ゴーン氏は120日間も拘留されるべき大悪人なのか。

<会社法違反(特別背任)の罪で起訴された日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)が25日夜、勾留されていた東京拘置所(東京都葛飾区)から保釈された。東京地裁が同日、弁護側の保釈請求を認める決定をした。東京地検特捜部は決定を不服として準抗告したが棄却された。特捜部は極めて異例となる最高裁への特別抗告も検討する。保釈保証金は5億円で今回の勾留は22日間。

 地検の久木元(くきもと)伸次席検事は「ゴーン被告が事件関係者に対する働きかけを企図していたと認めた上、証拠隠滅の疑いがあるとしながら保釈を許可したのは誠に遺憾」とのコメントを出した。検察が裁判所の保釈判断にコメントするのは珍しい。

 関係者によると、保釈条件には住居制限や海外渡航禁止のほか、妻のキャロルさんとの接触制限も盛り込まれた。特捜部はゴーン被告が勾留されていた昨年12月~今年2月上旬、キャロルさんが事件関係者に電話やメールをしていたことを指摘し、証拠隠滅の恐れが高いと主張していた。

 ゴーン被告は昨年11月19日の最初の逮捕以来、108日間の勾留を経て今年3月6日に保釈されたが、今月4日に逮捕。22日に起訴され、弁護側が保釈を請求していた>(以上「産経新聞」より引用)


 日本には「世論」という危うい状況判断基準がある。その「世論」を形成しているのは国民のようであって、実はそうではない。「世論」を醸成しているのはマスメディアだ。
 今回のゴーン氏の拘留に関しても彼の跳びぬけた高額報酬に反発する国民感情を異常にマスメディアが刺激し「長期拘留やむなし」との世論を形成した。しかし経済犯罪に過ぎないゴーン氏を計120日も拘留したのは人権侵害と批判されても仕方ないだろう。

 検察は120日間も拘留しなければゴーン氏を取り調べられなかったのだろうか。もしそうだとしたら、検察はよほど無能な集団だとの誹りを免れない。
 今回はゴーン氏が海外の複数の銀行に巨額資金を送金し、それらがゴーン氏と個人的な関係にある人たちの企業や個人の口座だった、という嫌疑の捜査だったとしているが、そんな簡明なことの捜査にそれほどの日数がかかるのだろうか。

 いや以前の100日に及ぶ拘留期間にすべて捜査を終えていなければおかしい。前回のゴーン氏の容疑は日産の資金を個人的に流用し着服し背任した、というものだった。それなら海外へのすべての資金送金と、その相手口座の名義人と実質的な資金取得者が限定されたはずだ。
 金融機関を通して海外送金すれば必ず「足跡」は残るし、その名義人の解明には相手国の政府や司法当局に問い合わせれば協力を得られるはずだ。証拠隠滅の恐れなど何処にあるというのだろうか。海外送金した事実とその口座名義人と実態解明に、過去に遡ってゴーン氏がいかに関われるというのだろうか。

 かつて田中角栄氏を拘留・起訴するためにマスメディアは「金権政治」というプロパガンダを流布した。田中角栄氏が政治を私物化し五億円もの資金をロッキード社から「贈収賄」として受け取っていたという「嫌疑」だった。検察の長期拘留を正当化するためにマスメディアは国民世論を操作するために「金権政治」というスローガンを延々と流し続けた。しかし結果として唯一の物証だった米国の司法当局に委託した「嘱託尋問調書」を最高裁判所は証拠として「不採用」の判断を下し、田中角栄氏は「無実」となった。だが、最高裁判断が示された時はすでに田中角栄氏はこの世を去った後だった。

 同じような検察当局による不当捜査が行われたことがある。それは小沢一郎氏に対する「政治資金規正法違反容疑」だった。政治資金規正法に基づく政治資金報告書に記載された「不動産購入」の時期と記載がズレている、というものだった。
 しかし不動産取引に精通している者ならば決済時と登記時にズレが生じるのは不思議なことではない。不動産取引そのものを「隠蔽」したのなら問題だが、決済をキチンと報告書に記載しているのだから疑義を問われることは何もない。しかし日本のマスメディア関係者は不動産取引のプロの見解を一切聞かず、検察が垂れ流す「期ズレ」のみを馬鹿の一つ覚えのように「政治とカネ」なるプロパガンダを朝から晩まで流し続けて小沢氏を政治の表舞台から追い落とし、民主党政権を骨抜きにした。それが今日の安倍一強の原点となっている。

 ゴーン氏の経済犯罪はそれほど大騒ぎするほどのことなのか。むしろフランス政府を巻き込んだ日産・三菱「乗っ取り計画」の方が問題ではないか。ルノーという日産・三菱と比べれば遥かに小さな企業が日本の知的財産の塊の巨大自動車企業・日産を呑み込もうと、フランス政府の助成を背景に推進していた「陰謀」の方が重大事件ではないだろうか。
 その主役がゴーン氏だったのか。あるいはゴーン氏は操り人形で、ルノーとフランス政府の中に「シナリオライター」がいたと考える方が辻褄が合う。日産を再建した立役者と日本のマスメディアはゴーン氏を持ち上げたが、義理も人情もなくコストカットを行えば企業が蘇生することなど程度の悪い経営者でも分かっていることだ。

 日本のマスメディアが問題とすべきは日本の「財産」というべき日産・三菱を小さなルノーが呑み込もうとしていた「陰謀」の実態解明ではないだろうか。ゴーン氏をスケープゴートとして大騒ぎして、マスメディアは何を隠蔽しようとしているのか、日本国民はマスメディアが隠していることにこそ関心を持つべきだ。

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