「欧州の問題は欧州で片づけろ」と、プーチンに興味を失ったトランプ氏。

<米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)は21日、トランプ米大統領が19日に欧州首脳らとの電話会談で、ロシアのプーチン大統領にはウクライナでの戦争終結の意思がないと伝えていたと報じた。対ロ追加制裁も見送る構えだったという。

 トランプ氏は19日、プーチン氏との電話会談で即時停戦を迫ったが、同意を得られなかった。これまで「彼(プーチン氏)は戦争終結を願っていると思う」と公言してきたトランプ氏だが、WSJによれば、戦況が優位であることを理由にプーチン氏は早期終結に応じない姿勢だと、欧州首脳らに説明していた。
 トランプ氏は18日、プーチン氏が即時停戦に応じなければ、対ロ制裁を強化する可能性を欧州側に伝えていたという。だが、プーチン氏との会談後には「事態を悪化させるかもしれない」として、制裁強化に後ろ向きな姿勢へと一変した。
 トランプ氏との協議には、ウクライナのゼレンスキー大統領のほか、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルツ首相らが出席。欧州連合(EU)は20日、米ロ首脳の電話会談で停戦が実現しなかったことを受け、対ロ制裁の強化を決めた。
 ロシアとウクライナは今後、停戦仲介に意欲を示すローマ教皇庁があるバチカン市で直接協議を進めるとみられる。WSJによると、協議は6月中旬にも始まる見通し>(以上「時事通信」より引用)




 トランプ氏がウクライナ停戦協議で匙を投げた、という。プーチンに停戦意思がないから、いかにトランプ氏が「餌」をぶら下げてもプーチンが食べようとしない。「プーチン氏に終戦意思なし 欧州首脳に伝達、制裁後ろ向き―米大統領」との見出しは事実だろう。
 しかしトランプ氏がプーチンとの一時間半にわたる電話会議の後に「ウクライナ戦争の即時停戦協議は諦める」と声明を出すと、ロシアのグロムイコ外相が「いつでも停戦協議に応じる用意がある」と声明を発表した。

 つまりロシアは「停戦協議を始める用意はあるが、今ではない」ということのようだ。それなら「いつ」なのか。ロシアは「今だ」としか返答しないが、実際にテーブルを用意するとプーチンはクレムリンの奥に引籠ってしまう。まるで「引籠りニート」になってしまったかのようだ。
 現実的にプーチンはウクライナ戦争を止めることは出来ないだろう。なぜならウクライナ全土を占領してないからだ。現状の併合したクリミア半島やウクライナ東部地域はウクライナ侵攻前から事実上ロシアの支配下にあった。そこには多数のロシア人が入植していて、事実上武装したロシア人とウクライナ軍が内戦状態にあった。

 プーチンが大ロシアを提唱している間は、旧ソ連の版図を手中に収めるまで侵略を諦めないだろう。ベラルーシはもとより、バルト三ヶ国までロシアが攻め獲るまで、進軍を止めないだろう。トランプ氏はプーチンの野望を知らないのか、あるいは知っていて無視したのか、現在ロシアが占領しているウクライナの割譲で「手を打て」とプーチンに持ち掛けていた。
 しかしウクライナは1mmたりとも領土をロシアに割譲する気はない。ただ便宜的にトランプ氏の提案を受け入れる姿勢を見せた。そうすればロシアは停戦行儀の場に出ることになり、停戦協議が成立すれば、ロシア軍は割譲した地域の守備隊を残してウクライナ領内から徹底することになる。少なくともウクライナ国民はミサイルやドローンの空爆の脅威から解放される。そしてウクライナ戦線から帰還したロシア兵はウクライナ戦争の現実を実体験者としてロシア国内で拡散するだろう。ウクライナの現実は「特別軍事行動」ではなく、醜悪な血で血を洗う「泥沼の戦争だった」と。

 停戦しても、ロシアは軍備を整えることは出来ない。なぜなら経済制裁が解かれない限り、兵器の主要部品が入って来ないからだ。その代わり、帰還兵がロシア国内世論に実質的なロシア軍の敗戦を口々に「広報」する。数十万人もの戦死者と百万人近い傷病兵たちの帰還はロシア国民に深刻なショックを与えるだろう。
 それはアフガニスタンから15万人ソ連軍が撤退した比ではない。国力のすべてを傾けて侵攻した成果が「コレ」なのかと、ロシア国民は目を疑うだろう。だからプーチンは停戦協議の場に臨めない。大規模ドローン攻撃をキーウに仕掛けるのが精いっぱいだ。その代わり、ウクライナからもモスクワにドローン攻撃のお返しをした。こうして無益な戦争がプーチンと彼を取り巻く利権集団のためにのみ継続される。

 プーチンがクレムリンに引籠ったため、トランプ氏は停戦協議の興味を失い、ウクライナに本格的な軍事支援を行う気になったようだ。停戦に応じないなら、プーチンを徹底的に攻撃するしかない。トランプ氏との一時間半にわたる電話会談後、プーチンは蒼褪めていたという。グロムイコ外相が「停戦協議に応じる用意はある」と声明を発表したが、トランプ氏は二度と同じ嘘に騙されないだろう。
 かくしてロシアは軍事資源が払底したまま、ロシア兵士たちは碌な装備も持たないまま、無装甲のバイクに跨って進軍する。現代のドン・キホーテをロシア軍は演じているが、間もなくそうした悲喜劇も終わりを迎えるだろう。ロシアの兵站は枯渇している。

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