日銀の金利引き上げ予想の判断材料は何だ。
<止まらない「円安と物価上昇」
筆者は日銀が2024年12月の決定会合で利上げを実施する可能性を指摘した。結果は、ご存じのとおり、その予想は見事に大外れしたということになる。では、来る1月22、23日の決定会合は、どうなるだろうか。
筆者は、つぎの決定会合で利上げが行われるだろうと考えている。
12月の決定会合の見誤りについては、前編『日銀・植田総裁の「真意不明の発言」で混迷!円安&物価高が一段と進む中…日銀政策決定会合「迷走の真実」』でその理由を説明してきた。
日銀は12月18・19日の金融政策決定会合で政策金利の引き上げを見送ったが、植田総裁は、その理由を2点あげた。
第1は日本経済にも大きな影響を与える可能性のある米国のトランプ次期政権の経済政策の行方と影響。
第2は賃上げ動向で、「来年の春闘に向けた賃上げのモメンタムを確認するために、もう少し(ワンノッチ)情報を待ちたい」ということだった。
しかし、トランプが1月20日の大統領就任式でどの程度の政策を打ち出すかも不透明なら、その実現性も不透明である。賃上げも、その実確実な賃上げ動向は春闘まではっきりしない。
そのため、市場では植田総裁があげた2点がある程度明確になるには時間がかかるとの見方から、日銀の利上げは1月ではなく、3月ころまで後ずれするのではないかとの見方が広がり、1ドル157円台まで円安が進んだ。
「日銀の迷走は止まらない…!植田総裁はついに決断を迫られた!来る決定会合は「利上げ必至」、「円高巻き返し」に備えよ!」とは、勇ましい。鷲尾 香一(ジャーナリスト)氏は日銀の金利裂蹄は誰のための金利か、考えたことがあるのだろうか。
筆者は日銀が2024年12月の決定会合で利上げを実施する可能性を指摘した。結果は、ご存じのとおり、その予想は見事に大外れしたということになる。では、来る1月22、23日の決定会合は、どうなるだろうか。
筆者は、つぎの決定会合で利上げが行われるだろうと考えている。
12月の決定会合の見誤りについては、前編『日銀・植田総裁の「真意不明の発言」で混迷!円安&物価高が一段と進む中…日銀政策決定会合「迷走の真実」』でその理由を説明してきた。
日銀は12月18・19日の金融政策決定会合で政策金利の引き上げを見送ったが、植田総裁は、その理由を2点あげた。
第1は日本経済にも大きな影響を与える可能性のある米国のトランプ次期政権の経済政策の行方と影響。
第2は賃上げ動向で、「来年の春闘に向けた賃上げのモメンタムを確認するために、もう少し(ワンノッチ)情報を待ちたい」ということだった。
しかし、トランプが1月20日の大統領就任式でどの程度の政策を打ち出すかも不透明なら、その実現性も不透明である。賃上げも、その実確実な賃上げ動向は春闘まではっきりしない。
そのため、市場では植田総裁があげた2点がある程度明確になるには時間がかかるとの見方から、日銀の利上げは1月ではなく、3月ころまで後ずれするのではないかとの見方が広がり、1ドル157円台まで円安が進んだ。
日銀の「トラウマ」
一方で、植田総裁は「この2つの要因がはっきりするまで利上げはしないという訳ではなく、会合ごとに総合的に判断して利上げ時期を決める」と述べ、1月利上げを否定しなかった。
キーは米国の金融政策だっただろう。
米国では米連邦準備制度理事会(FRB)が12月18日に0.25%の利下げを実施した。3会合連続での利下げだ。実は、この米国の利下げが日銀に利上げを思いとどまらせる原因となったのではないか。
2024年7月の0.25%の利上げで、日銀は大きな間違いを犯した。米国が利下げを実施したにも関わらず、日銀が利上げを実施したことで、市場は大きく動揺し、日経平均株価の大暴落を引き起こした。この株価暴落は、日本だけではなく米国やその他の国にも波及し、世界的な株価の大暴落の原因となった。
日銀には、この“トラウマ”があったのだ。
一方で、植田総裁は「この2つの要因がはっきりするまで利上げはしないという訳ではなく、会合ごとに総合的に判断して利上げ時期を決める」と述べ、1月利上げを否定しなかった。
キーは米国の金融政策だっただろう。
米国では米連邦準備制度理事会(FRB)が12月18日に0.25%の利下げを実施した。3会合連続での利下げだ。実は、この米国の利下げが日銀に利上げを思いとどまらせる原因となったのではないか。
2024年7月の0.25%の利上げで、日銀は大きな間違いを犯した。米国が利下げを実施したにも関わらず、日銀が利上げを実施したことで、市場は大きく動揺し、日経平均株価の大暴落を引き起こした。この株価暴落は、日本だけではなく米国やその他の国にも波及し、世界的な株価の大暴落の原因となった。
日銀には、この“トラウマ”があったのだ。
利上げには絶好のタイミング
しかし、1月の決定会合では、米国の利下げに対して、日本の利上げという構図は起こらない。米国のFRBは2025年の利下げペースが大きく鈍化するとの見通しを示しているため、米国が1月に利下げを実施する可能性は極めて低い。
その上、1月14日には氷見野良三副総裁が神奈川県金融経済懇談会で講演し、その後記者会見で「1月の決定会合で利上げするかどうかが議論の焦点になるだろう」と述べ、利上げに前向きな姿勢を示した。
1月の決定会合前に政策委員が懇談会を開くのは極めて異例であり、市場では「1月利上げの布石」と受け止められている。
いずれにしても、12月の利上げを見送ったことで、円安が進行し、物価は再び上昇の兆しを見せている。過度な円安と物価高を放っておくことはできないだろう。
これまでも指摘してきたが、日銀と市場との対話はうまくいっているとは言い難い。
混乱した金融市場を鎮めるためにも、また、円安進行の歯止めのためにも、日銀の1月利上げの可能性は、より高まっている>(以上「現代ビジネス」より引用)
しかし、1月の決定会合では、米国の利下げに対して、日本の利上げという構図は起こらない。米国のFRBは2025年の利下げペースが大きく鈍化するとの見通しを示しているため、米国が1月に利下げを実施する可能性は極めて低い。
その上、1月14日には氷見野良三副総裁が神奈川県金融経済懇談会で講演し、その後記者会見で「1月の決定会合で利上げするかどうかが議論の焦点になるだろう」と述べ、利上げに前向きな姿勢を示した。
1月の決定会合前に政策委員が懇談会を開くのは極めて異例であり、市場では「1月利上げの布石」と受け止められている。
いずれにしても、12月の利上げを見送ったことで、円安が進行し、物価は再び上昇の兆しを見せている。過度な円安と物価高を放っておくことはできないだろう。
これまでも指摘してきたが、日銀と市場との対話はうまくいっているとは言い難い。
混乱した金融市場を鎮めるためにも、また、円安進行の歯止めのためにも、日銀の1月利上げの可能性は、より高まっている>(以上「現代ビジネス」より引用)
「日銀の迷走は止まらない…!植田総裁はついに決断を迫られた!来る決定会合は「利上げ必至」、「円高巻き返し」に備えよ!」とは、勇ましい。鷲尾 香一(ジャーナリスト)氏は日銀の金利裂蹄は誰のための金利か、考えたことがあるのだろうか。
ただ単に「円安」と「金利」誰の関係を取り上げるのなら、引き上げるのが良いと結論付けてもそれほど異を唱えるものではない。しかし日本経済の景気と国民所得を第一に考えるなら、デフレ下で金利引き上げには同意できない。
確かに円安で物価が高騰している、との論が横行しているが、円安で国内すべての物価が高騰するのは少々おかしくないだろうか。原油価格は一時から随分低下している。現在では1バレル70ドル台で推移し、トランプ氏が「掘って掘って掘りまくれ」政策を実行に移すと70ドル台割れる現実味を帯びてくる。つまりガソリン価格が120円台前後だった頃の原油価格になる。
それでも円安だからガソリン価格は引き下げられない、と元売り各社が主張するなら、元売り各社が最高益を上げた事実をご説明頂きたい。昨今の物価上昇は「円安」にかこつけた便乗値上げの側面が大きいのではないかと思われる。ことに輸入物価とあまり関係ない国内産の野菜などの異常な価格上昇は便乗値上げを疑わざるを得ない。
いずれにしても、好景気に伴う供給不足によって生じるインフレとは関係がない。世間は好景気とは無縁な経済成長なきインフレ、もしくはデフレ下のインフレつまりスタグフレーションという最悪の経済環境にある。
一部企業は新卒給与の引き上げを発表しているが、それが労働賃金の引き上げになるほどの勢いを得ていない。その原因は政府の経済政策が根本的に転換されないからだ。「緊縮 増税」政策が続く限り、景気が好転するとは思えない。つまりデフレ経済は依然として続く思わなければならない。
金利は景気によって決定されるべきだ。円安だから金利を引き上げる、と云うのは為替相場が投機市場になっていることから、為替相場の動向で金利政策を判断をするのは誤りだ。あくまでもインフレ抑制のために市中貸出金利を引き上げるために公定歩合たる日銀金利を引き上げるのが筋だ。
現在の経済情勢はどう見てもデフレ経済下=不景気だ。不景気の状況で金利引き上げは景気をさらに悪化させるだけだ。とても正気の沙汰とは思えない。財務省の経済政策も「国民のための政策とは思えないが、この時点で金利引き上げを模索する日銀も狂っている。治世者が国家や国民のための政策判断をしなくなり、特定の利害関係者たちだけの為の政策判断をしていては、日本は益々衰退し国民は貧困化するだけだ。