シロウト解説者を集めるテレビの報道番組はナンだ。

<「神奈川」 既報、(株)則武地所(資本金500万円、相模原市中央区相模原2-11-27、代表佐野由美子氏、従業員12名)は、5月19日に横浜地裁より破産手続き開始決定を受けた。
 破産管財人は増田尚弁護士(川崎市幸区堀川町580、多摩川法律事務所、電話044-540-1521)。

 当社は、2000年(平成12年)7月創業、2011年(平成23年)12月に法人改組された。賃貸用木造共同住宅の建築を中心として、主にワンルーム用の3階建て共同住宅の建築を手がけるほか、一般戸建住宅の建築も請け負っていた。本社のある相模原市と周辺地域を営業エリアとして事業を展開し、民間元請受注を中心に一般個人や近隣企業を主な顧客としていた。

 主力事業とする3階建て共同住宅は、1室当たりの建築単価が一般的な2階建て共同住宅を扱う同業他社と比べて低単価に抑え、投資効率が高い物件として個人地主から直接受注を獲得、近年ピークとなる2017年4月期の年売上高は約20億5100万円を計上していた。

 しかし不動産部門の販売低迷に加え、建築工事部門も元請工事の完工数が減少基調で推移。2019年4月期の年売上高は約14億1100万円にとどまったうえ、翌2020年4月期も業況は改善せず、年売上高は約9億7800万円に急減していた。この間、資金繰りの悪化から複数の取引先に対する支払い遅延が相次ぐなか、2021年4月に東京都八王子市の賃貸アパートで、外階段が崩落して住人女性が転落死する事故が発生。5月2日、業務上過失致死容疑でアパートを施工した当社および関係先の家宅捜索を警視庁から受けるなか、ここに来て事業継続を断念し、5月13日に自己破産を申請していた。

 負債は債権者約120名に対し約6億円。

 なお、(株)則武地所・代表取締役名で5月20日、今回の破産手続き開始決定についてメディア向けに下記コメントを出している。

 「あらためて、当社の施工物件において、死亡事故が発生したことについて、大変申しわけなく、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げ、ご遺族に対し心よりお悔やみ申し上げます。

 また当社を信頼して施工をお任せ頂きました皆様など、関係者の方々の信頼を裏切ることとなり、心より深くお詫びを申し上げます。

 事件が報道された後、契約の解除も発生し、また今後の契約受注の見込みもないことから、会社経営を続けることができず自己破産申立に至りましたが、今後は、破産手続きについて破産管財人と協力し法的手続きに則り、適正に破産手続きを進めていく所存です。
 また、上記事故における事故原因・責任の究明につきましては、現代表者就任以前の施工物件のため不明点もありますが、今後の警察の捜査に全面的に協力してまいります。」>(以上「帝国データバンク」より引用)




 偶々点けていたテレビの報道番組が則武地所の「問題」を解説していた。ただし、登場していた人物が元アイドルや天気予報士や政治解説大学教授といった面々で、とても建築関係の碩学に裏打ちされた解説は望めない、と思って聞いた。
 テレビ解説は主として則武地所が破産申請したため、階段から転落した被害者や則武地所に建築依頼した施主たちに対する「補償」がどうなるのか、という話題に集中していた。そして結論として「善意を以て施行会社は建築し、補償問題にもしかしに対処すべきだ」と、解決策の一つとして示さないまま、その話題を終えた。

 これがテレビの報道番組か、と落胆したが、最も責められるべきは行政ではないか。建築基準法で10㎡を超える家屋を建築する場合は建築基準法に基づく設計をなし、建築申請をして許可を得なければならない、とされている。
 もちろん建築基準法には「中間検査」や「完成検査」を受ける、とある。しかし現在は「中間検査」はもちろん「完成検査」も実施されているとは寡聞にして知らない。それこそ行政の怠慢ではないか。

 しかし、そこには行政の言い分もある。なぜなら「構造改革」が叫ばれ、公務員報酬の削減が叫ばれた当時から、公務員の仕事の「外注化」が盛んに行われた。建築確認も外注化され、全国の地方自治体で民間企業に建築申請を外注委託しているケースが殆どだ。
 アパート階段の崩落事故でご婦人が死亡した八王子市も建築確認は民間企業が請け負っている。彼らは「中間検査」も「完成検査」を実施していなかったのではないだろうか。実施していれば外階段の踊場との取り付け部分が「木製」というあり得ないことを見逃すはずがない。

 国も地方もタガが外れているのではないか、と思わせられる事件が多発している。昨日ブログで指摘した自衛隊発注のワクチン予約システムなども好い加減な仕事の最たるものだ。民間システム設計企業でそうした欠陥システムを検査もなく納入することなどあり得ない。
 そして自治体の予約システムとシステム化して二重登録など自動的にはじく等のセキュリティを組み込むのが常識だ。そうしたシステマティックなシステム設計を集団予約システム設計の時点で誰も考えなかったのだろうか。タガが緩んでいるといわざるを得ない。

 テレビの報道番組でシロウトを集めてガヤガヤと時間を潰せば良い、という制作態度は改めるべきだ。本当に国民のためになる報道番組を目指すべきだ。
 そして則武地所が破産したとしても、補償資金のために開業当時に国に供託金を積んでいるはずだ。そうした建築や不動産業者として法に定められた「補償制度」があることも、テレビ解説者は国民に告知する義務があるのではないか。

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