北朝鮮の金正恩氏の視界に交渉相手としての日本はない。

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は19日、訪中して習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談した。先の米朝首脳会談について「双方が一歩ずつ合意を履行すれば、非核化は新たな重大局面を迎える」と述べ、非核化を段階的に進めるべきだと主張した。習氏は「国際情勢がどう変わっても中朝関係を発展させる立場は不変だ」と述べ、後ろ盾として北朝鮮を支える方針を強調した。
 中国国営中央テレビが伝えた。金正恩氏はシンガポールでのトランプ米大統領との会談内容について「各国の利益と国際社会の期待に合致する前向きな成果を得た」と説明した。習氏は「核問題の政治解決へ重要な一歩を踏み出した」と同調。「朝米双方が合意を実行に移してほしい。中国は引き続き建設的な役割を果たす」と今後の朝鮮半島情勢に積極関与する考えを示した。
 北朝鮮はシンガポールで12日に開いたトランプ米大統領との会談で「完全な非核化」への意思を共同声明の形で示し、米側から体制保証の確約や米韓合同軍事演習の中止を引き出した。中朝両首脳がそれぞれ「合意履行」を強調したことには、北朝鮮が非核化に向けて取る行動に応じて見返りを求める意図がのぞく。
 金正恩氏が委員長就任後、訪中して習氏と会談するのは3月の北京、5月の遼寧省大連に続いて3回目。今回は専用機で初めて空路で北京入りした。中国側は王滬寧(ワン・フーニン)政治局常務委員、楊潔篪・政治局委員、王毅国務委員兼外相らが同席。会談後の晩さん会には中国共産党で外交を統括する外事工作委員会メンバーである王岐山国家副主席も参加した>(以上「日経新聞」より引用)

 北朝鮮の金正恩氏が空路北京を訪れて習近平氏と会談した。今月12日のシンガポールでの米朝首脳会談及び米朝合意の説明に訪れたものと思われる。
 かつて朝鮮半島の朝鮮人の国は中国に対して朝貢外交を展開していた。それは屈辱的な属国としての立場を甘んじて受け入れるものだった。しかし日韓併合の35年間は日本の一部として中国対立と対等に対峙した。

 そうした僅か35年とはいえ、彼らは中国支配から解き放たれた経験をした。そして戦後、豆満江を挟んで曲がりなりにも北朝鮮は独立国家として「体制」を維持してきた。
 米朝首脳会談で金正恩氏が拘ったのは「安全保障」だった。(日本のマスメディアは「体制維持」と故意か意図してか誤訳して報道したが、合意文書の英文を見る限りでは「安全の保障」としか読めない)

 北朝鮮の「安全の保障」には米国との合意だけでは足りない。中国の合意も取り付けなければ北朝鮮の「安全の保障」は確実のものとはならない。
 金正恩氏の国家戦略は北朝鮮を米国と中国の双方に市場開放して、米中に投資と開発を競わせるつもりなのだろう。中国に過度に傾斜していた叔父を粛正して金正恩氏は中国と距離を置いた。しかし地勢的に北朝鮮の安全保障に中国は欠かせない。中国に北朝鮮が単独で渡り合うには力の差が歴然としている。だから米国と「戦争状態」を解消して安全の保障を取り付け、同時に中国の独壇場で安く買いたたかれる可能性のある地下資源開発に米国を参加させることによって中国の強い影響力を牽制させ、米中の力のバランスの上に立って北朝鮮の独立を保とうとしているのだろう。

 そうすると北朝鮮の今後にとって日本の経済力は必要ない。日本の経済力が必要なのは米国だ。非核化に向けた実行段階で、北朝鮮から核弾頭を米国へ移送し、米国の核施設での弾頭解体と放射性廃棄物処理の費用負担をどうするかだ。それは米国の問題であって北朝鮮の問題ではない。
 米国が日本に非核化の勘定書きを付け回したとして、日本政府は異を唱えない。なぜなら安倍日本は完全な米国のポチだからだ。だから北朝鮮は日本と話し合う必要はない。拉致被害者の問題は解決済みだと主張するのはそうしたことからだ。

 日本は完全に北朝鮮の金正恩氏の視界から消えている。むしろ韓国から米国が撤退した後の、米軍の最前線基地提供国としての日本が存在するだけだ。そうすると未来においても米国の属国に堕している日本政府を相手にする必要はない。
 安倍氏は飛んでもない勘違いしている。北朝鮮に日本の経済力が必要だと考えているのは安倍氏だけだ。拉致被害者に関して米国などに告げ口外交を展開して、直接北朝鮮との対話のチャンネルを作って来なかった安倍氏の怠慢のツケが露呈した。

 日本国民はこうした情勢分析すらできないほどマスメディアに操作されている。その良い例が米朝合意の「体制保障」という誤訳だ。いかにトランプ氏が愚かだとしても米国が人権侵害を繰り返してきた独裁政権を保障するわけがない。
 ただ北朝鮮を戦場にしないと保障したに過ぎない。電撃的に北朝鮮の金正恩氏を狙った爆撃をしないと保障しただけだ。

 なぜ日本のマスメディアは「体制保障」と誤訳したのだろうか。それは北朝鮮の脅威が消えては困るからだろう。「独裁軍事国家・北朝鮮」が必要だからだろう。
 それは何のためか。米国から大量買付けたポンコツ兵器を実際に配備する必要からだ。イージスアショアは北朝鮮のミサイルに備えるためだが、北朝鮮の脅威がなくなれば配備する必要性は消える。それでは困る。米国の軍産共同体と、それにコバンザメのように食いついている日本の軍産共同体の利権を養っている安倍自公政権にとっては金正恩氏の軍事独裁体制国家が存続しなくてはならない。何なら早朝からJアラートを鳴らしてでも、日本国民に北朝鮮の脅威を植え付けなければならないのだ。そうした馬鹿な情報操作にいつまで日本国民は踊らされるのだろうか。いい加減目を覚まして、日本国民は日本の未来について議論を始めるべきではないだろうか。

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