「アニメが好きなロシア人は親日」か

そもそも、アニメが好きな人が多い国が親日国になるわけではないということはすでに実証されている。世界の中で、日本のアニメファンが最も多い国はどこか。それは中国である。また、日本のアニメが好きな人の比率が最も高い国はどこか。それは韓国である。しかし、両国は親日国だろうか。決してそうではない。
日本のアニメが好きな人という点では、中国は数で、韓国は比率でロシアに勝っている。また日本文化や日本武道に興味のある人の数も、ロシア人より中国人や韓国人のほうが多い。
しかし、それはまったく親日とは関係ないものである。中国と韓国は世界最大級の反日国家である。この自明な事実を、「アニメが好きなロシア人は親日」というデタラメを流している日本人はなぜ無視しているのだろうか。
このように、大衆文化や伝統文化、もしくは日本武道への興味が、当該国の人々を政治的な親日にするわけではない。そのようなケースがあるのは事実だが、実際にはまれであり、そうならない場合がほとんどである。同じように、日本文化に興味がある人が多いという事実は、当該の国を親日国にするわけでもない。甘い幻想を捨てて、厳しい現実を認識することが日本の国益のためになるのではないか、と筆者は考えている。
ロシアにおいては日本が好きな人であっても嫌いな人であっても、昔の「日本が悪かった」ことと、「南クリル諸島に対する不当な領土的野心」を日本の欠点として取り上げている。
歴史に関しては、多少、日露関係史に詳しいロシア人であれば、1855年の下田条約(日露和親条約)でロシアは日露友好のためにそれまでロシア領であった南クリル諸島を善意で日本に譲った、と主張している。
さらに、一部の人は「北海道のアイヌはロシア王朝に朝貢をしており、それはロシア支配を認めていたことを意味する。本来はロシア帝国が北海道を領有するはずだったが、ロシアは日本に配慮して侵攻しなかった」と主張している。それこそがロシアが日本に対して友好的だったことの証しだ、とまで彼らは考えている。そして「ロシア人の寛大さに対して、日本人はロシア皇太子を襲い、だまし討ちで日露戦争を吹っかけた。まったく恩知らずの民族だ」と思っているのだ。
さらに、天皇陛下について「ソ連のスターリン崇拝が批判されるが、日本だって皇帝崇拝があったではないか。現在でも、一部の狂った民族主義者が日本の皇帝を崇拝している」と主張する人もいる(筆者からすれば、日本の国体の奥深さや皇室の尊さに対する理解をロシア人から期待することはもちろんできない。だが、それでも世界最古の王朝と1代限りの独裁者を同列に考えるのは、無知や非礼の極みである)。
だからソ連による対日参戦は、ロシア人からすれば、先述した「ロシアに対する敵対行為への当然な報復」ということだ。したがってロシアは正当に南千島を「取り戻した」のだ、という理屈になる。
以上のことを前提として、現代のロシア人は日本のことをどう考えているのであろうか。その答えはもちろん人によってばらばらである。先述した認識はロシア人のほぼ全員が持っているが、それ以外の面では、考え方は人によって異なる。日本が嫌いなロシア人は「日本人はうそつきで本当のことを言わない」「日本は住居や道が狭くて住みにくい」「職場では人間を家畜扱いしているが、それに抵抗しない日本人にはぴったりの扱いだ」「奴隷根性が強い」など。
しかし、嫌いな人についてどれほど論じても仕方がない。日本のことが嫌いな人は、どの国でも一定数はいるであろう。重要なのは、「日本のことを嫌いじゃない人」である。彼らは、日本の長所とされる面を指摘する。まず「日本人は勤勉だ」「日本は技術が発展している」「文化が奥深い」「インフラが整っており、社会保障が充実しているので住みやすい」などと言う。だから日本に「住みたい」もしくは「住んでみたい」と言うロシア人もいる。
本当に大事なことなので何度も繰り返し言うが、たとえ日本のことが好きなロシア人であっても、「昔の日本は悪かった」「北方領土は一島も返すべきではない」と考えている。それだけではない。たとえ日本が好きなロシア人でも、「今の日本はアメリカに支配されている」と考えている。彼らの頭の中では、アメリカが日本の民族主義者と結託し、存在しない北方領土問題を掻き立て、日露友好を妨害していることになっている。
基本的に、ロシア人の頭の中で友好とは「ロシアへの服従」を意味している。ロシア人は他国のロシアへの服従は当たり前の自然状態だと考えているので、それに反発が起きることを想定していない。したがって、反発が起きたときはそれを「敵対行為」と認識する。ロシア人は、他の民族には独立意思があるということを理解できない。だからこそ、ロシアへの服従に抵抗を示す民族がいることに対して驚くわけである。日本人の皆さんにはなかなか理解できない感覚だろうが、ロシア人はそういう国民である>(以上「東洋経済」より引用)


 基本的に、ロシア人の頭の中で友好とは「ロシアへの服従」を意味している、そうだ。日本人の他国に対する観念とは全く異なる。最後の段落の記述されている内容はロシア理解に必要不可欠だ。
 安倍氏にはそうした観念が皆無だった。だから「親友」のプーチン氏を郷土の湯元温泉の老舗旅館で接待すれば喜んで「北方領土」を返還すると幼児のような単純な頭脳で考えた。そして当時のマスメディアも「北方領土返還近し」と大々的にキャンペーンを張った。その結果は御存知の通りだ。

 もちろん「ムネオハウス」を北方領土にプレゼントした旧・自民党の国会議員も安倍氏並みの頭脳の持ち主だ。良くしてあげれば相手も日本を理解してくれる、と単純なまでの無知蒙昧さで奉仕した。しかもポケットマネーではなく、日本国民の税金を使って。
 まずは日ロ関係の近代史をロシアに正しく理解させなければならない。そのためには日本政府が世界に対してあらゆる機会を通して正しい近・現代史を繰り返し宣伝するしかない。そのための広報費を惜しんではならない。

 馬鹿げたオリンピックの東京開催に熱狂するよりも、日本の近・現代史の宣伝活動費を投じる方が日本の未来に遥かに役立つ。文化などの展示物よりも、世界史を正しく世界諸国に教えるべきだ。
 欧米中心の「歴史観」は先の大戦の戦勝国が書いた歴史に過ぎない。もちろん国連と称する『戦勝国クラブ』が世界平和に役立ってないことは、戦後の歴史が明白に教えている。彼らは何を仕出かしてきたのか、そして現代世界も先の大戦当時の観念と支配構造のままであることを指摘すべきだ。

 常に誰かが誰かを支配し服従させる、という人間関係しか理解できない国民がいるとすれば危険だ。服従しない国は敵国だ、という単純な敵対意識を持つからだ。
 政治を語らない、歴史を語らないオリンピックの開催にどんな意味があるというのか。スポーツしか関心のない外国人が何人来ようと、歪められた日本の理解に役立つものではない。それは上記記事にある通り、日本文化(安倍氏や政府はそのように理解している)アニメがいかに世界的なものになろうと、それで日本に対する理解が是正されると勘違いしてはならない。政治や歴史を語らない、という縛りの中の出来事でしかないからだ。

 なぜ日本は先の大戦で欧米列強の植民地主義と戦った事実を世界に発信しない。多くの日本の先人の命と引き換えに、世界から植民地がなくなったことを、そしてそれで欧米列強が心底から日本と日本国民を憎んでいることを、日本国民も理解すべきだ。
 なぜ日本は不当に貶められているのか。それは結果として、欧米列強から植民地を奪ったからだ。彼らの労せずして自国の富と文化を築き上げる世界に張り巡らした機構と、有色人種を搾取する仕組みを日本が壊したからだ。そのことを日本国民は忘れてはならない。

 そして世界平和のために、現代の日本が果たす役割を日本国民は真摯に考えるべきだ。世界各国は「みんな違って みんな良い」という観念をいつかは持つように、日本政府と国民は努力すべきだ。

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