかも「編集」と記者の主観が多少混ざった記事で成り立っている。
欧州諸国でもIT企業に対して「デジタル税」を徴収してはどうか、という議論が起きている。それと同様にAI等に対しても「デジタル税」を徴収することになれば、人類の進歩にとってマイナスに働くのではないだろうか。
敢えて意見表明させて頂くなら、マスメディアはニュースソースたる「オリジナル」に取材して編集した記事を紙面に掲載しているに過ぎない。テレビニュースも「オリジナル」ないし「記者会見」を編集してニュース枠の限られた時間の中で「放映」しているだけだ。
つまりすべてのニュース・ソースが独自に「ネット・ニース広場」に投稿して、「オリジナル・ニュース」として発信するようになればマスメディアは存在価値を失うことになる。実際にそうした事例が出始めている。それは何かといえば「官邸」だ。政府広報が政府発表を「記者会見」ではなく、大臣や官僚たちが登場して「包み隠さず」全文を動画などで発信している。そうするとマスメディアが介入する余地がなくな。そうしたこともあって、マスメディアは必死になって「高市サゲ」に動いているのではないかと推測せざるを得ない。
公取委の委員諸氏に云いたい。AIには取材機能はないが、問い掛けに対して電子記録の世界から瞬時に関係文書を検索し、回答を生成する機能は人類の到底及ばない神業を発揮する。そうすると、前述したような「ネット・ニュース広場」に世間に公表したいニュースを各個々人が投稿するようになれば、マスメディアによる「編集」や「カット」を気にすることがなくなる。少なくとも「没」にされることはない。しかも誰でも何時でも自由に無料で閲覧することが出来る。そうした時代になれば「マスメディア」に引用した使用料を支払え、とAI企業に法規制を掛けることは無意味になる。
実際にGoogleは利用者に無料で自由にサイトを簡単に作成させたり、クラウドに情報倉庫を用意したりして、すべての「オリジナル」情報を囲い込んでいる。しかし、それが悪だというのなら情報化社会は成り立たなくなる。Googleのそうした動きに対して、情報起業として最先端にいたはずのマスメディア企業が紙面やテレビなどの伝達ツールを「独占」していながら、ネット情報の企業化に遅れてしまったのか。それこそマスメディアの「独占」的な地位に胡坐をかいていたからではないか。そしてAIの登場に驚き、公取委に駆け込んだのではないか。
だが、果たして公取委が取り上げるべき問題だろうか。AIの進歩を阻害する事柄に公取委が首を突っ込んで良いことなど何もない。むしろマスメディアが「独占」支配していたニュース配信の力を国民のためではなく、自分たちのために利用して来た疑いが濃厚で、その方こそが大問題だ。公取委ではなく、番組偏向を監視する機関の出番ではないか。
そして公取委は石油元売りの「価格カルテル」疑惑を多くの国民が抱いていることにこそ、応えるべきではないか。暫定税25.1円が廃止されても160円近い価格というのなら、暫定税廃止以前では185円前後していることになる。原油価格は1バレル60ドル台にまで下落しているにも拘らず、円高を理由に高止まりしていることこそ、公取委の本来の出番ではないか。何を恍けているのか、それともマスメディアに公取委員各位は頭が上がらないのか。石油元売りの「価格カルテ」疑惑に切り込むと仲間の官僚OBにとって都合でも悪いのか。国民は疑惑を抱いて見守っているゾ。