米国の若者たちは貧困化している。

高インフレが再燃するリスク

若者の「バイデン離れ」を止められるか?

 2024年4月9日、レストランに移動する車中での一コマ[/caption] 今年11月の選挙で勝利を目指すバイデン米大統領に、頭の痛い問題が浮上している。
 3月の消費者物価指数(CPI)は前年比3.5%増と市場予想の3.4%を上回った。2月(3.2%増)に比べても伸び率は加速しており、高インフレが再燃するリスクが生じている。
 バイデン氏は「インフレ率はピーク時の9%から3%程度まで下がっている」と実績を強調しているが、インフレ率が高止まりする状況下では国民の納得感は薄い。 
 インフレを引き起こしている主な要因は、原油高に起因するエネルギー価格や家賃、医療費などのサービス価格の上昇だ。 
 米国民にとって必需品とも言えるガソリン価格がこのところ高くなっている。年初、1ガロン(約4リットル)=3.0ドルだった価格が足元で3.6ドル台だ。中東情勢の緊迫化から原油価格が上昇する可能性が高いことから、夏場の需要期にかけて「高値」の目安となる4ドル超えも現実味を帯びつつある。 
 米国で現職の大統領が再選に失敗したケースは、2020年のトランプ氏の場合を除いて3回あり、いずれも原油高の時期だった。

土地不足、家賃高騰、ホームレス増加

 住宅価格や家賃の上昇も頭の痛い問題だ。シカゴ地区連銀総裁は4日「住宅サービスセクターにおける持続的かつ異常な上昇が物価目標(2%)達成の最大の足かせとなっている」と述べている。 
 不動産市場では需要に供給が追いつかず、土地不足が発生している。このため、洪水多発地域でも住宅建設が進んでおり、米当局は「今後大規模災害が起きるのではないか」と頭を抱えている(3月23日付ロイター)。 
 賃貸物件の家賃の高騰も深刻だ。住宅ローンのコスト上昇により、大量の住宅 購入希望者が購入の決断を遅らせて賃貸市場に流入し、家賃を大幅に押し上げている。 
 家賃の高騰で路上生活者(ホームレス)が急増している事態を受けて、バイデン政権は4月から連邦政府の補助金を受けている低所得者向け住宅の家賃の値上げ率を年10%に制限したが、効果のほどは定かではない。

生活への圧迫を特に感じている若者層
 雨風をしのぐ屋根付きの家を守るために米国人も必死だ。 
 不動産仲介プラットフォーム「レッドフィン」の最新の調査結果によれば、22%が「家賃や住宅ローンの支払いに充てるためにお金を節約し、食事をせずに我慢した経験がある」と回答している(4月9日付ニューズウィーク日本版)。 
 このような状況下で「インフレ率が3%程度に低下した」と言われても「あんなに高騰した物価がまだ上がっている」というのが多くの米国人の本音だろう。 
 生活への圧迫を特に実感しているのはミレニアル世代(28~43歳)とZ世代(18~27歳)だ。日本のように「親のすねかじり」が当たり前になりつつある。 「米国の親の47%が成人した子供たちに経済的援助を行っており、その額は月平均1384ドル(約21万円)に上る」との調査結果がある(4月2日付クーリエ・ジャポン)。

移住したい国の第3位に日本が
 ミレニアル世代やZ世代にとっては医療も「高嶺の花」と化したようだ。「若者の3人に2人が高額な医療費を理由に病院の受診を控えた」とする調査結果がある(4月9日付BUSINESS INSIDER)。 
 社会の分断に嫌気がさして「住む国を分散したい」と考える米国人が急増しており、生活費が安い国の人気の的になっている(4月11日付ニューズウィーク日本版)。 
 最近の調査によれば、18~26歳の米国人が移住したい国のランキングの第3位に日本がランクインした(3月11日付Forbes)。欧米諸国以外で唯一日本がベスト10入りした理由は生活費の安さが決め手だったと思われる。 
 2020年の大統領選ではバイデン氏が若年層から支持を得たが、現在、その優位性は揺るがされている。 
 18~29歳の有権者は経済を最大の懸案事項に挙げる傾向が高く、その率は高齢者の2倍を超えている。すべての有権者が前回の大統領選の時よりも経済を憂慮しているが、悲観論は30歳未満で最も増加している(4月2日付ブルームバーグ)。

大統領選の行方に影響するインフレ動向
 この状況に危機感を抱いた米バイデン政権は12日、27万7000人を対象に学費ローン74億ドル相当の返済免除を発表した。若者の頭痛の種である学生ローンの問題に対し、手持ちのカードを切った形だ。 
 バイデン陣営はさらに、若者の関心が高い人工妊娠中絶の権利の問題を争点にしようと躍起になっている。だが、若者を巡る生活環境が改善されない限り、バイデン離れを食い止めることはできないだろう。 
 ロイターが12日に発表した調査結果によれば、既存の政治に幻滅したり絶望を抱いたりする傾向が世界的に急拡大しており、特に米国の若い男性で顕著だった。絶望した若者は保守化する傾向が強いため、熱烈なトランプ支持者になる可能性がある。 
 インフレの根強さから政策金利の引き下げが遅れ、年末までに景気後退入りする可能性も排除できなくなっている。 
 たかがインフレ、されどインフレ。バイデン氏が再選できるかどうかは今後のインフレの動向にかかっているのではないだろうか>(以上「ディリー新潮」より引用)





米国の若者が「移住したい国」3位は「日本」…バイデン氏の再選を阻む“頭の痛い問題”とは」と題して藤和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)氏がバイデン再選を占っている。
 藤氏によると大統領の再選を阻むのはガソリンの高騰だという。インフレの中でもガソリンは自動車社会の米国では深刻な影響を与える。現在1ガロン(約4リットル)=3.0ドルだった価格が足元で3.6ドル台(約1リッター135円)だという。日本では1リッター170円台だから、日本よりはかなり割安だ。それでも日本の消費者は黙って自公政権を支持し、トリガー条項を発令せよと迫らない。岸田自公政権が何をしようとも、これまで自公政権を許してきた。米国と比べると日本は随分と政権を見る国民の目が優しいようだ。

 さて、ガソリンに次いで住宅費が高いのも米国民を直撃しているようだ。高い家賃が払えず家を追い出されたホームレスが増えているという。
 家賃が高騰したのは住宅を求める需要が急激に高まったからだ。その原因は大量に米国内に入り込んだ難民にある。彼らは大勢で一軒家をシェアし、シェアした家賃を支払うために低賃金の仕事を米国民から奪った。

 日本のマスメディアは米国の労働賃金が良いから米国で働こう、と若者たちを使嗾しているが、そうした物価高についてあまり報道しない。高い労働賃金以上に米国ではよく多くの生活費が必要だ、という現実を日本国民の多くは知らない。
 米国民は貧困化している米国に恐怖している。貧困化だけではない、治安の南米化をも恐怖している。古き良き米国は姿を消して、治安の悪さが雑然とした街を支配している。これが世界の覇権国家の現実なのかと、米国民は愕然としている。

 引用記事によると「18~29歳の有権者は経済を最大の懸案事項に挙げる傾向が高く、その率は高齢者の2倍を超えている。すべての有権者が前回の大統領選の時よりも経済を憂慮しているが、悲観論は30歳未満で最も増加している」という。
 現実問題として、親にパラサイトする若者が増加しているのも社会的な大問題だ。なぜならパラサイトしていては社会人として充分な訓練ができないからだ。かつて米国の教育の主眼は独立心の涵養にあった。いかにして子供は成人して親から独立するのか、が主要テーマだった。しかし現在の米国では異なるようだ。

 トランプ氏がなぜ人気があるのか。それは古き良き米国を取戻そうとしているからだろう。「米国ファースト」を掲げ「Make America Great Agein」を掲げるトランプ氏を支持しない理由はない。これからますます中国によるデフレ輸出の脅威が高まる。それは中国による失業の輸出だ。トランプ氏は対中60%の貿易関税を提唱している。それだけではなく、トランプ氏が登場すれば再び対中デカップリング策が推進されるだろう。米国と米国民にとってバイデン政権とトランプ政権のいずれが良いか、結論は明らかだ。



<私事ながら>
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