「未富先老」に苦しめられる習近平氏。

<中国の習近平政権は全国人民代表大会で6%以上の経済成長目標を掲げ、2035年までに経済の実力や総合国力を飛躍的に高めると宣言した。超大国化へ自信満々だが、国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、約40年の冷戦の末に旧ソ連が瓦解(がかい)したように、中国経済も綻(ほころ)びが隠せなくなっていると指摘。投資家は日本に注目しているという。

「中国崩壊論」というのはかなり以前からあって、筆者も2008年に『韓国企業はなぜ中国から夜逃げするのか』(講談社)という本を出版している。

 中国擁護論者は「それ見たことか。いまだに中国は崩壊しないではないか」と言うが、それは誤った判断であると思う。

 1950年の朝鮮戦争など冷戦時代初期に「共産主義は根本的な原理が間違っているからいずれ崩壊する」と述べたとしよう。それから91年のソ連邦崩壊まで40年以上の年月を必要とした。誤ったシステムでも、強権とごまかしによって、ある程度の期間は維持できるということだ。

 そもそも中国は77年の「文化大革命終結宣言」を行うまでに、西側推計で8000万人もの国民を犠牲にしたとされ、崩壊寸前だった。それを救ったのが、78年からトウ(=登におおざと)小平氏主導で始まった「改革開放」である。彼はまさに「救国の英雄」といえよう。外交的にも西側諸国の信頼を得て、97年の香港返還を実現した。

 ところが、07年あたりから雲行きが怪しくなる。前述の拙著出版前年に、中国の変調を感じた私は、すべての中国株を売り払った。投資の神様、ウォーレン・バフェット氏も同時期に中国石油大手、ペトロチャイナ株を全て売却した。

 私が感じた変調は「改革開放路線の修正」と「共産主義統制経済の復活」である。当時高騰していた原油価格の上昇分を、石油企業がガソリン販売価格に転嫁するのを止めようとしたのが象徴的な出来事だ。

 それから10年以上が経過して、「共産主義統制経済」の復活が著しい。香港弾圧は人権問題であるが、経済問題でもある。華僑を始めとするビジネスマンは共産主義の国とも取引をする。しかし、自らの資産と生命は守りたいから、50年間民主主義が保証される香港は一種の保険だった。

 その香港が共産化されてしまえばチャイナリスクは増大する。毛沢東主席時代をよく知っている華僑らを中心に、中国ビジネスからの離反はさらに進むはずだ。

 追い打ちをかけるのが、民間大手企業への弾圧だ。電子商取引大手、アリババグループ創業者のジャック・マー(馬雲)氏の「失踪」事件では、世間が騒いだせいか、馬氏は約3カ月後にオンライン会議で姿を現した。ほかにも多数の経営者や幹部が失踪したり逮捕されたりしている。苦労して成功しても、命の危険にさらされるのであれば中国経済は衰退するしかない。

 総合的に考えると2008年の北京五輪が実際のピークで、「五輪から10年後に経済危機が襲う」とされるアノマリー(経験則)の通り、18年頃にはかなり危機的状況にあったかもしれないのだ。さらに武漢発の新型コロナウイルスによる損害も甚大だ。「中国はまだまだ成長する」という幻想を世界に広め、世界中から投資資金を集めている「借金大国」が、香港や経営者を弾圧して自らその幻想を崩すのであれば、未来が閉ざされるのも同然だ。

 それに対して、世界中の投資家が見直し始めているのが日本だ。特にその名の通り、動かせない資産である「不動産」にその傾向が著しい。

 不動産サービス大手のジョーンズラングラサールは、20年1~9月の東京圏への商業用不動産投資額が世界首位となったと発表した。海外投資家の比率が38%で、19年の21%を大きく上回ったという。

 バブル崩壊以来、新興国の陰に隠れていた日本だが、中国の成長が「上げ底」で、チャイナリスクも高まる中で、「誠実、堅実、安心、安全」な日本の価値が改めて評価されるのは当然といえよう>(以上「ZAK ZAK」より引用)




 中国経済崩壊論にはウンザリしている、という人も多いだろう。崩壊する崩壊する、と言われ続けても、いまだに「中共経済はデフォルトしていないではないか」という、という批判を浴びて来た。
 しかし自由主義諸国の自由な株式市場からすると、2018年に上海株式市場で起きた中共政府の強権発動による市場介入というべき「特定株式売却の停止措置」など考えられないことだ。そうした措置そのものが株式市場の崩壊、というものだ。

 引用記事で大原浩氏(人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト)が論述しているが「共産主義統制経済」も限界点を超えたようだ。それは鄧小平氏が提唱した「改革開放」運動により外国投資を招き入れて、資本力の乏しい「大国」を経済成長させる戦略から転換され、それにより経済成長路線が終焉したことを現わしている。
 その転換点は2008年の北京オリンピック当時であって、2008年を境に中国経済は衰退期に入っていたという。鄧小平氏は「韜光養晦(とうこうようかい)」(才能を隠して、内に力を蓄える)という中国の外交・安保の方針を掲げていたが、習近平氏は「戦狼外交」を展開して中国経済の衰退を確かなものにした。

 もちろん学歴がすべてではないが、習近平氏は学齢期が「文化大革命」に当たり小学校しか卒業していない。現在は名門精華大学から「名誉学位」を贈呈され、肩書は大卒になっているが、実際に学業を終えたのは小学校までだ。少なくとも習近平氏は思考ロジックの訓練を数学や化学などの勉学を通して行う機会を充分に得ていないと思われる。つまり経済循環や市場経済のあり方を勉強しないまま、習近平氏は国家権力の最高位に就いてしまった。ただ歴史的には正式な学業を積まないで偉人と呼ばれる人物は幾らでもいる。エジソンがそうだったし、田中角栄氏もそうだった。
 しかし習近平氏は中国経済が外国企業に投資による「組み立て産業」として発展した根本的な原理を認識しているのだろうか。確かに表向きは中国の「国民総生産(GDP)」は巨額だが、「国民総生産」から輸入した部品や素材などを差し引いた「国民純生産」を見てないとすれば、中国経済の実力を見誤る。中国経済は現在も大部分で「組み立て産業」で成り立っていて、その「国民純生産」は「組み立て労賃」だけでしかない。そうした中国経済の実態を理解しなければ、中国の実力を見誤る。つまり上記記事で大原浩氏が中国経済を「底上げ経済」だと表現しているが、その「底」を差し引いた中国経済の実態を習近平氏は常に認識しておくべきだった。

 中国では未だに碌な自動車エンジンもジェット・エンジンも製造できない。そればかりでなく、中国製ミサイルの肝心要のチップですら自国で生産できず、すべて輸入に頼っている。さらに何度も書いたことだが、中国が誇る高速鉄道の車両を支える車輪ですら、中国内では製造できない。特殊鋼の部品はすべて日本からの輸入に頼っている。もちろん振動で締まる高速鉄道用の特殊なネジも、すべて日本製だ。
 習近平氏は鄧小平氏が掲げて中国経済を成長させた「韜光養晦」策を放棄した。2022年にも自身が「終身主席」になるのだから、それにふさわしい中国でなければならない、と習近平氏は考えているのだろうか。

 習近平主席は歴代中国王朝の皇帝がそうだったように、中華思想の虜になっているのではないだろうか。だから中共政府の中国は「偉大なる習主席」にふさわしい超大国でなければならないのだろう。だから世界の科学者が検証不可能な「火星着陸」を中国の無人探査機が成功させた、という虚構を大宣伝していたのだろう。しかし無人探査機から送られてきたという映像はNASAが過去に発表した映像をリメイクした合成写真ではないか、と世界の科学者は「火星着陸」は嘘ではないかと囁いている。

 日本のわらべ歌に「かごめ かごめ」がある。その歌詞に「行きは良いよい、帰りは恐い」とあるが、まさしく対中進出は「かごめ かごめ」状態だ。引用記事によると投資家大原浩氏は2007年に中国株をすべて売り払ったという。それは賢明な判断だった。
 現在では中共政府は外貨防衛のために、中国内から外国へ送金するのを極端に制限している。中国に進出した日本企業が利益を上げても、日本へ送金することは困難だ。中国工場が上げた利益を塩漬けにしたままにするか、再投資して循環させるか、あるいは従業員賃金として支払うしかない。それでは中国へ進出した意味がないが、撤退しようとすると工場の機械などをそっくり置いて行け、と当局から命令される。それに抗うことは困難だ。なぜなら中国進出企業は中国企業との合弁企業の形で進出するのが大原則で、日本企業もしくは日本人が持てる株式は発行済み株式の49%までとされているからだ。明日にでも日本人経営者は株主総会で退陣を余儀なくされる仕組みになっている。だから中国進出は「かごめ かごめ」のわらべ歌だ。

 習近平氏は大企業に成長したBATHのIT企業の「国有化」に乗り出している。元々HUAWEIの創始者任正非氏は人民解放軍人だったから、改めて「国有化」する必要はない。しかしアリババは民間人ジャック・マー氏が創設したIT企業だ。日本企業経営者・孫氏の投資などもあって巨大企業に成長し、ジャック・マー氏は現代中国の寵児として持て囃された。
 だが、習近平氏にとって英雄は一人で充分だった。だからジャック・マー氏を拘束してアリババの経営権を取り上げた。「ほかにも多数の経営者や幹部が失踪したり逮捕されたりしている。苦労して成功しても、命の危険にさらされるのであれば中国経済は衰退するしかない」と大原浩氏は中国経済から民間活力が奪われることを指摘している。

 引用記事の冒頭で「中国の習近平政権は全国人民代表大会で6%以上の経済成長目標を掲げ」たとあるが、現在も中国は極端な電力不足に見舞われている。それは火力発電の「石炭」が不足しているからではない。オーストラリア制裁により「石炭」の値段がハネ上がって、電力会社の採算が合わなくなったから計画的に「減産」している。本来なら電力製造コストが上がれば電気料金を引き上げるしかないが、中共政府がそれを許さない。だから「減産」しているというのだ。
 電力不足で節電計画を実施している地域があるという。今年の中国経済成長6%など到底望めない。労働人口8億人の内失業者が2億人もいるといわれる中国のGDPがプラス成長することなどあり得ない。月収1,000元(約1万3千円)以下の国民が6億人いると李克強首相が発表した。ただ資産1億円以上保有する国民も1億人いるといわれる。そんな国家が社会主義だというからお笑いだ。つまり習近平氏が主席を務める社会主義体制は総国民搾取構造社会を維持する「方便」でしかない。

 「未富先老」が中共政府に襲い掛かっている。習近平氏が戦う相手は米国ではなく、国内の「未富先老」で浮き彫りになる社会矛盾ではないだろうか。

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