大嘘をつくな安倍氏、その3。

<安倍政権が進める日ロ平和条約交渉で、ロシア側が日米同盟による脅威などを理由に、1956年の日ソ共同宣言に明記された歯舞群島と色丹島の2島引き渡しの協議入りも拒否していたことが14日分かった。複数の日ロ関係筋が明らかにした。プーチン政権内で領土問題の譲歩による支持率低下の懸念が高まったためという。

 日本側はロシア側に配慮し、北方四島は「日本固有の領土」との従来の主張を封印して2島返還での決着を図ったが、こうした安倍晋三首相の戦略の行き詰まりが明確になった。ロシア主導の交渉が続けば、さらに譲歩を迫られる恐れがある>(以上「共同通信」より引用)


 安倍氏の「やっている感」演出に国民は騙されている。「演出」に一役かっているのは指摘するまでもなくマスメディアだ。安倍氏はプーチン氏と親しい関係だとか、個人的な信頼関係があるだとか、国民はそうしたマスメディアの演出に騙されてきた。
 何のことはない。金融詐欺師が詐欺を働く際に「銀行の会議室」を利用して詐欺を働くようなものだ。日本の首相がモスクワを訪れれば、ロシア当局が持て成すのは安倍氏と密接な関係があるからではない。日本が「援助国」だから、より多くの援助を引き出すためだ。

 北方領土の返還交渉で日本はこれまでいくつかの段階を踏んできた。もちろん1956年の対ソ外交でソ連は歯舞群島及び色丹諸島を「平和条約締結後」に返還することで合意した。
ー東京宣言ー
 それ以後の交渉経緯は1993年10月、細川総理とエリツィン大統領により署名され、領土問題として北方四島の島名を列挙して、その帰属に関する問題と位置づけた。同時に領土問題解決のための交渉指針が示された。また、日ソ間のすべての国際約束が、日露間で引き続き適用されることを確認した。
ークラスノヤルスク合意ー
 1997年11月、橋本総理とエリツィン大統領の間で、東京宣言に基づき、2000年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすことで一致した。
ー川奈合意ー
 1998年4月、橋本総理とエリツィン大統領の間で、平和条約に関し、東京宣言に基づいて四島の帰属の問題を解決することを内容とし、21世紀に向けた日露の友好協力に関する原則等を盛り込むことで一致した。
ーイルクーツク声明ー
 2001年3月、森総理とプーチン大統領により署名され、日ソ共同宣言が交渉プロセスの出発点を設定した基本的な法的文書であることを確認した上で、東京宣言に基づいて四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべきことを再確認した。
ー日露行動計画ー
 2003年1月、小泉総理とプーチン大統領により採択され、日ソ共同宣言、東京宣言、イルクーツク声明及びその他の諸合意が、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、両国関係を完全に正常化することを目的とした交渉における基礎と認識し、交渉を加速することを確認した。

 以上が安倍氏が登場するまでの日ロ関係に関する日本の外交交渉のすべてだ。いかに北方四島返還で日本が努力して来たかお分かりだろうか。そうした先輩政治家の努力をすべて水泡に帰し、1956年当時まで歴史を逆へ戻したのが安倍外交の結果だ。
 いや上記記事では1956年に合意した二島返還すら「協議入りを拒否していた」というのだから、安倍外交で「二島先行返還」を支持し、世論を盛り上げたマスメディアの罪も重い。安倍氏とマスメディアは日本の国益を大きく損なったと批判されなければならない。

 ロシアの大統領と親しい関係だ、というのも安倍氏の大嘘だったわけだ。

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