大統領就任式典に欠席したミシェル夫人とペロシ元下院議長が象徴する左派活動家たちの退潮。

<順風満帆の船出が始まったかに見える米国の第二次トランプ政権。対照的に野党民主党、そして全米のリベラル派活動家たちの間では、政権に立ち向かうだけの気力を失い、“虚脱ムード”さえ漂っている。

元大統領夫人の無言の抵抗

 20日のトランプ大統領就任式は、前回2017年の時とは様変わりしたものだった。厳寒のため急遽、例年なら数十万人が参加する宣誓式典会場が連邦議事堂前の屋外広場から「ロタンダ」と呼ばれる議事堂内円形大広間に単に変更になっただけではない。
 存命の歴代大統領が夫人同伴で列席するのが恒例となっている宣誓式に、今回は、オバマ民主党大統領夫人が欠席した。ミシェル・オバマ夫人は、前回夫とともにトランプ就任宣誓式に出席したものの、昨年選挙では、カマラ・ハリス民主党候補を熱烈支持し、集会やテレビ・インタビューなどを通じ人格批判も交えた徹底的な「トランプ阻止」の行動に出たことで知られる。こうしたいきさつから、今年のトランプ大統領就任式への出席見合わせを事前に公表していた。
 ヒラリー・クリントン夫人も直前まで、出席辞退が伝えられていたが、最終的に夫の手に引かれながら式典に顔を見せた。しかし、表情は終始さえなかった。
 同夫人は16年大統領選で民主党候補としてトランプ共和党候補に立ち向かい、接戦の末、敗れた。その後、昨年大統領選でも、ハリス候補支援集会にしばしば駆け付け、トランプ批判演説を行ってきただけに、今回のトランプ式典では終始、笑顔ひとつ見せることはなかった。
 両夫人ともかねてから、人種差別撤廃、女性の権利拡大、銃砲規制、環境保護などの運動に積極的に関与してきた実績があり、これらの問題に冷淡な態度をとってきたトランプ氏の今回の返り咲きを大きな衝撃を持って受け止めたことは間違いない。
 二人の民主党大統領夫人のこうした反応は、党そのものの「落胆」と無言の「抗議」の象徴ともいえる。
 また、この日、アンチ・トランプの論客で下院議長を務めたナンシー・ペロシ民主党議員も宣誓式には姿を見せなかった。ペロシ氏は下院議長だった2018年当時、トランプ氏が大統領として議会での年頭一般教書読み上げに臨んだ際、大統領の目の前で教書コピーを引きちぎり、不快感を示したことで大きな話題となったことがある。

「降伏した」抗議運動
 筆者は、17年のトランプ大統領就任式当時、ワシントン滞在中だった。就任式が行われた議会前の広場には数十万人のトランプ支持者たちが全米各地から詰めかけ、8年ぶりの共和党大統領の誕生を祝福した。
 しかし、その翌日には、広場からペンシルベニア通をへてホワイトハウスに至る沿道で、それ以上の規模の「Women’s March」と銘打った抗議集会、パレードが行われた。警察発表によると、参加者は約50万人にも達した。
 移民政策、健康保険制度、人種差別など参加者たちの抗議の対象は様々だったが、圧倒的多数の市民たちにとっては、「初の女性大統領誕生」の夢が打ち砕かれたことに対する怒りと失望のはけ口でもあった。
 「Women’s March」は首都ワシントンのほか、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ、ボストンなど全米主要都市でも同時に展開され、当時の推計で参加者「100万人超」という史上最大規模の政治イベントとして記録されている。
 しかし、女性大統領の誕生は、昨年の選挙でも実現しなかった。そしても、今回も“女性の大敵”とされてきたトランプ氏が返り咲いた。
 今年は就任式2日前の18日、ワシントン目抜き通りでトランプ再登場に反対する抗議デモが行われたが、参加者は数千人規模にとどまった。主催者側は「6万人程度」の参加を予告していた。
 16年大統領選でトランプ陣営の参謀を務めた共和党ストラジストのデービッド・アーバン氏は、ワシントン・ポストとのインタビューで前回抗議集会を回想した上で「レジスタント運動はもはや、過去のものとなった。民主党は今や完全に降伏した」とまで言い切っている。
 米マスコミの一部では、民主党の現状について「まるで元王者にリング上で完膚なきまでに打ちのめされた挑戦者」との論評まで出ている。

トランプ政策を“支持”する民主党議員
 議会民主党内では、すでに亀裂が生じ始めている。
 去る1月16日の下院本会議で、性犯罪で検挙された永住権のない外国人滞在者の即時国外退去を認める移民法改正案の審議が行われ、賛成多数で可決されたが、共和党議員全員のみならず、民主党議員61人がこれに相乗り投票し、注目を集めた。
 他の民主党議員144人は「裁判の判決を待たずに即時国外退去処分は憲法違反」などとして反対投票した。
 翌17日にも、窃盗、強盗容疑で検挙された外国人滞在者を国外退去させる関連法案の下院審議でも、民主党議員48人が支持投票しただけでなく、上院審議でも民主党議員10人が造反し、共和党議員とともに支持に回った。
 上下両院で二桁に上る民主党議員が共和党側のタカ派的主張に賛意を示したことは、かつてなかった事態であり、「全国民主党委員会」(DNC)本部内でも、これ以上の党内分裂を避けるための対策に追われている。
 また、議会民主党の重鎮、チャック・シューマー前上院院内総務までも、トランプ氏が就任前に、「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に名称変更すべきだと唐突な発言をしたことについて、「就任後、大統領とじっくり協議したい」として同調のシグナルを送ったほか、他の数人の民主党上院議員も、トランプ氏の意を受けたイーロン・マスク氏が陣頭指揮する「政府効率省」の行政について協力していく姿勢を示している。
 共和党陣営が、こうした民主党側の動揺ぶりや、トランプ大統領への媚、へつらいぶりを歓迎していることは言うまでもない。

切り崩しにもかかるトランプ
 それに加え、トランプ氏自らが大統領就任前から、民主党支持基盤の切り崩しに乗り出したことが話題に上っている。
 民主党有力政治家たちをフロリダ州「マール・ア・ラゴ」に居を構える豪華邸宅に招き入れ、非公式会談を行ってきたことは、その一例だ。
 去る1月9日、トランプ氏は、民主党のジョン・フェターマン上院議員(ペンシルベニア)と食事を共にしながら懇談した。懇談後のトランプ氏の説明によると、二人は、日本製鉄によるUSスチール買収問題、移民問題、中東情勢などについて意見交換したという。
 また、フェターマン議員の印象について「彼は保守派でもリベラル派でもなく、良識派で善良な人物だ」と好意的なコメントもしている。
 これに対し、フェターマン議員も「米国の最高指導者と率直な意見を交わすことは、党派にかかわらず、重要なことであり、とても有意義だった」と語った。フェターマン議員は、その直後に行われた連邦議会審議で、共和党側が提出した移民関連法案に支持投票している。
 同審議では、ヒスパニック系のルーベン・ガイエゴ民主党上院議員(ニューメキシコ)も、賛成に回っており、ワシントン政界筋では、トランプ大統領が今後、黒人のみならず、民主党のヒスパニック支持基盤切り崩しにも乗り出すとの観測まで出ている。
 続いて14日には、トランプ氏は黒人のエリック・アダムズ・ニューヨーク市長を同じ敷地内に所有するカントリークラブに招き、会談した。会談後、アダムズ市長は記者団に「ニューヨークの治安、市政、移民、そして国全体の問題について話し合い、大変有意義だった」と語った。
 アダムズ市長は現在、汚職、買収などの容疑で連邦捜査局(FBI)に刑事告発されており、有罪判決の可能性が濃厚と報道されている。しかし、トランプ氏は市長の起訴発表以来、「エリックも自分も、故なき検察の犠牲にされてきた」などと、同氏に対する同情的コメントをしてきたほか、「大統領就任後、特赦も念頭にある」とも語って来た経緯がある。
 今回二人が直接会談したことで、近くアダムズ市長の恩赦の可能性はほぼ確実視されている。

中間選挙までの2年は我慢の時か
 こうした動きが伝えられる中、民主党幹部たちの間では、ホワイトハウスと上下両院を制した「トライフェクタ体制」に今後、どう向き合っていくかについて激論が戦わされている。
 ただ、民主党としては当面、内政、外交両面でトランプ第二次政権が打ち出してくるとみられる過激な政策、法案、大統領令などに対し、議会審議で異議を唱えるほかは打つ手がないのが実情だ。
 議会審議ではこれまで、伝統的中道保守路線が主流を占めていた共和党側に時として歩み寄り、第一次トランプ政権下で見られたように、常道を逸した政策案に対しては超党派で阻止する場面が少なくなかった。しかし、今やその共和党議会も“トランプ党”に変身しつつある。
 このため、民主党としてはせいぜい、党としての主張の正当性をマスコミやグラスルーツの集会などを通じ、世論に訴えていく程度だろう。
 著名な国際政治学者イアン・ブレマー氏が主宰するネット・メディア「GZERO」の評論によると、民主党は中長期的展望として、来年行われる中間選挙で下院の多数支配奪回に希望をつないでいるという。
 今議会での下院勢力が共和党220議席、民主党215議席と伯仲していることや、過去の下院選挙では、大統領選挙で政権を明け渡した政党が2年後の下院選挙で多数となるケースがほとんど例外なしの通例となってきたことが根拠とされている。
 そして民主党幹部は「27年から28年にかけて、民主党主導の下院で、前回同様に、トランプの様々な疑惑や不正追及に乗り出し、次の大統領選に向けての有利な世論環境づくりができる」との見通しを明らかにしている。 これに対し、同メディアは「もし、26年中間選挙で敗れたら、民主党再起の展望は決して明るくない」と結んでいる。
 いずれにしても当分は、不法移民の大規模追放、検挙に象徴されるトランプ氏の“暴走”を座視するしかない、との沈滞ムードがワシントンを覆っている>(以上「Wedge」より引用)




 大統領就任式にスポットライトが当たっていたが、陰の部分を見ると「米民主党に漂う“虚脱ムード”トランプ就任式を静観、もはや戦えない政党に、26年中間選挙に敗れたらどうなる?」と斎藤 彰( ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)氏が指摘する通り意気消沈した民主党の面々だ。
 低温情報により連邦議会内で行われたトランプ大統領就任式にオバマ大統領夫人やペロシ元下院議長などは欠席した。そして夫に手を引かれて入場したクリントン元大統領夫人は冴えない顔をしていたという。

 彼女たちは一貫して「人種差別撤廃、女性の権利拡大、銃砲規制、環境保護などの運動に積極的に関与してきた」が、トランプ氏は就任演説で「不法移民を祖国へ送り返す」「性は男と女の二つしかない」と発言して、民主党左派活動家が展開して来た移民受け入れやLGB運動に真っ向から異を唱えた。
 トランプ氏は既にバリ協定から離脱する大統領令にサインしたようだ。就任演説で「掘って、掘って、掘りまくれ」と選挙演説で繰り返し叫んだスローガンを繰り返した。さらに民主党の上下両院の議員にもトランプ氏は切り崩し策を講じているという。トランプ氏という男は何処までタフなのだろうか。

 日本のオールドメディアはトランプ再登場により関税の大幅引き上げにより米国はインフレに見舞われ、「米国第一主義」という孤立主義で日本の防衛費負担増の圧力をかけて来るだろう、とトランプ再登場を歓迎よりも悲観的な論調で一貫している。
 もちろん関税を引き上げれば、その対象品目は輸入価格がそれだけ上昇するだろうが、貿易相手も為すすべもなく関税引き上げ措置で対米輸出が影響をモロに受けるとは思えない。中国は対抗措置を取ると主張しているが、その一環なのか対ドル「元」相場が早くも7.3元ほどに下落している。云うまでもなく、関税を20%引き上げても対ドル為替相場が20%下落すれば±0となる。関税引き上げに対抗する、或いは影響を回避する手段は皆無ではない。

 予てより私はトランプ氏の「米国ファースト」は文字通り「米国第一主義」だが「孤立主義」ではない、と主張している。トランプ氏が前回の時に実施した対中デカップリングを再現するためには日本の協力は欠かせない。特に極東の経済大国・日本の存在は決して無視することは出来ない。しかもTSMCが日本に生産拠点を拡大し、日本国内でも最先端半導体生産に踏み切ろうとしている。
 様々な兵器開発でも日本の技術力は世界でも際立っている。そうした研究技術開発で日本を無視することは出来ないし、トランプ氏の世界戦略に日本の技術力を欠かすことは出来ない。ことにパリ協定から離脱した産業界のCO2排出量を抑えるための省エネ技術を大幅に採用しないと、他の先進諸国やCO2に敏感な国々から批判を受けかねない。まだ国際社会はCO2地球温暖化詐欺の魔術から覚醒しきっていないからだ。現に、能天気なテレビコメンテータはCO2が増加して地球環境は取り返しのつかないことになる、などと何の根拠もなく大騒ぎしている。

 地球気候は変動しているが、それはCO2濃度によって変動しているのではない。太陽活動など様々な要因で変動しているし、現在の気候は地球気候が経験してきた変動幅のほぼ中央に位置している。全く問題ないが、ただ左派環境活動家たちが大騒ぎして利権騒動を演じているだけだ。
 日本政府もトランプ氏に倣ってパリ協定から離脱すべきだ。そして無駄な環境などに濫費している予算を削減して、国民のための政策に乗り出すべきだ。抜本的に、左派活動家たちの策動によって破壊されて来た社会秩序を取戻し、家族と云った社会の最低単位についてもう一度考え直すべきだ。トランプ氏が述べた「性には男と女の二つしかない」という極めて当たり前のことをもう一度確認すべきだ。

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