今のプーチンは第三次世界大戦など夢想だにしていない。
<月15日にアラスカで米露首脳会談が行われたが、それから1ヵ月が経つのに、ウクライナ停戦協議は前進していない。トランプ大統領もプーチン大統領への不信感を露わにしている。
戦場では、戦闘がますます激しくなっている。また、ロシアは、ウクライナの隣国、ポーランドやルーマニアにもドローン攻撃を仕掛けてきた。これはNATO加盟国に対する攻撃である。ヨーロッパで第三次世界大戦が始まる危険性が高まっている。
無人機による領空侵犯
9月9日から10日にかけて、ロシアの無人機19機がポーランドに侵入し、数機が撃墜された。その他、地面に墜落したドローンもあり、各地で発見されている。
12日には、国連安保理でこの問題が協議されたが、ポーランドとロシアの主張は平行線を辿った。
さらに、13日には、ロシアの無人機がルーマニアの領空を侵犯したため、F16戦闘機が緊急発進し、国境付近まで追跡した。撃墜すると、ロシアがどのような報復をするか分からないので、レーダーから消えるまで追うのみにしたという。
NATOは、加盟国の領空を侵犯する事態に危機感を強め、ヨーロッパ東部での防空体制を強化する方針を打ち出している。オランダは、防空システム、大砲、兵士300人を、チェコはヘリコプターと兵士100人を、フランスは、ラファール戦闘機3機をポーランドに派遣する。
さらに、ドイツはリトアニアにドイツ軍の旅団を派遣するという。
NATOとロシアが戦闘状態に入れば、それはヨーロッパで第三次世界大戦が始まったことを意味する。1939年9月1日の悪夢の再現である。この日、ナチスドイツ軍はポーランドに侵攻し、それにイギリスとフランスが宣戦布告することで第二次世界大戦が始まったのである。
一方、ウクライナの無人機が、14日、ロシア北西部、レニングラード州の製油所を攻撃した。
パイロットが操縦する戦闘機と異なり、無人のドローンはコストが低いし、攻撃側の人命が失われることがないため、気軽に使いがちである。もちろんミサイルよりも安価だし、量産も容易であり、他国からの輸入も難しくない。
6日夜から7日朝には、ロシアは800機以上の無人機でキーウなどを攻撃している。
無人機の撃墜に習熟しているウクライナ軍から学ぶために、ポーランドは自国領内でウクライナ軍と共同で無人機撃墜訓練を行うことを発表した。18日に、ポーランドの代表団がウクライナ入りするという。
戦場では、戦闘がますます激しくなっている。また、ロシアは、ウクライナの隣国、ポーランドやルーマニアにもドローン攻撃を仕掛けてきた。これはNATO加盟国に対する攻撃である。ヨーロッパで第三次世界大戦が始まる危険性が高まっている。
無人機による領空侵犯
9月9日から10日にかけて、ロシアの無人機19機がポーランドに侵入し、数機が撃墜された。その他、地面に墜落したドローンもあり、各地で発見されている。
12日には、国連安保理でこの問題が協議されたが、ポーランドとロシアの主張は平行線を辿った。
さらに、13日には、ロシアの無人機がルーマニアの領空を侵犯したため、F16戦闘機が緊急発進し、国境付近まで追跡した。撃墜すると、ロシアがどのような報復をするか分からないので、レーダーから消えるまで追うのみにしたという。
NATOは、加盟国の領空を侵犯する事態に危機感を強め、ヨーロッパ東部での防空体制を強化する方針を打ち出している。オランダは、防空システム、大砲、兵士300人を、チェコはヘリコプターと兵士100人を、フランスは、ラファール戦闘機3機をポーランドに派遣する。
さらに、ドイツはリトアニアにドイツ軍の旅団を派遣するという。
NATOとロシアが戦闘状態に入れば、それはヨーロッパで第三次世界大戦が始まったことを意味する。1939年9月1日の悪夢の再現である。この日、ナチスドイツ軍はポーランドに侵攻し、それにイギリスとフランスが宣戦布告することで第二次世界大戦が始まったのである。
一方、ウクライナの無人機が、14日、ロシア北西部、レニングラード州の製油所を攻撃した。
パイロットが操縦する戦闘機と異なり、無人のドローンはコストが低いし、攻撃側の人命が失われることがないため、気軽に使いがちである。もちろんミサイルよりも安価だし、量産も容易であり、他国からの輸入も難しくない。
6日夜から7日朝には、ロシアは800機以上の無人機でキーウなどを攻撃している。
無人機の撃墜に習熟しているウクライナ軍から学ぶために、ポーランドは自国領内でウクライナ軍と共同で無人機撃墜訓練を行うことを発表した。18日に、ポーランドの代表団がウクライナ入りするという。
停戦交渉は頓挫
ロシアの無人機のポーランド領空侵犯に対して、9月11日、トランプは、「ミスだった可能性もある」とした上で、「いずれにせよこの状況に関するあらゆる出来事に不満だ。うまく収まるといいのだが」と述べた。
これに対して、ポーランドのトゥスク首相は、「ミスではない」と反論した。
ロシアが意図的にポーランドやルーマニアの領空をドローンで侵犯したとすれば、それはNATOの防空体制を試すためであり、NATOに対する挑発の限界を見定めるためである。
トランプは、停戦交渉を加速化させるために、ロシアに圧力をかけることを考えている。具体的には、NATO加盟国がロシアから原油を買わないこと、そして、ロシア産原油の最大輸入国である中国に最大100%の関税を課すことである。
しかし、ハンガリーやスロバキアは、ロシア産原油の輸入をやめる意向はない。また、習近平主席はトランプとの米中首脳会談の開催に意欲的であり、アメリカとしても、あえて波風を立てたくない。13日の英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は、中国が正式にトランプを北京に招待したと報じている。
停戦交渉のポイントは3点である。第一が領土問題、第二が安全保障問題、第三がウクライナの政治体制である。
第一については、ロシアが東部ウクライナの割譲を求めているのに対して、ウクライナは拒否している。
第二のウクライナの安全保障については、9月4日にパリで有志連合の首脳会合が開かれ、「26ヵ国がウクライナへ軍隊を派遣するか、陸海空に展開すること」が、正式に合意された。
NATO軍がウクライナに展開することにプーチンは反対しており、そうなれば、NATOとの戦争になると牽制している。
有志連合の合意は、まず兵士の訓練や武器支援でウクライナ軍を強化すること、次に、上記の有志連合の部隊派遣である。さらには、アメリカの関与であるが、この点については、トランプは具体的な内容を明らかにしていない。おそらくは、航空面での支援になると思われる。
第三については、戦時中ということで、ウクライナでは大統領選挙が行われていないが、その点について、ロシアはゼレンスキー大統領の正統性を問題にしている。できれば、ロシアの傀儡政権を樹立したいと考えている。
以上、いずれの点についても、ロシアとウクライナが合意に達する可能性は低い。
プーチンは、時間稼ぎをして停戦交渉を引き延ばしながら、戦闘を激化し、ウクライナにおけるロシアの占領地を拡大しようとしている。
ロシアの無人機のポーランド領空侵犯に対して、9月11日、トランプは、「ミスだった可能性もある」とした上で、「いずれにせよこの状況に関するあらゆる出来事に不満だ。うまく収まるといいのだが」と述べた。
これに対して、ポーランドのトゥスク首相は、「ミスではない」と反論した。
ロシアが意図的にポーランドやルーマニアの領空をドローンで侵犯したとすれば、それはNATOの防空体制を試すためであり、NATOに対する挑発の限界を見定めるためである。
トランプは、停戦交渉を加速化させるために、ロシアに圧力をかけることを考えている。具体的には、NATO加盟国がロシアから原油を買わないこと、そして、ロシア産原油の最大輸入国である中国に最大100%の関税を課すことである。
しかし、ハンガリーやスロバキアは、ロシア産原油の輸入をやめる意向はない。また、習近平主席はトランプとの米中首脳会談の開催に意欲的であり、アメリカとしても、あえて波風を立てたくない。13日の英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は、中国が正式にトランプを北京に招待したと報じている。
停戦交渉のポイントは3点である。第一が領土問題、第二が安全保障問題、第三がウクライナの政治体制である。
第一については、ロシアが東部ウクライナの割譲を求めているのに対して、ウクライナは拒否している。
第二のウクライナの安全保障については、9月4日にパリで有志連合の首脳会合が開かれ、「26ヵ国がウクライナへ軍隊を派遣するか、陸海空に展開すること」が、正式に合意された。
NATO軍がウクライナに展開することにプーチンは反対しており、そうなれば、NATOとの戦争になると牽制している。
有志連合の合意は、まず兵士の訓練や武器支援でウクライナ軍を強化すること、次に、上記の有志連合の部隊派遣である。さらには、アメリカの関与であるが、この点については、トランプは具体的な内容を明らかにしていない。おそらくは、航空面での支援になると思われる。
第三については、戦時中ということで、ウクライナでは大統領選挙が行われていないが、その点について、ロシアはゼレンスキー大統領の正統性を問題にしている。できれば、ロシアの傀儡政権を樹立したいと考えている。
以上、いずれの点についても、ロシアとウクライナが合意に達する可能性は低い。
プーチンは、時間稼ぎをして停戦交渉を引き延ばしながら、戦闘を激化し、ウクライナにおけるロシアの占領地を拡大しようとしている。
第三次世界大戦への道
ナチスは、民主的な選挙で1933年1月に政権に就いた。第一次世界大戦の敗戦によって、賠償、領土、軍備などについて屈辱的な処遇を受けたドイツを大国の地位に戻すために、ヒトラーは全力をあげる。
1935年3月16日、ドイツは再軍備した。1936年3月7日には非武装地帯のラインラントにドイツ軍を進駐させた。また、賠償については、ヒトラーは支払いを拒否した。
領土については、1938年3月、ヒトラーは、オーストリアを併合した(独墺合邦、アンシュルス)。次いで、1938年9月29日に、ドイツがズデーテン地方を10月以降接収することが決まった(「ミュンヘンの宥和」)。そして、1939年3月16日、ヒトラーは、チェコスロバキアを「ベーメン・メーレン(ボヘミア・モラビア)保護領」としてドイツ国に統合した。
9月1日にナチスはポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まった。
ポーストリア、チェコスロバキア、ポーランドへと侵略を進めたヒトラーのように、プーチンは、ウクライナに次いで、ポーランド、ルーマニア、バルト三国へと侵攻していくのであろうか。
今回のポーランドやルーマニアに対するドローン攻撃が、その前兆であれば、極めて危険な状態と言わざるをえない。
戦争回避のために、ヒトラーの野心を野放しにした大国の宥和政策が、逆にヒトラーを増長させ未曾有の世界大戦へ繋がったのである。トランプをはじめ西側の指導者たちは、この歴史の教訓を忘れてはならない>(以上「現代ビジネス」より引用)
「ロシアがまたドローン攻撃を開始…遅々として進まぬウクライナ停戦、ヨーロッパに迫りくる“第三次世界大戦”の影」と題して、舛添 要一(国際政治学者)氏がウクライナ戦争に関して「“第三次世界大戦”の影」と悲観的な予測を立てている。
ナチスは、民主的な選挙で1933年1月に政権に就いた。第一次世界大戦の敗戦によって、賠償、領土、軍備などについて屈辱的な処遇を受けたドイツを大国の地位に戻すために、ヒトラーは全力をあげる。
1935年3月16日、ドイツは再軍備した。1936年3月7日には非武装地帯のラインラントにドイツ軍を進駐させた。また、賠償については、ヒトラーは支払いを拒否した。
領土については、1938年3月、ヒトラーは、オーストリアを併合した(独墺合邦、アンシュルス)。次いで、1938年9月29日に、ドイツがズデーテン地方を10月以降接収することが決まった(「ミュンヘンの宥和」)。そして、1939年3月16日、ヒトラーは、チェコスロバキアを「ベーメン・メーレン(ボヘミア・モラビア)保護領」としてドイツ国に統合した。
9月1日にナチスはポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まった。
ポーストリア、チェコスロバキア、ポーランドへと侵略を進めたヒトラーのように、プーチンは、ウクライナに次いで、ポーランド、ルーマニア、バルト三国へと侵攻していくのであろうか。
今回のポーランドやルーマニアに対するドローン攻撃が、その前兆であれば、極めて危険な状態と言わざるをえない。
戦争回避のために、ヒトラーの野心を野放しにした大国の宥和政策が、逆にヒトラーを増長させ未曾有の世界大戦へ繋がったのである。トランプをはじめ西側の指導者たちは、この歴史の教訓を忘れてはならない>(以上「現代ビジネス」より引用)
「ロシアがまたドローン攻撃を開始…遅々として進まぬウクライナ停戦、ヨーロッパに迫りくる“第三次世界大戦”の影」と題して、舛添 要一(国際政治学者)氏がウクライナ戦争に関して「“第三次世界大戦”の影」と悲観的な予測を立てている。
だがプーチンは果たして「第三次世界大戦」を望んでいるのだろうか。それならドローンを飛ばすのではなく、ロシアご自慢の最新鋭戦闘機でポーランドを全面的に攻撃するだろう。ロシアの領内のベラルーシの軍事基地からなら北欧も戦闘行動範囲に入るだろう。もちろんドイツも攻撃可能範囲だ。しかし二十機足らずのドローンをベラルーシから飛ばしてポーランドを攻撃した。その真意は何だろうか。
舛添氏は「プーチンは、時間稼ぎをして停戦交渉を引き延ばしながら、戦闘を激化し、ウクライナにおけるロシアの占領地を拡大しようとしている。」と推測している。しかしNATO諸国を危機感で団結させて、ロシアにとって好ましい状況が展開されるだろうか。果たして米国もロシアのポーランド攻撃に激怒している。すべてはプーチンにとって好ましくない方へと転がっている。
そうすると、ポーランドを攻撃したのはプーチンの本意ではない、と見る方が正しいのではないだろうか。対ロ制裁をより厳しくし、プーチンの独裁体制の早期瓦解を狙った反政府行動ではないか。
舛添氏は「ロシアが意図的にポーランドやルーマニアの領空をドローンで侵犯したとすれば、それはNATOの防空体制を試すためであり、NATOに対する挑発の限界を見定めるためである。」と断定しているが、ドローンを飛ばしてNATOの防空能力を見定めてどうするというのか。第三次世界大戦をロシアはドローンでやろうとしている、とでもいうのか。
防空体制を見定めるには高性能ミサイルを打ち込むのが一番分かり易い。ドローンは防空網の網の目を潜る回避策でしかないロシアの空軍が空爆するための前段階として防空能力を見定めた、というのはドローン攻撃と整合性を持たない。
そして疲弊したロシア軍が更に戦線拡大する必然性は何処にもない。ウクライナ東部戦線すら維持するのに精一杯の兵站でNATO諸国へ攻め込むのは自殺行為でしかない。しかもロシア軍は激しい損耗で兵員不足に陥っている。また兵員を輸送する走行車両も枯渇して民生用トラックやオートバイまで戦場に狩り出されている。そうした状況で大平原の欧州諸国へロシア軍が雪崩れ込む、と云うのは想像だに出来ない。
むしろロシア軍の指揮命令系統が乱れた、と見るべきだろう。二十機足らずのドローン攻撃なら十数人の小隊で攻撃可能だ。ゲームオタクと攻撃ドローンがあれば簡単に作戦遂行できる。そう考えればロシアとベラルーシがドローン攻撃直後に共同軍事演習を実施したのはポーランドを攻撃した者の洗い出しにロシア軍を派遣したとも考えられる。そうでなければ、順序が逆ではないか。本来であれば共同軍事演習をして、そのままドローン攻撃に移る、と云うのが本来の軍事行動の流れではないだろうか。
プーチンは自身の立場を守るのに汲々としていて、第三次世界大戦など夢想だにしていないのではないだろうか。