道に迷ったら、迷った地点に戻るのがセオリーだ。
<日本維新の会の鈴木宗男参院議員は13日、札幌市で講演し、ロシアのウクライナ侵攻に関して力による主権侵害や領土拡張は断じて認められないとした上で、「原因をつくった側にも責任がある」と述べ、ウクライナの対応を批判した。
鈴木氏は「先に手を出した者が悪いというのが道理だ」と指摘。同時に「(侵攻前に)話し合いを断ったのはウクライナのゼレンスキー大統領だ」と主張した。攻撃が迫っていると事前に繰り返し警告を発したバイデン米大統領についても、ロシアに対する「挑発」になったとの認識を示した。
また、「日本には国益の問題として北方領土や平和条約交渉の問題がある。米英と立ち位置が違う」と述べ、欧米に足並みをそろえて制裁に踏み切った日本政府の対応に疑問を呈した。講演後、記者団に「日本からパイプを閉ざした感じだ」と語った>(以上「時事通信」より引用)
また、「日本には国益の問題として北方領土や平和条約交渉の問題がある。米英と立ち位置が違う」と述べ、欧米に足並みをそろえて制裁に踏み切った日本政府の対応に疑問を呈した。講演後、記者団に「日本からパイプを閉ざした感じだ」と語った>(以上「時事通信」より引用)
日本維新の会の鈴木宗男参院議員の云っている意味が分からない。引用記事によると「ロシアのウクライナ侵攻に関して力による主権侵害や領土拡張は断じて認められないとした上で、「原因をつくった側にも責任がある」と述べ」たというのだ。
もとより鈴木氏は親露派といわれている。北方領土に入植しているロシア人に「人道的支援」を国民の税金で行ったことはことに有名だ。北方領土で暮らすのが困難なら、さっさとロシア本国へ引き上げれば良いだけではないか。なぜ鈴木氏は北方領土に入植したロシア人を支援したのだろうか。
ウクライナに軍事侵攻したロシアは明白な侵略者だ。アパートや病院といった民間施設に砲撃を加えてウクライナ国民を蹴散らし、侵略した側のみならず「侵略された側も悪い」のではないかとは、いかなる見解だろうか。それとも鈴木氏は「喧嘩両成敗」だとでもいうのだろうか。
国境を挟んでミサイルを撃ち合っているのなら、鈴木氏の論理も成り立つかも知れない。しかしウクライナ領内にロシア軍が進軍して手当たり次第に砲撃を加えているのは明らかだ。さらにはプーチン氏は核使用までチラツカセている。こんな危険人物がロシアの大統領であることに危機感を覚えない鈴木氏は本当に政治家なのだろうか。
政治は国家と国民のためにある。鈴木氏の政治家としての職責は鈴木氏本人のためにあるのではなく、もちろんロシアのためにあるのでもない。日本の国家と国民のためにある。
日本にとって国境を接するロシアの侵略戦争は本土防衛に直接かかわる危機だ。遠い欧州での出来事で済ます事はできない。
記事によると鈴木氏は「「(侵攻前に)話し合いを断ったのはウクライナのゼレンスキー大統領だ」と主張した」という。いかなる話し合いをゼレンスキー大統領が断ったのか、その内容まで紹介しなければゼレンスキー氏を批判することは出来ないだろう。
プーチン氏がゼレンスキー氏に要求したのはウクライナの「非武装・中立」だ。しかしプーチン氏は2014年にクリミア半島を軍事力で有無を言わさずウクライナから奪っている。そんな軍事力で国家を簒奪する泥棒国家の「非武装・中立」要求にウクライナ大統領として応じられないのは誰が考えても当たり前ではないか。
また鈴木氏は「日本には国益の問題として北方領土や平和条約交渉の問題がある。米英と立ち位置が違う」と述べたというが、何を考えているのか意味が分からない。終戦直後に自分たちがポツダムで談合した終戦条件を日本政府が受諾して無条件武装解除したにもかかわらず、ロシア(当時は「ソ連」だが)軍はポツダム宣言を無視して終戦直後の北方領土を侵略した。
ソ連はポツダム宣言に参加していないから占領は侵略ではない、という理屈らしいが、その理屈で日本の独立を約したサンフランシスコ条約にもソ連は参加していない。だから未だにロシアとは平和条約は締結されていない。
鈴木氏の指摘する「「日本には国益の問題として北方領土や平和条約交渉の問題がある」というのは別の問題ではなく、ソ連が無視したポツダム宣言にソ連が従うことから交渉が始まらなければならないのは明らかではないか。平和条約を締結できないのはロシアがポツダム宣言を勝手に無視して終戦直後の日本領に攻め込んだ非を認めないための方便でしかない。
ポツダムで日本の終戦後を話し合った「戦勝国」メンバーとしてソ連からスターリンが出席している。日本がポツダム宣言を受諾すれば戦争は終結する、という理屈も承知した上でポツダム宣言の署名国にソ連は参加しないかった。そのボタンを敢えて掛け違えたソ連の非を改めなければ話し合いは進まない。道に迷ったら、迷った地点に戻るのがセオリーではないか。鈴木氏は道に迷った場合のセオリーくらいは理解できるはずだ。「無理が通れば道理が引っ込む」という真理も、鈴木氏は理解すべきではないか。