幽霊の 正体見たり 枯れ尾花

<やっぱり看板倒れの気配だ。岸田首相がブチ上げた「異次元の少子化対策」の目玉は、児童手当の拡充。子育て世代への支援拡大でイイ顔しようとしているが、そう簡単に少子化に歯止めがかかるわけがない。諸外国の対策に比べても、「異次元」とはほど遠い。人気取りにもなりゃしない。
 ◇  ◇  ◇ 
 児童手当は現在、中学生までの子ども1人当たり月1万~1万5000円。政府は今後、増額や所得制限の見直しを検討する方針だが、肝心の財源論は4月の統一地方選後に先送りした。  人口問題に詳しい日本総研上席主任研究員の藤波匠氏がこう指摘する。 
「支援拡充などの方向性は良いと思いますが、それと並行して若い世代の経済状況も改善する必要があります。40代の大卒社員の実質年収は、10歳上の世代に比べて今は約150万円少ない。奨学金を借りた学生は、社会に出た段階ですでに借金を抱えている状態であり、高等教育費用をどうするのかも重要な課題です。学費無償化や奨学金の給付枠を増やさない限り、教育費用問題は子どもを持たないという諦めにもつながります」 
 少子化は、「合計特殊出生率が約2.1を下回る状態」と定義されている。OECD(経済協力開発機構)加盟38カ国のうち、出生率2.1を上回っている国はイスラエルのみ。出生率2.08と、ギリ少子化のメキシコを除けば、残り36カ国は子どもが減る問題に直面している。出生率1.33の日本はワースト4位だ。 
 世界の中でも超少子化社会の日本なら、なおさら諸外国以上に大胆な政策が求められる。しかし、先進事例に目を向けると、本気で取り組むハードルの高さは半端じゃない。

ハンガリーは「GDP比5%」を投下
 右派政権のハンガリー政府は「国家が家族を守る」とうたい、少子化対策にGDP比5%の予算を投入。その規模は2020年のGDPベースで、約77.3億ドル(約1兆円)に上る。19年からは出産を控えた夫婦を対象に、最大1000万フオリント(約360万円)を金融機関から無利子で借りることができ、3人目の子どもが生まれたら返済不要とする「出産ローン」を実施。11年に1.23だった出生率は18年に1.55まで上昇した。 
 ハンガリーはGDP比5%の国費を投下する大胆な対策によって出生率が上向いたが、手厚い政策でも改善しない国もある。その一例が、アーダーン首相の突然の辞意表明に揺れるニュージーランドだ。 
 アーダーン政権は有給の育児休暇を18週間から26週間に延長。新生児を育てる世帯に週65NZドル(約5500円)を支給するなど、政権が発足した17年以降、子どものいる10.9万世帯の収入が平均で週175NZドル(約1万5000円)増えた。ところが、現実は厳しい。手厚い子育て政策にもかかわらず、出生率は20年に過去最低の1.61を記録した。 
「保育サービスの充実などに注力してきたドイツでは、12~16年に出生数が増えたものの、17年から出生率が減少に転じました。子育て関連の政策効果が時間を経るにつれて薄まっていったと考えられます。少子化対策は思い切った取り組みを打ち出して終わりではなく、持続性も求められるのです」(藤波匠氏) 
 岸田首相の打ち出す対策が、「異次元」のショボさになること必至だ>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)




 岸田氏は「異次元」というフレーズが好きなようだ。何かにつけて「異次元」と大騒ぎする。その中で本当に異次元だったのは防衛費二倍増だけだった。
 しかし国民生活は異次元の物価高に直撃されている。ことに電気代の異次元値上げは可処分所得を確実に削減している。既に消費増税数%分に相当するだろう。

 少子化対策が児童手当の増額を「異次元対策」だという。彼は国語力を鍛えなおした方が良い。なぜなら児童手当の増額は「異次元対策」ではなく、従前の対策を増額したに過ぎないからだ。
 異次元だというのなら、高校卒業まで給食費を含めた学校費用を無料にするとか、医療費を無料にするとか、という対策ではないか。だが、少子化の根本的な対策は国民所得を増やすことだ。つまり、それはGDPの増加策であり、経済成長策だ。

 経済成長する社会はすべての問題を解消する。経済成長すれば年金支給額も増額するし、税収も自然に増える。しかも対GDP国債残高も確実に減少する。
 もちろん防衛費増額もGDP2%を導入するまでもなく、GDPが2倍になれば防衛費43兆円を政府予算から捻出するのに問題は何もない。従前のGDP1%の枠内で防衛費を賄えるわけだから、国民に増税を課す必要がないのは云うまでもない。

 岸田氏が総裁選に立候補した際「所得倍増計画」を掲げていた。当然ながら経済成長策に舵を切るものと期待した。経済成長なしに「所得倍増」など不可能だからだ。そのためにはデフレギャップを埋めるのが政策の最優先課題となるのは必然だ。
 しかし総裁になるや岸田氏は「所得倍増計画」を引っ込めて、「資産倍増」を口にしはじめた。所得倍増と資産倍増とは大違いだ。つまり貧困を止める経済成長策ではなく、富裕層を優遇するデフレ経済の持続を口にし始めたのだから唖然とするしかない。岸田氏は経済の根本的な論理すら理解していない「異次元」の経済音痴・政治家だ。まさに「幽霊の 正体見たり 枯れ尾花」である。なんのことはない、岸田氏も自公政権にゴマンといる伝統的な「ザイム真理教」の信徒でしかなかった。

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