正気を取り戻したEU。

<中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は21日の記者会見で、欧州連合(EU)と中国が合意した投資協定の批准手続きの凍結を明記する決議を欧州議会が採択したことに対し「責任は中国側にはなく、EU側が真剣に反省することを望む」と反発した。

 趙氏は「EUは中国内政への干渉を直ちに停止すべきだ」と強調。その上で、投資協定について「バランスがとれていて、互いに利益がある」と述べた。経済的なメリットを強調し、EU側に措置について再考するよう求めた形だ>(以上「産経新聞」より引用)




 短い記事だが、内容は重要だ。欧州連合(EU)・中国の投資協定は7年も前から協議して来た歴史がある。その投資協定が妥結したのが昨年12月だ。後はEUと中国が批准手続きをするだけになっていた。その批准手続きをEU側が「投資協定の批准手続きの凍結を明記する決議を欧州議会が採択した」。
 昨年12月の最終交渉で、中国は妥結に向けて大幅譲歩した。もちろん中国は米国による対中制裁と対中包囲網を打破するために、EUとの関係を深めて反対に米国を孤立させようとした策略でもあるが、他に妥結を急いだ大きな原因はドイツのメリケル氏が今年の秋で首相を退くからだ。EU諸国で最も中国と親しい関係にあって、対中投資に積極的な政策を展開したのもドイツだった。結果としてドイツ銀行は中国と運命を共にするほどの肩の入れようだし、ドイツが誇る自動車産業も中国に軸足を移している。

 ドイツ自動車産業連合会(VDA)によると中国市場でドイツ自動車メーカー(フォルクスワーゲン、アウディ、BMW、ダイムラー)が占める販売割合は2010年の17.5%から2020年24.4%に拡大した。また、上記4社が中国で生産した乗用車は2020年に合計480万台に上り、同4社の全世界での合計生産台数の36%を占めた。VWの主力工場は人権侵害で知られた新疆地域にある。
 ドイツは中国経済圏に完全に取り込まれているといえるだろう。もはや抜け出すのは困難ではないかとさえ思える。だからメリケル氏がEU諸国を説得して、対中投資協定を取り纏めた経緯があった。

 しかし習近平氏の「戦狼外交」による東欧諸国に対する「恫喝」がEUの主要国に冷や水を浴びせた。西欧諸国の金儲け至上主義の企業経営者や投資家たちの後押しで対中投資協定を取り纏めて来たが、西欧諸国首脳が中共政府の中国に反発した。
 昨年九月1日、台湾訪問中のチェコのビストルチル上院議長が台北市の立法院(国会に相当)で約45分間演説して台湾の民主主義をたたえた上で「私は台湾人」と強調した演説がEU諸国を対中傾斜から自由と民主の価値観の「連帯」意識を取り戻すターニングポイントになった。

 中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は21日の記者会見で「EUは中国内政への干渉を直ちに停止すべきだ」、「(投資協定は)バランスがとれていて、互いに利益がある」と叫んだが、それまで彼はいかに口汚く西側諸国を罵っていたか忘れたのだろうか。
 中国関係を最も支援し推進して来た東独出身のメリケル首相も退任へ向けて国内外の影響力を暫時失うだろう。中共政府は四面楚歌に陥った。唯一中共政府の味方をしているロシアもいつ反転攻撃して来るか分からない国だ。

 中共政府の中国は世界で孤立した。ウィグル人やチベット人、さらにはモンゴル人に対して行って来た「民族抹殺」政策は米国の前大統領トランプ氏によって「ジェノサイト」と認定された。その言葉の響きは欧州人にとって特別だ。「ジェノサイト」により、彼らはアウシュビッツを瞬時に思い出し、記憶から消し去りたいヒトラーの面影がフラッシュバックした。もはや中共政府の中国とEUが投資協定を批准することは決してないだろう。
 ひるがえって、日本政府はどうするつもりだろうか。中国主導の経済圏ともいうべきRCEPを批准してしまった。経済圏が重なるTPPも批准している。気でも狂ったのか、と思わざるを得ない。そこにはいかなる思想信条も存在しない、ただただ金儲け至上主義が剥き出しになっているだけだ。そして広域「経済圏構想」の二重の批准により、日本の食糧安全保障は根底から破壊された。安倍-菅と続く自公政権は日本と日本国民を財界・経済界の食い物にしてしまった。彼らの金儲けのために食糧安全保障を放棄してしまった代償が高くつくことを悟る事態に陥った時は、既に「時遅し」だということがなぜ解らないのだろうか。

 トランプ氏は「米国ファースト」を掲げてTPPから離脱した。それにより、米国がいかなる不利益を被ったというのか。「米国ファースト」とは米国民のための米国政治を取り戻す、ということだった。関税自主権を堅持することにより、米国の労働者を国際労働市場の賃金競争に引きずり込まず、国内雇用の確保を実現した。トランプ氏の四年間を日米主要マスメディアは「悪夢」と称しているが、「悪夢」なのは世論操作の偏向報道を持続させている日米主要マスメディアの方ではないだろうか。
 中共政府が行っている極端な人権侵害は中国民に対する政策でしかない。「ウィグル人やチベット人よりはマシだ」と思わせる「下層民」を作る政策だ。まさしく国民総奴隷化政策と呼ぶべきではないか。そうした非人道的な中共政府に加担してまで金を儲けたいと、日本国内の親中派諸氏は考えているのだろうか。

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