金融緩和策の出口戦略を描けない日銀の苦悩。

��日銀2021日に開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の維持を決めた。黒田東彦総裁は会合後の記者会見で「景気がいいからそろそろ金利を上げるとの考えはない」と強調。あくまでも物価上昇2%目標を達するために今の政策にこだわる考えを示した。2017年は欧米の中央銀行が緩和縮小で足並みをそろえたが、動けない日銀は取り残された。

2021日は17年最後の定例会合。今年は黒田総裁が13年春に就任して初めて、金融政策の変更が無い年になるのが濃厚だ。大きな政策変更が無いのは05年以来12年ぶり。足元で高度成長期の「いざなぎ景気」を超す息の長い景気回復が続き、株価も回復している。



 世界を見渡せば米国に続いて欧州中央銀行(ECB)も17年秋に緩和縮小に着手した。日本経済が活気づけば長期金利に上向き圧力が出てくる。市場では「日銀が長期金利ゼロ%程度という誘導目標を引き上げるのではないか」との観測がじわりと広がっていた。



 そんな見方を黒田総裁は21日にはっきり否定した。長期金利ゼロを掲げる長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)について「あくまでも物価目標が達成されるかどうかとの関連で見ていく」と断言。目下の物価低迷では今の政策を続ける姿勢を強調した。



 日本経済の需要と潜在的な供給力の差を示す「需給ギャップ」はプラス幅を拡大中。今の政策を続ければ、需給の引き締まりや人々のマインドの変化で「物価が2%に向けて上昇率を高めていく」というのが日銀が描くシナリオ。黒田総裁は物価目標へのこだわりを21日も繰り返した。



 5年目を迎えた黒田緩和のジレンマは、景気か物価かにとどまらない。「日本の金融仲介機能に現段階で問題が生じていることはない」。黒田総裁は21日、緩和の長期化による金融機関経営への悪影響は限られるとの見方を示した。



 長期の緩和が金融システムに打撃を与える副作用に1711月の講演で触れたのはほかでもない黒田総裁。「リバーサル・レート」と呼ばれる論理だ。緩和の副作用を持ち出すことで緩和縮小への布石を打ったのか、という臆測を呼んだ。しかし「学術的な分析を取り上げたからといって、何か(金融政策の)見直しが必要だとは全く思わない」(黒田総裁)と肩すかしを食らわせた。



 金融緩和による市場のひずみへの懸念は目立ち始めている。日銀の上場投資信託(ETF)買い入れが株式市場をゆがめているとの声は代表例。黒田総裁は「行き過ぎが起こっているとか、バブルが起きているという状況ではない」と反論した。18年春の総裁任期切れに向けて、緩和の功罪を見つめ直す議論も必要になりそうだ>(以上「日経新聞」より引用)



 

 欧州中央銀行・ECBは金融緩和策の出口戦略を模索し始めたようだ。一歩先に米国の連邦準備制度・FRBは出口戦略を発表するのではないかとみられている。

 いずれも世界的な金融緩和策による景気回復とダブついた金融によるバブル再燃を警戒して金利引き上げに移ろうとするシグナルだ。しかし日銀だけは金融緩和策の出口戦略を示すでもなく、2%物価上昇が実現するまで金融緩和策を堅持するつもりのようだ。


 しかし日銀の「異次元金融緩和」策は確実に都市と地方とを問わず銀行を痛めている。長期の緩和が金融システムに打撃を与える副作用に1711月の講演で触れたのはほかでもない黒田総裁だ。その際用いたのが「リバーサル・レート」と呼ばれる論理だ。

 実際に都市銀行も金融体力の低下から本業に関する行員の削減と支店の統廃合を進めるところが出てきた。地方金融機関はもっと深刻だ。ことに農協などは経営効率間向上に各支店の統廃合を急いでいる。


 だが、そうしたベクトルが何を意味するか。それは都市部よりももっと深刻な地方の衰退だ。日銀が物価上昇2%に拘るのは安倍政権の公約だからで、黒田氏は安倍氏の肝煎で日銀総裁に就任した「傀儡」だからに他ならない。

 しかしそうした政治と金融の癒着は自律的な金融を歪めてはいないだろうか。なぜ銀行協会は政府に金融への政治介入を止めよ、と申し出ないのだろうか。安倍政権のアベノミクスの失敗を金融機関に尻拭いさせる現行政策は決して容認できるものではない。


 健全な金融機関の維持よりも、日銀は安倍政権に請け負った物価上昇の実現に躍起になっているようだ。しかし、それは日銀の役目ではなく、政治の責任だ。

 国内景気回復が緊急課題となっているにも拘らず、安倍自公政権は能天気にも決定的にデフレ化をもたらすTPPや日EU経済連携協定(EPA)の発効を急いでいる。それにより政府は14兆円もの経済効果をもたらすと説明しているが、果たしてそうなるだろうか。むしろ日本の国内産業、ことに農業に与えるマイナス効果の方が深刻ではないだろうか。


 さらに政府はTPPとEPAを発効しても食糧自給率に影響はない、と発表しているが大嘘もいい加減にしてほしい。経済効果として上げた数字14兆円のうち、農産品関係がどれだけあるか、詳細な内訳を国民に示すべきだ。

 いや農産品だけではない。ことにEPAに関しては自動車などの輸出品は既に海外移転していて、日本製品が関税ゼロになって輸出されるといっても、すでに各産業は関税ゼロを適用すべく手を打っている。たとえば自動車企業が英国に工場を建て欧州向けの自動車を生産している。つまりEPAを締結するまでもなく、各企業は先手を打って海外移転している。


 安倍自公政権が目指す「グローバル化」はデフレ化をもたらす。日銀が金融緩和策の出口戦略が描けない原因はそこにある。しかし「下駄の雪」と化した黒田日銀総裁は金融機関を痛めつけながら自らの椅子を守っている。

 地方銀行に及ぶ「リバーサル・レート」の波は確実に地方経済に深刻な打撃を見舞っている。欧州や米国の金融緩和策からの出口戦略の提起に、日本だけが遅れて良いわけがない。いよいよ安倍氏のアホノミクスのツケが日本の金融システムを根底から破壊し始めた。それでもマスメディアはアホノミクスの実態を報じないのだろうか。



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