ブリゴシン氏に見る人類の愚かさ。

<ウクライナ東部におけるロシアの攻勢で使い捨ての歩兵となっているワグネルの戦闘員。だが、CNNが入手したウクライナ軍の諜報(ちょうほう)文書からは、バフムート周辺のワグネルがいかに効果的な部隊かが浮かび上がる。そして、彼らを相手に戦うのがいかに難しいかも――。

  ワグネルはオリガルヒ(新興財閥)のエフゲニー・プリゴジン氏が経営する民間軍事会社だ。プリゴジン氏はこのところ前線で非常に目立つ存在となっており、ロシア軍が前進すればすかさず、自らの功績だと主張する。ワグネルの戦闘員はバフムートの北東数キロにあるソレダルや周辺地域の奪取作戦に深く関与した。 ウクライナ軍の報告書は昨年12月のもので、ワグネルが近接戦闘で類を見ない脅威になっていると結論。死傷者数は膨大だが、「ワグネルの兵士が何千人死亡しようとロシア社会には関係ない」と指摘している。
「突撃部隊は命令なしでは退却しない。無許可でチームを退却させたり、負傷せずに撤退したりすれば、その場で処刑されうる」 ウクライナの情報筋が入手してCNNと共有した電話の傍受記録からも、戦場での情け容赦ない姿勢が浮かび上がる。傍受記録の一つでは、兵士の一人がウクライナ側に投降しようとした別の兵士について言及する声が聞こえる。 
「ワグネルの関係者は彼を捕まえ、局部を切り取った」と、この兵士は語っている。 CNNは昨年11月のものとされる当該の電話について独自に真偽を確認できていない。 負傷したワグネルの戦闘員は戦場に何時間も放置される場合が多い。
「突撃歩兵は自分たちで負傷者を戦場から運び出すことを許されていない。彼らの主任務は目標達成まで突撃を続けることだからだ。突撃が失敗しても、撤退は夜にしか許されない」 冷酷なまでに犠牲に無関心なワグネルだが、ウクライナの分析はワグネルの戦術について、
「ろくに訓練を受けていない動員兵にとって効果的な唯一の戦術だ。ロシアの地上部隊はそうした動員兵が多数を占める」との見方を示す。
  ロシア軍が戦術を修正してワグネル化を図っている可能性もあり、「ロシア軍の従来の大隊戦術グループに代わり、突撃部隊が提案されている」という。 そうなれば、伝統的により大規模な機械化部隊に頼ってきたロシアにとって大きな変化になる。

ワグネルの戦い方

 ウクライナの報告書によると、ワグネルは十数人以下の機動部隊で戦力を展開。ロケット推進擲(てき)弾(RPG)や、無人機からリアルタイムで届く情報を活用している。 このほか、ワグネルの兵士は米モトローラ製の通信機器も使用しているとされる。 モトローラはCNNに対し、ロシアへの販売はすべて停止しており、ロシアでの事業も閉鎖したと述べた。 
 ワグネルによって数万人規模で採用された囚人たちは多くの場合、攻撃の第1波を担う。最も大きな損害を被るのは彼らで、ウクライナの当局者によると、損耗率は8割に上る。 
 その後、熱線映像装置や暗視装置を装着した経験豊富な兵士たちが続く。 ウクライナ軍の側でも、塹壕(ざんごう)に擲弾攻撃が浴びせられる事態を防ぐため、ドローンの情報が不可欠になる。今回の文書には、ドローンが前進するワグネルの部隊を発見したおかげで、RPGの発射前に守備隊による排除に成功した例が記されている。 ワグネルの兵士は陣地の奪取に成功すると、火砲の支援を受けながら蛸壺(たこつぼ)を掘り、獲得した陣地を固める。ただ、こうした蛸壺は開けた場所での攻撃に対してぜい弱だ。そしてウクライナの傍受によると、ここでもワグネルとロシア軍の調整不足が目立つ。真偽の確認はやはり不可能だが、傍受されたある電話では兵士が父親に、所属部隊が誤ってワグネルの車両を破壊したと語っている。
  プリゴジン氏はロシア軍にとって数カ月ぶりの戦果となったソレダルや周辺集落の制圧をめぐり、ワグネルの戦闘員の功績だと繰り返し強調。「ワグネル以外の部隊はソレダルへの攻撃に関わっていない」と主張する。 ワグネルの戦いぶり次第で、プリゴジン氏はより多くのリソースを確保する道が開け、ロシア軍の既得権益層との争いに利用できるようになる。プリゴジン氏は軍の既得権益層の無能さと腐敗を批判する場面が多い。 ロシア国防省がさえない戦いぶりを続ける限り、プリゴジン氏は彼らにかみつき、ワグネルへのリソースを増やすよう要求するだろう。 
 ワグネルが兵器を獲得する手段は他にもあるとみられる。米当局者は先週、ワグネルが北朝鮮から兵器を調達していると指摘。米国家安全保障会議(NSC)のカービー報道官は「先月、北朝鮮がワグネルの使う歩兵用のロケットとミサイルをロシアに輸送した」と明らかにした。

新たなラスプーチン?

 プリゴジン氏は野心に事欠かない。先週ソレダル入りした際には、ワグネルはおそらく「現在の世界で最も経験豊富な軍隊だ」と豪語した。 プリゴジン氏は、ワグネルが既に多連装ロケットシステムや自前の防空システム、火砲を手にしていると主張する。 また、ワグネルとトップダウン式の硬直したロシア軍をそれとなく比較し、「現場の全員の意見が尊重されている。指揮官は戦闘員と話し合い、PMC(民間軍事会社)の経営陣は指揮官と話し合っている」とも述べた。
 「ワグネルが前進してきた理由、今後も前進を続ける理由はここにある」(プリゴジン氏)  カーネギー国際平和基金のシニアフェロー、アンドレイ・コレスニコフ氏は2カ月前、プリゴジン氏の拡大する影響力を皇帝ニコライ2世の宮廷におけるグレゴリー・ラスプーチンの影響力になぞらえ、カレントタイムTVの取材に「プーチン氏はなりふり構わず軍事的有効性を求めている」との見方を示した。 「(プリゴジン氏には)悪魔的な負のカリスマがあり、ある意味で、そのカリスマはプーチン氏に匹敵する。いまのプーチン氏はこうした役割、こうした形のプリゴジン氏を必要としている」(コレスニコフ氏) 
 プリゴジン氏自身、ラスプーチンとの比較に興味をそそられているようだ。ラスプーチンはニコライ2世の息子の血友病を治療した神秘的な人物として知られる。ただ、先週末に自身の会社「コンコルド」が公開した発言で、プリゴジン氏はそこに持ち前のひねりを加えてみせた。 「残念ながら、私は出血を止めるわけではない。祖国の敵に血を流させるのが私の仕事だ。それも祈とうではなく、敵との直接接触によって」>(以上「CNN」より引用)




 ワグネルを率いるプリゴジン氏を取り上げたCNNの記事を引用した。これを一読されていかなる感慨を持つか。私は強い嫌悪感と敵対感を抱いた。彼こそは21世紀に存在してはならない人物だ、と。
 ブリゴシン氏がワグネルという傭兵部隊を統率する術は恐怖感と徹底した残虐行為だ。たとえ自軍の兵士であろうと、ブリゴシン氏は容赦しないようだ。突撃戦法を繰り返して兵士が損耗するのも厭わない。彼の突撃命令に服しない者は情け容赦なく殺害する。さもなくば、ワグネルの統率は保てない。

 いや統率などといった高尚なものなどワグネルには存在しない。軍隊の体を装っているが、実体は凶暴な本能剥き出しの殺人集団でしかない。こんな殺人集団を戦場に送ったプーチンの戦争犯罪は底知れない。もちろんブリゴシン氏及び彼の将校たちも裁かれるべきだ。それが戦争法なのか、単にウクライナの国内法に於ける集団強盗・殺人罪として裁かれるのかは問わないが。
 いずれにしても突撃の第一波に志願した囚人を使い、約四万人いたという囚人兵士たちは既に三万人が損耗したという。半年の軍務に従事すれば服役していた罪は帳消しにする、という約束は実行されることなく、囚人たちは戦場に屍を晒すだろう。

 しかしウクライナ軍にとっては脅威だ。命を捨てた凶暴な囚人たちが襲い掛かるのだから、堪ったものではない。そこで活躍するのがドローンと戦車だろう。突撃して来るワグネルの突撃隊の位置を把握して、戦車で砲弾を雨を降らして殲滅するしか陣地を防御する方法はない。
 支援により300両を超える西側諸国からの戦車が大活躍するだろう。ロシア軍およびブリゴシン氏は戦法を再考する必要に迫られるだろう。残り一万人の囚人たちも失えば、傭兵たちもさすがに動揺するに違いない。これまでは前線から逃亡する囚人たちを銃撃していたが、今度は自分たちが突撃の第一波を担わされ、背後から銃口を向けられる役回りになる。彼らにとって恐怖以外の何ものでもない。

 かつて中国戦線で戦った亡父が時々述懐していたが「銃剣装填」という号令がかかると、塹壕の中にいる兵士たちの顔が一斉に青ざめるという。歩兵銃に銃剣を装填することは突撃を意味する。突撃とは敵弾の中に身を躍らせて敵陣目掛けて走り込むことだ。
 これほど無残な戦法はない。それを日本陸軍は飽くことなく繰り返した。203高地でも中国戦線でも、そして南方戦線でも。それをブリゴシン氏はワグネルの兵士たちで再現している。人類は先の対戦で大きな犠牲を払ったが、少しも進歩していないようだ。それは戦勝国の罪を問わなかった片寄った戦争裁判に起因しているのかも知れない。そして戦勝国は未だに国連で大きな顔をしている。ただただ多くの兵士たちを殺害する戦法に長けていたに過ぎないだけなのに。

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