中野東図書館の建設意図を問う。
<来年2月1日に開館予定の中野東図書館の公式ツイッターが炎上している。
問題となっているのは、公式ツイッターが7日に投稿したツイート。「7階の天井から9階にかけて吹き抜けになった場所に、高い高い本棚があります」とつづられたもので、一緒に投稿された写真には、3階分もの高さがある壁一面を覆うほど巨大な木製の本棚が写されていた。
しかし、この投稿にネット上からは「本は飾るものじゃない」「税金使って作る図書館でやることじゃない」「地震が怖い。落ちてきそう」「図書館にこの本棚って、何がしたいの?」「読みたい本が取れない本棚がなんで必要なの?」といった批判が殺到する事態に。
本棚に置かれるであろう本のほとんどに利用者の手が届かないこと、本の落下を防止するための棒が設置されているものの、大きな地震に耐えられるのかどうかが、ネットユーザーの不安を煽っているようだ。
とは言え、こうした巨大本棚はここ最近の図書館によくあるもの。2020年7月に開館した、建築家の安藤忠雄氏が設計した「こども本の森 中之島」も、地面から天井までの壁一面が本棚となっている。また、同年11月にオープンした、隈研吾氏デザインの角川武蔵野ミュージアムにも、高さ8メートルの巨大本棚がある。
それだけに、ネット上からは「ここ最近の流行りなんじゃない?」「飾り棚があってもいいと思うけど」「こういう棚は何もここに限ったものじゃない」という批判に対する疑問の声も集まっていた。
果たして、この巨大本棚にはどのような本が置かれることになるのだろうか――>(以上「リアルライブ」より引用)
問題となっているのは、公式ツイッターが7日に投稿したツイート。「7階の天井から9階にかけて吹き抜けになった場所に、高い高い本棚があります」とつづられたもので、一緒に投稿された写真には、3階分もの高さがある壁一面を覆うほど巨大な木製の本棚が写されていた。
しかし、この投稿にネット上からは「本は飾るものじゃない」「税金使って作る図書館でやることじゃない」「地震が怖い。落ちてきそう」「図書館にこの本棚って、何がしたいの?」「読みたい本が取れない本棚がなんで必要なの?」といった批判が殺到する事態に。
本棚に置かれるであろう本のほとんどに利用者の手が届かないこと、本の落下を防止するための棒が設置されているものの、大きな地震に耐えられるのかどうかが、ネットユーザーの不安を煽っているようだ。
とは言え、こうした巨大本棚はここ最近の図書館によくあるもの。2020年7月に開館した、建築家の安藤忠雄氏が設計した「こども本の森 中之島」も、地面から天井までの壁一面が本棚となっている。また、同年11月にオープンした、隈研吾氏デザインの角川武蔵野ミュージアムにも、高さ8メートルの巨大本棚がある。
それだけに、ネット上からは「ここ最近の流行りなんじゃない?」「飾り棚があってもいいと思うけど」「こういう棚は何もここに限ったものじゃない」という批判に対する疑問の声も集まっていた。
果たして、この巨大本棚にはどのような本が置かれることになるのだろうか――>(以上「リアルライブ」より引用)
リアルライブに掲載された建設中の図書館の書架を移した写真を見て思い出した。それは全国に何ヶ所かあるツタヤ図書館だ。
私の暮らす周南市にも駅前ツタヤ図書館がある。床から吹き抜けの天井までの壁一面に書架が造られ(正確に言えば「書架らしき物」)、下段には書物が陳列されているが、手の届かない上段には書物が並べられた壁紙が張られている。ただ遠目には床から七mもある天井まで革張り背表紙の重厚な「洋書」が並べられているように見える。
それを誘致した市当局は「知の空間」と銘打って悦に入っていた。しかも周南市唯一のスターバックスをツタヤ図書館に併設して、ワイワイ賑やかな「知の空間」は市民から高評価だという。
周南市には他に5か所の従来通りの図書館があり、地域の古文書や地域由来の書物を収集してバックヤードも充実しているが、それらの人件費も含めたすべての経費の総計が年間2億円ほどなのに対して、徳山駅前ツタヤ図書館の「指定管理費」は年間1億5千万円だ。
かつてツタヤ図書館に関しては様々な議論がネット上でもなされたため、多くの読者は先刻承知だろうから再論しない。しかしバックヤードを持たない図書館は「貸本屋」でしかない。ましてや「知の空間」でもない。
中野東図書館の床から天井まで達する書架に書物を詰め込んだなら、地震時には来館者の頭上から本が降り注ぐことになる。もしも倒れたなら大災害になることも予想される。手の届かない書架にはそれらしき壁紙を張るか、ツタヤ図書館に倣って空のブック・ケースを並べる方が良いだろう。
実質よりも意匠を凝らすのを歓迎する現代の風潮も極まった感がある。見栄えが良ければO.Kというのでは、飛んだ「知の空間」だ。空調管理した書庫に保存する必要のない書物しか中野東図書館には陳列しないのだろうか。
司書がいて図書の適切な管理と図書運営を「中野東図書館建設検討委員会」で検討したのだろうか。それとも、そうした検討委員会は一切設置せず、見栄え優先の今風のデザイナーに丸投げしたのだろうか。かつて徳山駅前のツタヤ図書館設置の是非を問う住民投票条例の制定を求める署名活動を主導した者として、現代の風潮を嘆かざるを得ない。